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イザベラ司祭!☆3


 朝早くイザベラは司祭の儀式の為に、神の泉に来ていた。

 日の出と共に浄化と祈りを始め日没までやり続ける、それを3日やるのが司祭の儀式である。


 1日目の勤めを終え疲れてはいるが、イザベラはアリーチェに会いに行った。


 アリーチェの家は、宿屋のテパンに教えてもらっていたので、直ぐに見つかった。


 イザベラはアリーチェの家のドアをノックする。


トントン


 父親であろう男が出てきた。

リボンのお礼は言われたが、リボンが聖職者にとって大切な物である事は存じ上げておりますと丁重に返された。

 しかしアリーチェに会うのはもう夜遅いからと断られた。


 父親は丁寧な割には、何故か凄く警戒していた。


 いつものイザベラは問答無用なのだが、アリーチェに嫌われない為に、引き下がる。

 また来る事を告げて宿に帰る事にした。


(まあいいわ、まだ数日滞在するから……)




 アリーチェの家の中では、寝室に避難していたアリーチェとエリスに声をかけるルカ。


「もう帰ったから大丈夫だよ」


 恐る恐るリビングに出てくるエリスとアリーチェ。


「リボンを受け取ってくれたし、アリーチェに会うのを断っても引き下がってくれたよ。素直な聖職者だね。信じられない、後が怖いね」


「やっぱりアリーチェに嫌われない為に友好的でいるのよね。養子にするまででしょうけど」


「じゃあ、アリーチェに変な事はして来ないよね?」


少し悩んでから答えるエリス。


「はっきり断ったら分からないわね。聖職者は上位貴族だから、強引に連れていかれても、私たちでは何も出来ないわ」


「そうだな、聖職者は厄介だから慎重に行動しよう」


 その夜は何事もなかったので、アリーチェはいつも通りに魔力隠蔽の練習をしてから寝た。



  *  *  *  *  *



 その夜イザベラ達は村の食堂で夕食を食べていた。

 イザベラはメンバー3人に今後の予定と指示を伝えた。


「私は明日と明後日は、予定通り儀式をやるわ。儀式が終わった次の日にアリーチェちゃん宅に行って家族に養子の事を話します。3人はそれまでの間、アリーチェちゃんの様子を、それとなく探ってほしいの。親が私を警戒してたから居場所の把握と、村の外に逃げたりしないよう見張る事、頼んだわよ」


 みんな腑に落ちない様子だったが、見張りなどは狩人が得意分野なのでマッテオが返事をする。


「………分かりました」


「あとこの村への滞在を、アリーチェちゃんを説得出来るまでとするわ」



「「「えええっ!?」」」


流石に騎士のオルランドが苦言を呈す。


「そこまでこだわるのですか。目的が教会とは関係なく、私的な事のようですので後で問題になりますよ?」


「これは命令です」


「「「………分かりました」」」



 それからの2日間、アリーチェの家の周りでは、不審な人達がうろうろしていた。

 本人達は隠れているつもりの様だが、この村の人間ではないからバレバレだった。




  *  *  *  *  *




 夜のアリーチェ家家族会議。


 難しい表情のルカとエリス。


「う~ん、何もして来ないね」


「あれだけうろちょろして、なにもないのも怖いわね」


「このまま帰ってくれたらいいね」


「意外と取り越し苦労だったのかもな」


「だといいんだけど………アリーチェは本当に冒険者になるでいいのね?司祭の養子になれば裕福な暮らしが出来るのよ、大抵の人はそれを望むわ」


 アリーチェは迷わず言った。


「やりたい事があるから冒険者がいいわ」


「そう、じゃあママもパパも応援するわ」


 3人は微笑んでいた。




 アリーチェは寝室のベッドの上に座って瞑想していた。

 この2日間、食事する時以外は、ずっとだった。


(とても落ち着くし、自分の魔力も馴染んでる感じがするわ。前は力んで魔力操作をしてた感じだったけど、スムーズになってきたのがわかるわ。魔力隠蔽が上達してるのも間違いないわね)




  *  *  *  *  *




 次の日


 イザベラは朝食を食べ終わるとアリーチェの家に向かった。


 アリーチェとエリスとルカは、朝食の後片付けをしていた。


 トントン


 ドアがノックされた。


 アリーチェたちみんなは、来た!と思った。


 トントン


 またドアがノックされた。


「イザベラと申します」


 アリーチェとエリスが寝室に避難してから、ルカがドアを少し開けた。


「おはようございます司祭様」


 澄ました顔のイザベラ。


「お話しがあって参りました。アリーチェちゃんとエリスさんはいますか?………ルカさん」


 こちらの名前が知られている事だけでもイザベラが怖くなるルカ。


「あっえっと…何の御用でしょうか?」


 イザベラとオルランドとミーアの3人だった所に、家の様子を見張っていたマッテオが合流して、イザベラに耳打ちする。


「そう、分かったわ」


 イザベラはマッテオを下がらせると、ルカに向き直った。


「ご家族3人と私とで、家の中で話しませんか?アリーチェちゃんとエリスさんが寝室に居るのはわかってますから」


 ルカは厳しい表情になる。


「いえその…ご用件は…」


 イザベラの表情が厳しくなる。


「家の中でご家族3人と話しましょうと言っているのです。家に入れないつもりですか?司祭に対して無礼な事をしているのは分かっているのでしょう?そちらがそのつもりなら不敬罪とするだけで、こちらも話しをする必要は無いのですよ?」


 オルランドが剣に手をかける。


 さすがにルカも焦る。


 イザベラがオルランドに待ての合図する。


 オルランドは剣から手を離さないが、イザベラはルカに視線を向けた。


「私は家の中で皆さんと話しがしたいだけなのです。お父さんを不敬罪で失うとアリーチェちゃんが悲しむでしょう?………ゆっくり中でお話ししましょう」


 不敵な笑みをみせるイザベラ。


 もはやこれ以上はルカも無理だった、今にでも切り捨てると言っているのだ。


「…………どうぞ中へ司祭様……」


 イザベラは後ろを振り向いて3人は外で待っているようにと伝えてから、家の中へ入っていった。



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