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暇つぶしに依頼を受けよう☆5


 咲良とジャックは、たまに遭遇するFランクのスライムやEランクのゴブリンなどを狩りながら、ゴブリンの森の中を進んでいた。


「あっ、少し離れた所にリタさんたちがいるわ」


「ゴブリン以外はFランクしかいない森だけど、そこそこ中まで入ってきてたんだね、大丈夫かな」




  *  *  *  *  *




 リタたちはゴブリンと戦っていた。


「回復するからイヴァノは一旦下がって!マカリオ前に出て!トニーはゴブリンの背後に回って攻撃!」


 咲良たちはそっと近づいて様子を伺うと、リタの指示で危なげなくゴブリンを倒していたので、リタたちと遭遇しないように迂回して進んだ。


 素材の剥ぎ取りをしながら休憩を取っているリタたち。


 イヴァノがゴブリンを倒した余韻に浸っていた。


「いや~俺って強くなってるな~」


 マカリオは落ち着いた声で言った。


「私が考えるに、リタの指示のお陰で、みんなが落ち着いて連携して戦えてるからだな」


 トニーも同意する。


「僕もリタの声が聞こえると、何だか落ち着くかな……」


「なにいってるのよ、みんなで頑張ってるからじゃない。それに私は守ってもらってないとゴブリンにやられちゃうんだからね、ありがとね」


 お礼を言われた3人の顔は、少し赤くなっていたが嬉しそうな表情をしていた。




  *  *  *  *  *




 リタたちを迂回して進んでいた咲良が緊張した声を出す。


「ちょっとリタさんたちマズイかもしれないわ」


「えっ、何かあったの?」


「リタさんたちの所に向かいながら説明するわ!」


 リタたちのいる方へ二人で走りながら咲良が話しを続けた。


「咲良たちの受けた依頼って森の中に1体だけ紛れ込んでいるオークの調査もしくは討伐だったでしょ?」


「ああ、Dランクのオーク1体を広い森の中て見つけるのが大変だから誰も受けなかったやつだね、でも僕たちには咲良の索敵があるから受けたんだよね」


「うん、それでね。さっきはだいぶ離れた所にいたから帰りにでも倒そうと思ってたんだけど、もう1体現れてね、あれっと思って索敵範囲を広げたら、なんとオークが4体いたのよ!一緒にCランクのオーガが1体いるから、オーガがリーダーでその配下のオーク4体と一緒に行動してるみたいなのよ」


「だいぶ離れた所のオーガとオーク4体は分かったけど、リタさんたちがヤバいのはどうして?」


「それがオーガたちが移動し始めた方向と、リタさんたちが移動してる方向が向かい合っていて、どんどん近づいていってるの。お互い気づかないで進んでるけど、そろそろオーガたちはリタさんたちに気づくと思うわ」


 Eランク冒険者のリタたちにとってはEランクのゴブリンがやっとである。

 Dランクのオーク1体でも全滅の可能性があるのに、Cランクのオーガが一緒では、逃げる間もなくあっという間に殺されてしまう。


「あっ!リタさんたちがオーガに見つかった!、オークの1体が走り出したわ!リタさんたちはこの先にいるからタッくんは先に行って!」


「分かった!」


 ジャックは『ヘイスト』を自分にかけて走るスピードをあげた。

 10才の女の子の咲良には、森の中を走るのはかなりキツかった。


 『フライ』魔法で飛べばいいのだろうが、走るので精一杯で思いつかなかった。




  *  *  *  *  *  

  



 森の中を警戒しながらゆっくり歩いているリタたち。


「全然ゴブリン出てこなくなったわね」


「俺が恐くて逃げちまったんだろう」


「だいぶ森の中の方に来てるし、街道に戻ったほうがいいんじゃないか?」

「僕もそう思う……」


 タッタッタッタッ!

 ガサガサッ!ズザザッ!


 リタたちの目の前に、草をかき分ける音と共に突然ジャックが現れた。


「「「「うわ~~~!」」」」


 突然の事でびっくりして、リタたちはみんな尻もちをついていた。


「あっごめん」


 地面に座ったままのイヴァノとマカリオが怒り出した。


「脅かしやがってなんだテメ~は!」


「ふざけた事をしてんなよ、只では済まさないからな」


 放心状態だったリタが少し落ち着いてくる。


「あ~びっくりした~、でもどうしてジャック君がここにいるの、森の中はとっても危険なんだよ?」


「そうだぞテメ~、採取依頼をこんな森の奥でやるんじゃねえよっ!守ってなんかやらねえからなっ、勝手に森の中で死ね!」


 脅かしてしまった事を申し訳ないと思いながらも、急いで用件を話すジャック。


「えっと、時間が無いので聞いて下さい、もうすぐさくらもここに来ますので、一緒にそこの木の所で防御態勢でいて下さい」


「何を訳の分からない事を言ってるんだ、さくらちゃんも一緒なのか?」


 トットットットッ!

 ガサガサッ!タタンッ!


「あ~良かった間に合った~!」


 走ってきた咲良は、しゃがみ込んでいたリタに抱きついた。


「どうしたのさくらちゃん?」


「みなさん早く立って、もうすぐオークとオーガがここに来ます!」


「「「「ええっ!?」」」」


 ガサガサッ!

 ダダンッ!


「ブモォ~~~ッ!」


 そしてオークが1体現れた。


 尻もちをついたままのイヴァノが目を見開いて驚愕していた。


「あっ……あぁっ……オークだ……もうダメだ」


 咲良が叫ぶ。


「みんな立って!」


 リタは絶望的な表情をしていたが、立ち上がって咲良を自分の背中側に庇った。


「オークはお姉ちゃんたちが何とかするから、さくらちゃんだけでも逃げなさい!街道まで頑張って走りなさい!」


 こんな状況でも守ろうとするリタの言葉に咲良は益々リタを好きになった。


「ありがとうリタお姉ちゃん、でも大丈夫ジャックがいるから」


「さくらちゃん、相手はオークっていってDランクの強い魔物なの。私たち4人でも勝てないのよ…………お願いだから逃げて」


 咲良はリタを抱きしめてからジャックに言った。


「ジャック!まずオークを1体、早いとこやっつけて!そうすればみんな少しは安心すると思うから」


 オークを警戒していたジャックは剣を力強く握り締めながら返事をした。


「分かった!」


 剣と盾を構えていたジャックは、ここまで走る間に切れていた『ヘイスト』を、もう一度自分にかけると、一気にオークの胸元に踏み込んだ。

 オークはジャックの速さに反応出来ないでいた。

 ジャックは踏み込んだ勢いのままに剣を斬り上げすぐさま剣を振り下ろした。


 ジャックが素早く元の位置に戻ると、立ったままだったオークの体が後ろに倒れていった。


 あっという間の出来事だった。


 倒れていくオークを見ているリタたちの表情は、絶望から希望へとかわっていった。


「「「「すっ凄い……」」」」


 もう一度咲良が叫ぶ。


「まだオークが何体もここに来るから、ジャックの邪魔にならないように集まって!」


 みんなブンブンと頷いて、素早く一本の木の所に集まった。


(あと、オーク3体とオーガ1体か、囲まれそうだから流石に精霊を呼ばないと無理よね………リタさんたちはレベルが低いからきっと精霊だってバレないわよね)


 咲良はこれから呼ぶ精霊たちの事をPTメンバーだと伝える事にした。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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