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冒険者ギルドへの報告!


 王都の冒険者ギルド。


 ジャックはキアラ副本部長に、リタ率いるセイントガードは他の受付嬢にそれぞれ依頼報告をしていた。


 ジャックを見つめたまま、キアラ副本部長は言う。


「オークが4体も居たのね。でもってジャック一人で討伐も終わっていると……………犠牲が出ずに済んで良かったわ。ありがとうねジャック」


「ええ、たまたま1体ずつ見つけられたので運が良かったです」


「そうなの~、オークは4体別々にいたのね?」


「はっはい、別々でした。オークはあまり群れたりしないですもんね」


「そうなのよね。ただ私の経験からするとオークも群れる事があって、その時は上位ランクのオーガが率いてたりするんだけど…………」


「いや~~、オーガは見かけなかったですねぇ…………オークは別々でした」


「へぇ~、まあいいわ、オークの討伐依頼達成よね、お疲れさま」


 キアラ副本部長は、依頼報酬とオーク素材の金額を入金し終えて、ジャックにギルドカードを返した。


「それでは失礼します」


 ジャックはギルドカードを受け取って、足早に冒険者ギルドを去って行った。




 ゴブリン討伐報告と素材買い取りを済ませて帰ろうとするセイントガードは、キアラ副本部長に呼び止められた。


 セイントガードは何故か副本部長室でゴブリン討伐の事を色々と聞かれていた。


 EランクのPTがここに呼ばれるなど滅多にないことだったので、セイントガードのメンバーはみんな緊張していた。


 キアラ副本部長はジッと4人を見つめていた。


「そう4体も倒してくれたのね、ゴブリン討伐お疲れさまでした」


 メンバー全員の緊張がどんどん増す中、リーダーのリタが答える。


「いえ、セイントガードとして出来る事をやったまでですから」


「偉いわ~、流石だわ~、将来が楽しみだわ~。……………ところでゴブリンの森での事なんだけど、ジャックたちと一緒だったのよね?」


「「「「えっ?」」」」


 突然話しが変わった事と、ジャックとの秘密の約束があるセイントガードは、かなり挙動不審な反応をしてしまった。


 キアラはギルドに帰ってきたセイントガードを見て、ジャックへの信頼感がかなり上がっている事に気がついた。


 まだジャックが秘密を持っていると疑っているキアラは、これは何かあったなと鎌をかけたのだ。


 その結果は実に分かり易かった。


「ふふっ、ジャックと何か約束したの?」


 リタたち4人はしゃべる事はせずに、ただブンブンと首を横に振った。


 キアラは優しく微笑んだ。


「ジャックの秘密を守ろうとするその姿勢は素晴らしいわ。でも大丈夫よ、冒険者ギルド副本部長の私がジャックの秘密を知らない訳ないじゃない。さっきもジャックから話しは聞いてるのよ。これからも私と一緒に秘密を守っていきましょうね。それで………確認の為に正確に話してもらえるかしら?」


 セイントガードのみんなは、それぞれ顔を見合わせて頷き合ってから話し始めた。



 オーガ1体とオーク4体の群れが出た事、ジャックとそのPTが討伐した事を、みんな自分の言葉で当時の興奮そのままに話しまくった。


 キアラは全力で話してくれるみんなに飲み物を出した。


「「「「ありがとうございます」」」」


「いいのよ。そうなの…………リタたちはジャックにPTがいる事も知っちゃったのね。メンバーの名前は確か………」


「シリルお姉様ですよね」


「そう、シリルだったわ」


「デスサイズ使いのシドさんもですよね」


「………そうそう、シドさんね」


「リートさんもいたよ」


「そうだったわ、リートさんもいたのよね」


 聞きながらメモをとるキアラ。


「でもみなさん、王都が近くなると用事があるとかで別れていっちゃったんですよ、もう少し話しがしたかったですぅ~」


 リタは憧れの存在の事を興奮気味に話し続けた。

 話したい事を全て話したみんなは、とても満足そうに帰っていった。



 一人部屋に残ったキアラはメモを見ながら考えていた。


(やっぱり隠している事があったのね)


シド  デスサイズ使いの執事。

リート 素手の格闘家。

シリル 弓使いのお姉さん。


(特別な名前ではないけど、防具を着用せずオークを簡単に倒せるような強い冒険者となると聞いたことがないわね)


 キアラは冒険者の名前と特徴を思いかえしてみる。


(執事の格好で、デスサイズなんてマニアックな武器を使う冒険者なんて聞いたことないわ)


 シド、デスサイズと書かれたメモを見ながら、物思いにふけるキアラ。


(デスサイズを見たのは、名高い魔法使いが呼び出した闇属性の精霊シェイドの時くらいだわ……)


 突然、閃くキアラ。


「えっ?」


 ありえないと思いつつも、考えてしまうキアラ。


「シェイド……シェ…ド……シド…………まさかね」


 自分の考えに焦るキアラ。


 精霊との契約は、その属性と共にあるような生活を20年以上続けて精霊に気に入られて始めて成されるものなのだ。


(もしかして精霊と契約する為の生活をしてるのかしら。シドがそうだったとして、シリルは風属性っぽいけど、リートが分からないわね格闘なんて属性ないし、でも精霊と契約する為の生活を3人共してるって考えが有力かしら)


 キアラはリタの話しを思い出す。


(そういえばシドはさくらちゃんのことを姫様と呼んでたって言ってたわね。聞いた時は可愛いからだと思ってたけど、よく考えるとおかしいわ。さくらちゃんはホントは何処かのお姫様で、3人はその護衛?その事を知ったジャンとジャックが国際問題にならないように護衛をしてるんだとしたら………)


 キアラの考えは真実とは違う方向へ進んで行った。

 


(ジャックに秘密がありそうだと思っていたけど、さくらちゃんってこと?)


 キアラはシリルが言ったという言葉を思い出す。


(シリルはさくらちゃんでも楽勝だと思うけどって言ったのよね………さくらちゃんもオークを瞬殺する程強いって事?流石に10才でそれはありえないわ。じゃあどう言う意味だったんだろう………)


 考えれば考えるほど分からなくなってくるキアラ。


(まぁジャックたちが教えてくれないんだから、調べてみるしかないか。予想される内容が内容なだけに情報漏れのないあれに頼むしかないか。苦手なのよね~)


「まあしょうがない、ゼロに連絡をとるか」




  *  *  *  *  *



 新月の暗い夜。


 星だけが輝く夜の冒険者ギルド本部。


 キアラは副本部長室の灯りをロウソク1本にして、執務机で書類仕事をしていた。


 暗闇にある応接用ソファーに誰かが座る気配がした。


「久しぶり、よく来てくれたわね、ゼロ」


「………何か用?」


「まあそう焦らずに。元気そうじゃない」


「……………用がないなら帰る……」


「挨拶しただけでしょ!挨拶くらい返しなさいよ」


「…………キアラ元気、僕も元気…………じゃあ帰る」


「帰るなっ!挨拶の為に呼んだんじゃないわよっ!」


「…………相変わらずうるさい」


「あんたのせいでしょっ!もうっ!」


「……………話すことないから帰る」


「あんたに無くてもこっちにはあるのよっ!じゃあ話すから聞きなさいよ。小花咲良という10才の女の子の事を調べて欲しいの、何処で産まれて何をしてきた子なのかをね。モンテラーゴでの神楽が有名かしら」



 シ~~~~~~~ン



「ゼロ?………聞いてた?」



 シ~~~~~~~ン



「……………聞いて帰ったのよね」



 シ~~~~~~~ン



「本当めんどくさっ!」



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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