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暇つぶしに依頼を受けよう☆3


《…………では、健闘を祈る》


 咲良の声は風属性魔法により、ジャックの耳元だけに届いていた。


 ジャックは覚悟を決め、みんなに教える為に右手を高く挙げてから5メートル先辺りを指差した。

 ジャックは振り返って皆の準備が整うのを待ってから、自分に『ヘイスト』をかけ、盾を握り締めてサンドウォームの潜んでいるポイントに向かって走り出した。


 (1歩!)


 (2歩!)


 (3歩!)


 (4歩!)


「ごぉりゃっ!!」

 ドッバァァアアアアアアッ!


 ジャックは掛け声と共に高くジャンプすると、同時にサンドウォームが跳びだしてきた。


 ジャックが斜め上にジャンプしてしまった為に跳びだしてきたサンドウォームの大きな口が追いかけてきた。

 咄嗟に盾を足もとに構え、盾に両足で乗るようにしてサンドウォームの衝撃に耐えた。


「『フリーズ』!」

「『ウインドカッター』!」

「『ファイアアロー』!」

「『ホーリーアロー』!」


 ヒューピシピシッ!

 シュパッ!シュパパパッ!

 ヒュン!ヒュヒュヒュン!

 ドスッ!ドスドスドスッ!


 ヴォオオォオォオオオッ!!


 一斉にみんなの魔法が炸裂して、サンドウォームが悲鳴をあげた。


 たまらず避難し始めるサンドウォームを、パルミロとドナートの剣が斬り裂いた。


 ジャックはサンドウォームの攻撃を盾で防いで上空に高々と打ち上げられていた。

 砂の上なら落ちても大丈夫そうだが、咲良は念の為に『ウインド』の魔法で風を起こして衝撃を和らげてあげていた。


 サンドウォームを倒してから、全員がジャックに駆け寄った。


「ジャック!大丈夫だったかい」

「何処か痛いとこない?とにかくお姉さんが回復してあげるわね『ヒール』!」


 クラリッサとサンドラに相変わらず胸に抱きしめられているジャックは、サンドラの『ヒール』の光に包まれながらお礼を言った。


「はい大丈夫です。ありがとうございます」


 クラリッサが嬉しそうに言う。


「いや~それにしてもジャックは凄いな、サンドウォームの潜んでる場所をピンポイントで分かるんだもんな」


「そうね、それに盾で防いでたのも格好良かったわね!」


「いえ、上に飛ばされてしまったのは僕のミスです。ドナートさんのように横に避けていれば良かったんです。一人だったら落ちてきたところを大きな口でキャッチされて終わりでした。パルミロさんドナートさん、サンドウォームへのトドメありがとうございました」


 パルミロはどう転んでもジャックを褒めるクラリッサとサンドラに呆れていたが、ジャックには感心していた。


「PTの役割だからな、ジャックの方こそお疲れ、サンドウォームの居場所が正確に分かるのは凄いな」


「だな、サンドウォームの誘い出しも充分だったよ、良くやった」


 ドナートもジャックに微笑んでいた。



 その後も囮役をジャックが進んでやり、サンドウォーム討伐を何度もしていくうち全員が上手くなっていった。


 もう10体以上倒しているが、まだ討伐は続いていた。

 ジャックが砂浜を走り抜けてサンドウォームが跳びだす。

 みんなの魔法がサンドウォームに命中している間に、反転したジャックとドナートとパルミロが剣でトドメを刺して討伐完了。


 流れ作業と化しつつある光景だった。


「今のトドメはジャックだったか?」

「いやパルミロ、今のはわしだな」

「おおそうか、じゃあドナート5にジャックが5、俺が4か…………負けてるな、次の1体のトドメを俺が刺せばなんとか」


「かなり狩ったし討伐依頼条件もとっくにクリアーしてるから、ここいらで終わりにしよっか?」


 パルミロの思惑など知るよしも無くクラリッサが、終わりを提案してきた。


「あっ、クラリッサあと1体……」

「そうね、もう日も低くなってきたしいいんじゃない、帰りましょう」


 パルミロの言葉を遮って、サンドラも賛成した。


 落胆するパルミロの横で、咲良が最後のサンドウォームの素材を収納バッグに入れていた。


 ドナートはどんだけ入る収納バッグなんだよと、呆れたような目で見ていた。




  *  *  *  *  *




 咲良たちみんなは、冒険者ギルドに戻ってきて依頼達成報告と素材売却を終わらせた。


 受付嬢は勿論キアラ副本部長だ。


「5体以上って所を14体って凄いじゃない」


 困った表情のパルミロ。


「ジャックのお陰だな」


 クラリッサもジャックを褒める。


「そうなんだよ、ジャックが凄いのなんのって、もうお姉さんびっくりだぜ」


「そうそう、頼もしいのなんのって、もうお姉さんと二人で大丈夫なくらいだわ」


「おっとサンドラ、なに言っちゃってんの?私と二人の方がいいに決まってるじゃん!」


「そっちこそ何言っちゃってるのかしらクラリッサ?」


 クラリッサとサンドラの事など気にせずに、キアラ副本部長はそれぞれのギルドカードに五等分した依頼報酬と素材売却額を入金していった。


 ジャックのカードに入金している時に、レベルが一つ上がってLV36になっているのを見たキアラ副本部長。


「あらまあ、そうなの………無理しないでねジャック」


「………はい」


 ジャックはレベル以外にも秘密があるので、居たたまれなくなっていた。



 冒険者ギルドを出た所で皆に別れの挨拶をするジャック。


「今日は色々と勉強になりました、ありがとうございました」


「お姉さんこそ助かったぜ、ありがとな」


「そうよ、ありがとうねジャック、さくらちゃんも素材運ぶの手伝ってくれたんだから報酬を6等分しても良かったのに、本当にいらなかったの?」


「はい、なにせ戦ってませんから、お気持ちありがとうございます」


 咲良は魔法でジャックをサポートしてたから経験値も入ってレベルも41に上がっていたので十分だった。

 何よりも報酬を入金してもらおうとすると、ギルドカードからキアラ副本部長にレベルがばれてしまうのが問題だったのだ。

 10才でLV41は見られる訳にはいかないのだ。


「じゃあまたPT組もうな」

「チャンスがあったらお姉さんと二人でPTを組みましょうね」

 クラリッサとサンドラは名残惜しそうに手を振って別れていった。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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