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王都観光!

 誤字脱字報告有難う御座います。

 m(_ _)m



 ロンバルディア平原の西の端、高い山々と海に守られた王都レオーネ。


 朝は漁から帰ってきた漁船の水揚げから始まる。

 水揚げされた魚介類やグイドから運ばれてきた野菜が朝市に並び、暖かい朝の陽射しと共に市場が活気づいていく。


 昨日、咲良とジャックはフローラさんをやっとの思いで説得して個室にしてもらいゆっくり休むことができた。


 宿屋フレンドは、歴史を感じさせる木造2階建てで、隅々まで手が行き届いていて、とても気持ちのいい宿だ。


 朝食の為に食堂に下りてきた咲良とジャック。

 メニューはミルクにサラダ、パンとスープ、そして薄く切って焼いたベーコンのような料理が出て来た。



「タッくん、牛乳よっ!牛乳があるわ!」


 コップで出された白い飲み物を見てテンション高めの咲良に対し、ポカンとした様子のジャック。


「ぎゅうにゅう?えっと、ミルクのことかな?一緒に連れて来たホワイトシープから搾ったミルクだと思うよ」


 ジャックは、昨日ホワイトシープをフローラさんに預かってもらっていた。

 その時フローラさんがせっかくだから明日はミルクを搾って出すよと言っていた事を咲良に伝えた。

 ミルクは保存が効かないので、ホワイトシープが飼育されているグイドか王都でしか飲めない事や、高価なので貴族の飲み物である事なども説明した。


「このミルクはメイちゃんのお陰なんだね。まぁホワイトシープを見た瞬間から何となくそのつもりではあったんだけどね、この世界でもミルクが飲まれてるのが分かって良かったわ」


「はは、よく分からないけど、メイちゃんって名前にしたんだね」


「タッくん、スープもお肉も美味しいわ」


「口にあって良かった。食事はフローラさんの旦那のアランさんが作ってるんだ。料理が大好きな人でフレンドの料理はすごく美味しいって評判で王都でも有名なんだ。でも食事だけで宿に泊まらない客や紹介のない客を断るんだよ…………フローラさんが」


「ふぅ~ん、優しそうにみえて結構ハッキリした人なのね、勘違いしててもお構いなしって感じだったけど、商売に関してはしっかりしてるのね」


 すでに勘違いの被害に遭いかけている咲良は微妙な表情をしていた。




  *  *  *  *  *




 王都の街がどんな所で、神楽が出来そうなのかを食事中ジャックに聞いていたら、ジャックの案内で王都観光をする事になった。


 フローラさんが、王都は人が多いからデート中もちゃんと守ってあげるんだよ!とジャックに言って送りだしてくれた。

 なんだかんだで良いお母さんだなと思う咲良だった。





  *  *  *  *  *




 王都は城のある中央地区を中心に、東地区、南地区、西地区、北地区に別れていた。


 観光はまず、宿屋フレンドがある南地区を案内してもらう事になった。

 南地区は港がある地区なので、フレンドを出て大通りを歩いて港に向かった。


 大通りには3階建ての建物が建ち並び、多くの馬車や人が行き交っていた。

 種族としては人族が1番多かったが、大都市なだけあってエルフ族や獣人族やドワーフ族など、色々な種族がいた。


 ジャックの話しによると、多くの荷馬車が行き交っているが、貴族の馬車が通った時にはみんな路肩に避けて道を空けなければいけないらしい。

 道を空けるのが遅れると、すぐに捕まって投獄されてしまうのだ。

 犯罪奴隷にされる事もあり、最悪はその場で斬り捨てられるらしかった。


 なんて極悪非道な振るまい…………


 貴族恐るべし!




  *  *  *  *  *



 

 港のある海岸線は、海まで張り出した山によって湾のような地形になり、港に適していた。


 港には多くの桟橋があり、大小様々な船が停泊していて、荷物の積み卸しで多くの作業員が忙しそうに働いていた。


 船から卸される荷物は、早朝は魚や農作物が多く、他の時間は家具や調度品などだそうだ。


 朝市に行ってみるとたくさんの屋台があり、仕入れの人々で大賑わいだった。

 ジャックにスリと人攫さらいに気をつけてと言われたが、咲良は全てアイテムボックスに入れていて何も持っていないので大丈夫だし、そのへんの人攫いなら咲良が返り討ちにしてしまいそうなので何の問題もなかった。

 だがジャックは、はぐれないようにと手を繋いでくれた。

 お互いに顔が赤くなり、少し俯いて歩く事となってしまい、周りへの警戒がおろそかになってしまった。



 果物などの屋台もあった。

 見た目はリンゴ、ミカン、バナナなど、咲良にも馴染みのありそうなものが幾つもあった。

 異世界とはいえ魔素がある他は地球っぽい環境なのでその辺は変わらないのかもしれないと思いながら、咲良は色々と爆買いしていった。


 朝市を見終わって、ミカンを食べながら通りを歩いていると、突然視界が開けて広い場所に出た。

 中央には誰だか分からない銅像が建ち、広場を丸く囲むように建物が建ち並んでいた。

 野球のグラウンド程の広場には多くの屋台があり、あちこちにあるベンチでくつろぐ人々の姿もあった。


 ジャックの説明によると、朝市の屋台は食材がメインで、こっちの広場の屋台は調理してすぐに食べられる物やアクセサリーや雑貨などが多いそうだ。

 そして、王都の五つの地区に広場があるが、ほとんどがこんな感じだそうだ。

 中央地区の貴族街は少し小さめの広場で、真ん中にある銅像が噴水なのと、屋台の商品がおしゃれで高価な物が扱われているそうだ。


「ふぅ~、人が多いわね。神楽をやるとしたら、離れすぎると見えないから広場の一部を借りてやるくらいが丁度いいかな」


(王都には人が多すぎて、同じ年頃の子供全てに観てもらうのは無理があるのかな…………名前を売ることに専念した方がいいのかも)


「オッケ~タッくん、観光はもういいわ、商人ギルドに挨拶に行きましょう」


 咲良の観光は南地区だけでで終了となった。


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