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暇つぶしに依頼を受けよう☆4


 宿屋フレンドの朝。


 咲良はいつもの美味しい朝食を食べた後、昨日と同じようにアランと一緒にチーズを作りをした。


 レティシアとの打合せはまだ明日なので、今日も暇つぶしにジャックと冒険者ギルドに行った。




  *  *  *  *  *




 ジャックには経験値稼ぎも兼ねて思いっきり戦ってもらいたかったので、他の人と組んだりせずに、咲良はジャックと二人だけで狩りに行くつもりだった。


 咲良はBランクの魔物と戦わせたいなと思いながら、Cランク以上の依頼をチェックしていると後ろから声がかかった。


「あら、将来の目標でも確認しているの?」


 先日酔っ払いから助けてくれた教会のローブを着た女性だった。


「あっ、先日は助けて頂いてありがとうございます、私は咲良といいます」


「そっか名乗ってなかったわね。私はリタよ。助けただなんて、迷惑をかけたのはうちのメンバーだから全面的に悪いのはこっちだし、迷惑かけてごめんなさいね」


 リタの後ろにはしらふの3人がモジモジとしていた。


「ほらっこっち来てさくらちゃんに謝んなさいよ」


 3人が渋々謝ってきた。


「俺イヴァノ、えっと、覚えてないけど悪かったな」

「マカリオだ、記憶に無い事を謝る意味が分からないが、すまなかった」

「僕トニー………ゴメンね」


「ああ~もうっ!みんな覚えてないとか、そんなの謝ったうちに入んないわよっ!」


「「「いたっ!」」」


 リタが3人の頭を叩いて強引に頭を下げさせた。


「ほんとこんなんでごめんなさいね」


 咲良もジャックも、この3人の面倒をみているリタに同情していた。


「リタさん、ほんと大丈夫なので、気にしないで下さいね」


「特に何かされたわけではありませんでしたから大丈夫です」


「そう、ほんとゴメンね。ちょっと依頼を受けて来ちゃうわね」


 そう言ってリタが受付に行くと、それまでモジモジしていた3人がホッとする。


「ふぅ~、怒るとリタはなかなか許してくれないんだよな」

「まぁ、大人しく謝ったからもう大丈夫だろう」

「だといいね……」


 全然反省してない3人に咲良とジャックは呆れていた。


 緑の髪のイヴァノが話しかけてきた。


「よう、子供が上位の依頼を見てもしょうがないだろ、街中の雑用の依頼をやれよ」


「そうだぞ、冒険者の道に近道なんてないんだ。Fランクだろ?採取をしながら体を鍛えて地道にやるのが1番早いんだぞ」


「採取が安全で楽……」


「「……………」」


 咲良もジャックも言葉が出てこなかった。



 リタが依頼を受けて帰ってくると、また3人は静かになった。


「お待たせ!じゃあ街道横のゴブリンの森にゴブリン退治に行くわ、さくらちゃんもジャックもまたね」


 そう言ってリタたちは冒険者ギルドを出発していった。


 咲良もジャックもリタへの同情と応援の気持ちが更に強くなった。


 その後、上位の依頼を確認した咲良は、Dランクのオーク討伐依頼をジャックに手渡した。


「えっと、Dランクでいいの?」


「うん、タッくん一人だとCランク以上はPT推奨だから依頼を受け付けてくれないでしょ?だからよ。本当の狙いはDランクじゃないから頑張ってね」


「なるほど、分かった」


 ジャックは気を引き締めた。




  *  *  *  *  *




 咲良とジャックはロンバルディア平原の街道を、馬に乗って東に向かっていた。


「オークの居るとこって、ゴブリンの森の奥だったかな」


「じゃあ途中にリタさんたちいるかもね」


「まあ、あそこでのゴブリン討伐なら街道沿いで戦うから見かけるかもね」



 ゴブリンの森に着いて街道横で馬を下りた。

 受けた依頼のオークは森の奥、咲良の狙う魔物は更に奥にいるのだ。


「じゃあ森の最深部に向かって、張り切ってまいりましょ~!」


「ははっ、張り切ってか…………最深部?」


 ジャックはこう見えて一応王都の冒険者だ、近郊の事はある程度知っている。

 ゴブリンの森の浅い部分にはゴブリンが生息し、奥に行くにつれオーク、オーガと強くなっていき、咲良が言った最深部には確かAランクのミノタウロスがいた筈だ。

 戦闘好きだがむやみに人里に降りてきたりしないので、国としても犠牲を出してまで討伐せず、そっとしておいてる魔物だ。


「えっ?さくらの狙いってもしかして……ミノタウロス?」


「えっ、流石にミノタウロスはねぇ………途中にBランクのワイバーンがいるじゃない?それならジャックもやる気が出るでしょう」


「そっ、そうだよね、流石にAランクはないよね。なるほどBランクね、分かった頑張ってみるよ」


 Bランク相手もかなりヤバいのだが、AランクからBに下がった事でホッとして受け入れてしまうジャック。


「そう、良かったわ。流石にAランクのミノタウロスはねぇ………遭遇しちゃったらしょうがないけどAランクはねぇ………」


「そう…………だよね」


 ジャックは咲良の索敵能力が桁外れなのを知っている。

 魔物を避ける事も、ピンポイントでミノタウロスに遭遇する事も咲良なら可能なのだ。

 ジャックは咲良がミノタウロスを狙っていると確信して覚悟を決めるのだった。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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