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ジャンの帰還!


 咲良とジャックがフレンドで夕食を食べている所に、極秘依頼でガンドルフ帝国に行っていたジャンが帰ってきた。


「よう、お嬢ちゃんにジャック、元気そうだな」


「ジャン!」

「お父さん!」


 二人はジャンに駆け寄った。


「お帰りジャン。だいぶ疲れた顔してるわね」

「そうか?まあこんなのは寝れば治っちまうさ」


 そう言いながらジャンは懐から白くて小さな袋を出して咲良に渡した。


「こいつ………ありがとうな」


 それは咲良がジャンにプレゼントした白い御守りだった。

 受け取った咲良は中身に違和感を感じたので、中を出して見てみると木札が割れていた。


「これってもしかして、役に立ったって事?」


「まぁ………そうだな、今俺が生きてるのはこの御守りのお陰だ。また助けられちまったよ、ありがとな」


 ジャンは何とも言えず申し訳なさそうな表情をしていた。


 この御守りは咲良が欠損再生と防御力+20を付与した、ジャン専用の御守りだ。

 この世界で防御力が付与されたアクセサリーはあるが+15が最高だ。

 そして欠損再生の魔法は知られていないし、付与されたアクセサリーも存在しない。

 御守りは欠損再生が発動すると木札が割れて役目を終了する。

 木札が割れていたという事は欠損再生が発動したという事なのだ。


「そう、結構危なかったのね。でもジャンが無事でよかったわ。また作るからそれまでは無茶しないでね。王都ではジャンがボスコでくれたお金で助かったのよ。こっちこそありがとうだわ」


「ああ、あれは俺の金じゃなく、お嬢ちゃんが受け取るべき金なんだからお礼なんて必要ないぞ」


「だとしてもよ。ジャンがいなかったら咲良はもらえなかったでしょ?だからありがとうなの」


「おぅ、お嬢ちゃんがそう言うのならそれでもいいが、今回御守りで助けられたから2回目の命の恩人になるんだよな………どうしたらいいかな」


「気にしなくていいよ、ジャンとジャックがいてくれてとても助かっているからチャラよチャラ!」


「チャラにはならんと思うが………」


 苦笑いのジャンだが、咲良の優しさにまた助けられていた。




  *  *  *  *  *


  


 宿屋フレンドでの夕食後。


 部屋でお互いこれまでの事を報告しあった。


 咲良は色々な人との出会いや王都に店を構えた事、貴族と揉めつつも奴隷を買った事などを話した。


 そしてジャンは色々な事情も含めて極秘依頼やこれまでの事を話した。


 昔から魔族は我々は最高の種族なのだから世界を支配すると言って侵略ばかりしていた。

 他の種族は協力して魔族に対抗していたが、その協力体制もここ最近は機能しなくなってきたのだ。

 ガンドルフ帝国の兵士や民衆の中には、自分たちの国は強いのだから他国の兵に守ってもらう必要などないと言う者がかなり多くなってきたのだ。

 その為に国同士の援軍が難しくなってきた。

 過去にもクリストフィオーレ皇国からガンドルフ帝国へ公式に援軍を送った事があったが、帝国兵や住民とのいざこざが絶えず警備どころではなかったのだ。

 そんな事情もあり今回は、国王同士の話し合いにより軍の兵士ではなく冒険者を援軍として極秘裏に派遣する事になったのだ。


 今はまだ魔族の動き少ないので、AランクPTドラゴンの咆哮とBランクの3PTの派遣だけである。

 この世界はSランクが最高なのだが、Sランク冒険者はロンバルディア教会教皇や各国の国王だけの数人しか居らず、魔王討伐などの理由で結成されない限りSランクPTは存在しなかった。

 なので実質はAランクPTが最高なのだ。


 Sランクに成るのはとても大変で、次期教皇や次期国王や7英雄の子孫などその使命や責任の為に、周りの協力があってやっとSランクに到達する事が出来るのである。


 国軍兵士でも団長クラスがAランクだが、冒険者のAランクはとても珍しい。

 Bランク冒険者になれば尊敬されるし生涯仕事に困る事はないので、命を危険に晒してまでAランクを目指す者は少ないのだ。

 妻の仇をとる為とはいえ命を賭けて一人でAランクになったジャンは非常に稀だった。


 国軍兵士を除けばAランクPTは各国に1PTづつしか居らず、クリストフィオーレ皇国に居るAランクPTを派遣するのだから、援軍として申し分なかった。


 AランクPTとBランクPTが一ヶ月派遣され、次の月は交代としてBランクPTが2PT派遣される。


 ジャンは一ヶ月の派遣が終わって一旦帰ってきたのだ。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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