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チーズを作ってみた!


 咲良はチーズ作りに必要な材料を街で探した。

 ジャックが売ってそうな所に案内してくれた。

 レモンのようなリスボンという名の果物とお鍋と桶、それと手拭いのような薄くて丈夫そうな生地を買って宿屋フレンドに帰った。


 さっそく女将のフローラさんにメイちゃんの乳の搾り方を教えてもらい乳を搾った。

 フローラさんが言うには、一日に搾れる乳の量はだいたい2リットルくらいだそうだ。


 キッチンを借りてチーズ作りに励む。


 前の世界の時に親友のゆきりんがチーズにはまってた時があり、毎日色々なうんちくを聞かされたのでまあまあ知っている方だった。


(え~、ゆきりん様ゆきりん様ありがとう御座います。無駄にチーズ作りにはまってくれたお陰で助かりそうです。あっ無駄じゃなかったです。帰ったら必ず何かおごるから待っていて下さい)


 パンッパンッ!


 咲良は拝むように手を叩いてゆきりんに感謝した。


 そしてチーズ作りを始めた咲良は、まずミルクを入れたお鍋を火にかける。

 コンロは魔道具で、丸いつまみを回すと火がついた。

 まず低温殺菌だ、65℃くらいで火を消すのだが、温度計が無いので咲良の勘だ。

 その後、30℃くらいまで冷めてきたらリスボンを搾る。

 分離したら固形物を布地に取り分けて搾る。

 その固形物を穴のあいた桶にいれて重しを乗せて一晩水分を抜くのだ。

 ゴーダチーズの予定なので、一晩水分を抜いた物を今度は2~3日塩水に浸す。

 そして数ヶ月、拭いたり裏返ししたりと手をかけて涼しい所に置いて熟成させていく必要がある。

 咲良は自分の泊まってる部屋の涼しい所に置いて熟成させる予定だ。


 固形物以外の搾って薄くなった乳を沸騰させて、リスボンを搾って弱火に少しかける。

 そしてまた分離した固形物を布地に取り分けて冷ますと、低カロリーで低脂肪のリコッタチーズの完成だ。

 こっちは熟成させなくて大丈夫なやつなので、夕食で食べる予定だ。




  *  *  *  *  *



 咲良は夕食の席にリコッタチーズを持ってきた。


「これがメイちゃんのミルクから作ったリコッタチーズよ。ジャック味見してみて?」


「へぇ~白くて柔らかそうだ、初めて見るね、このまま食べていいの?」


「うん、そのままでもいいし、パンや他の食べ物と一緒でもいいのよ」


「分かった、このままで食べてみるよ」


 そう言ってジャックは、白いチーズをひとつまみ口に運んだ。


「んっ!おいひぃ!ふわっとしてて優しいミルクを食べてるみたいだ」


 ジャックはもうひとつまみ口に運んでいた。

 ジャックの声を聞いてフローラさんがテーブルに来た。


「その白いのはさっきさくらちゃんが作ってたやつ?」


「うん、いろんな種類があるチーズの中の、これはリコッタチーズっていうの。フローラさんも食べてみて」


「じゃあ少し頂くわ」


 フローラもリコッタチーズを一口食べてみた。


「まあ!美味しい!ちょっとアランも呼んできていいかしら?」


「あっはい、旦那さんですよね、どうぞどうぞ」


 フローラが喜んでくれているから嬉しいのだが、咲良は料理人のアランを呼んでくると聞き、なんだか緊張し始めていた。


(流石に始めて作ったチーズだし、アランさんの味見なんて、ダメ出しされたらフレンドに居づらくなっちゃう……)


 すぐにアランが来て味見をした。


「んんん~~っ!!これはミルクの風味が素晴らしい!軽さと滑らかさを併せ持った食感に、柔らかいミルクの甘みもあり、とても優しい味だ」


 目の前で食レポを見てるようで少し引き気味の咲良だったが、褒められてホッとしていた。


「ありがとう」


 興奮気味のアラン。


「いやいや、これは新しい料理だよっ!革命かもしれない、これをさくらちゃんが作ったのかい?いったいどうやって……」


 難しい顔で悩み出すアランに咲良は言った。


「えっとね、ミルクを沸騰させない温度で殺菌して、冷ます途中でリスボンを……、咲良はこれから毎日作るつもりだから、アランさんがよければ明日一緒に作りましょう」


 ポカンとした表情のアラン。


「あっいや、教えてくれるなんて、すまんさくらちゃん。そんなつもりで言ったんじゃ無かったんだ。このレシピを簡単に人に教えてはいかんぞ、レシピは料理人の財産じゃからな。さくらちゃんが作ったチーズを買う事にするよ」


「それもなんか申し訳ないかな……それじゃあ咲良がアランさんにチーズ作りをお願いするっていうのはどうかしら。レシピを全部教えるからそれで作ってもらうって事でどうかしら?」


「私は嬉しいが…………いいのかい?さくらちゃんが良いんなら大歓迎じゃが」


「咲良も助かるから大丈夫よ、作る時間がそんなに無くて困ってたの、他のチーズは熟成させるから2ヶ月以上も手間をかけなきゃいけないの」


「えっ?ミルクを材料にしてるのに2ヶ月以上保つのかい?」


「ええ、熟成で失敗しなければ大丈夫よ」


「それは凄いな、なんだかワクワクしてきたぞぉおお!!」


 突然嬉しそうに叫びだしたアランを見て、みんな笑っていた。




  *  *  *  *  *




 次の日の朝食が終わってから、咲良はアランにゴーダチーズとリコッタチーズの作り方を教えた。

 メイちゃんのミルクを低温殺菌してリスボンを搾り固形物にして重しを乗せて更に水分を取り除く。

 咲良が昨日途中までやったゴーダチーズを、塩漬けにして2~3日置く事も教えた。

 昨日食べたリコッタチーズも一緒に作った。


 教えている間ずっと、アランは休憩もとらず嬉しそうにチーズ作りをしていた。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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