表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/232

奴隷商ペッピーノ!


 奴隷商ペッピーノが咲良と会った日の夜。


 奴隷商の館でニコデモ・サンドロの家族4人を買い取るに至った経緯を思いかえしていた。



 今から2週間程前、ペッピーノはある貴族に呼び出された。


 貴族の名はフトッツィオ・ムッツリーニ。

 王都の中でも力があり、あくどい事も平気でやる貴族だ。


 そして、数日後に身売りにくるサンドロ家4人家族を、無条件の永久奴隷として買い取れと言われたのだ。


 主人の名はニコデモ・サンドロ、妻はエルマ、16才の双子の娘がナディアとリディア。

 1番重要なのが、双子の娘を無条件奴隷とする事だった。

 そうすれば双子の娘を7千万ターナで買い取るとの事だった。

 娘2人に7千万ターナは相場の倍の金額だ、ペッピーノとしても喜んで引き受けた。


 フトッツィオ・ムッツリーニと良い関係を築くいいチャンスだった。



 そして1週間後。



 サンドロ家4人が奴隷商の所にやって来た。


 聞いてた通り主人のニコデモ・サンドロは家族4人で5千万ターナを希望してきた。

 奴隷になるうえでの色々な条件も言ってきた。

 妻も娘2人も夜のお世話はさせないとか、娘の結婚を考えると長くて5年だとか、家族は一緒がいいとか、週に2日は休みが欲しいとか、奴隷を何だと思っていると言いたくなるような内容だった。


 魔法の才能のないこの家族4人の買い取り価格として5千万ターナは、どう考えても出せない金額だ。

 普通なら娘2人を無条件奴隷として3千万ターナ買い取って親の二人は断るのだが、すでにこの娘2人は無条件の永久奴隷として破格の7千万ターナで売る先が決まっているのだ。

 親はどうでもよくて、娘2人を無条件の永久奴隷に同意させる必要があった。


 まずペッピーノは相場を家族たちに説明した。


 魔法の才能も無く色々な条件付きの5年間だと、主人と妻の二人に値段はつかず、16才の娘2人で1,500万ターナが相場だ。

 それが無条件の永久奴隷とした場合は、夫婦2人で600万ターナ、16才の娘は2人で4,000万ターナが相場だ。

 つまり、無条件の永久奴隷だとしても、家族4人合わせて4,600万ターナが出せる金額の限界なのだ。


 話しを聞き終わると家族4人は黙って俯いてしまっていた。


 借金を返さなければ家族全員犯罪奴隷となってしまう。

 犯罪奴隷はいつ死んでもおかしくない程の過酷な重労働を科せられる。

 刑期が数ヶ月や1年と軽い犯罪奴隷でも、半分近くは刑期を終える事なく死んでしまうのだ。

 ニコデモとしてもそれだけは避けたいのだ。


 そこでペッピーノはあたかも親身なふりをして、思い悩んでいた家族たちに優しく言った。


「全て無条件の永久奴隷としてなら、こちらとして損はするけど5千万ターナを出して助けてあげてもいいんだよ?」


 ニコデモは悩んだ結果、家族の誰かが死ぬよりはましと考えたのだろう、無条件の永久奴隷を承諾したのだった。



 ペッピーノは、奴隷として買ってからニコデモに奴隷にまでなった事情を聞いてみた。


 隠す事でもないと考えたニコデモは全ての事情を話した、

 ニコデモは15年程前に店をだす為の土地建物代として、貴族のフトッツィオ・ムッツリーニに、1億5千万ターナを借りた。

 そして今回、店の改装費用5千万ターナもフトッツィオに借りた。

 店の改装が終わったところで、雇っていた支配人のヤーセルが店の商品と金を持ち逃げしたのだ。

 店を再開させる為にフトッツィオに事情を話し、またお金を借りようと思ったが断られた。

 そればかりか今までの借金を合わせて全額返せとフトッツィオに迫られたのだ。

 ニコデモが今までに借りたのは合わせて2億ターナたが、15年間地道に1億ターナは返済してきたつもりだ。

 残りの1億ターナは店の土地建物を売れば1億5千万ターナになるので、全額返済出来て5千万ターナ残る筈だった。

 しかし返済は利子分しかもらってないから、総額2億ターナまとめて返せと言われた。

 ニコデモはそんな筈はないと食い下がったが聞いてくれないばかりか、不敬罪で極刑にするぞとまで言われた。

 

 逆らう事は出来ず借金を返済するしかなくなった。

 ニコデモは土地建物を1億5千万ターナで売り、残り5千万ターナの為に奴隷に身を売るしかなかったのだ。





 夜の館で当時の話しを思い返していたペッピーノ。


(フトッツィオには30才になる女好きのどうしようもないダメ息子マルイーノがいたな。きっと双子の娘は気に入られてはめられたのだろうな。しかし娘2人に7千万ターナとは高い値をつけたものだ。それ程あの双子の娘を奴隷にしたいのか。今日会ったさくらという貴族の子供はそれ以上出しそうだったな。夫婦をただ同然でくれてやれば娘2人を諦めきれなくなって値が上がるかもしれんな。まあフトッツィオに売っても今日の子供に売ってもかなりの儲けだぜ)

 

「ムフフフッ……」


 ペッピーノは満足そうな笑みを浮かべていた。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ