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牢獄生活!☆4


 牢獄生活も2週間。


 ジャックは牢獄の生活にも慣れてきた。

 午前中の早い時間から鍛錬場に行き、ベルナルド団長の扱きに耐え、騎士団員たちとの稽古、その後個人での鍛錬をして、牢獄に戻る生活をしていた。

 そのお陰で、騎士団や衛兵たちともだいぶ馴染んできた。

 ジャックは牢獄の鍵を渡されていて、まるで自分の部屋のように牢獄を使っていた。


 咲良はというと、かなり清潔になった牢獄に、夜はボスコでお風呂、食事はアイテムボックス入ってるから困らない快適な牢獄生活を送っていた。


 地下5階に囚われている魔族の少年グリーゼもだいぶ元気になり、いろんな話しをするようになった。


 魔族は200年くらいの寿命で、グリーゼは18才だが魔族としてはまだ子供扱いらしい。


 数年前に魔族数人でこの近くの森の中にいる時に、ベルナルドに見つかり、グリーゼだけ逃げ遅れて捕まってしまったそうだ。


「そうなんだ、森の中にいただけでしょ?魔族だからってだけで捕まえて投獄なんて、何もしてないのにベルナルド団長って酷いわね。鬼よ鬼」


「えっ?確かに森の中にいただけになるけど、魔族以外からしたら敵だから、捕まえて当たりまえだと思うけど……」


 グリーゼは咲良の言っている意味がよく分からなかった。


「そんなわけないでしょ!魔族だからなんて関係ないわ、みんな一緒よ。グリーゼは何も悪いことしてないんだからベルナルド団長が悪いわ」


 グリーゼは咲良が自分の為に怒ってくれているのは嬉しいのだが、少し変わってるのかなと思った。


「魔族は全ての種族を支配しようとしてるから、みんなが魔族を嫌うのは当然じゃない」


「それは他の魔族がやってる事でしょ?グリーゼはやってたの?」


「いや、俺は子供だったから魔族が外で何をしてるのかは知らない。初めて大人に連れられて外の世界を観に来たんだ」


「それじゃあグリーゼが悪いことしてた訳じゃないんだから、捕まえて投獄なんておかしいのよ」


「そうなのかな………さくらは変わった考え方をするんだな」


「変わってる?種族が違ってもみんな一緒って考えるのは変わってるの?」


「さくら以外には聞いたことないな」


「ふぅ~ん………じゃあみんなが変わってるのよ」


「ハハハッ、さくら以外が変わってるのか、それいいな」


 咲良とグリーゼが気さくに話す牢獄の隅で、ジャックは静かに座って聞いていた。


 ジャックは今日初めて咲良と一緒に最下層に来た。

 友達が出来たからと咲良に連れてこられたのだが、まさか魔族だとは思わなかった。

 始めジャックは、拘束されている魔族に殺意を向けていた。

 今にも殴りかかりそうな目で睨みつけているジャックのおでこを、咲良はぺちぺちと叩いて叱っていた。


 今ジャックは咲良の為におとなしくしているが、母親を魔族に殺されているジャックは、心中穏やかではなかった。


(さくらと話してるのを見るかぎり悪い奴には見えないが…………なんでさくらはこんな奴と笑って話しをするんだ。さくらが優しいからってあいつ調子に乗りやがって)


 ジャックは目の前の奴が悪い奴じゃなかったとしても、咲良と仲良さそうに話してるのが気に入らなかった。



 グリーゼは、咲良と一緒に来たジャックが気になっていた。


(さくらと一緒に来たアイツはなんなんだ?ガキのくせにいきなり俺にガンを飛ばしやがって。さくらに怒られてざまあみろ!さくらは俺の味方なんだよ!でも怒られたとはいえさくらにおでこを触ってもらってたな、俺は触ってもらったことなんてないのに…………羨ましい。アイツ気に入らねえな)


 グリーゼも、咲良がいるから平静を装っているが、咲良の友達と紹介されたジャックが気に入らなかった。


 ジャックもグリーゼも、お互い嫌っているのが何となく分かり、咲良が見てないときににらみ合ったりしていた。


 ライバル誕生である。




  *  *  *  *  *




 牢獄生活の終わりの日は突然やって来た。


 牢獄生活3週間が経ったある日。

 いつものように美味しくない朝食を持ってくる衛兵が、一人分だけ持ってやって来たのだ。

 その朝食を咲良の方に乱雑に置いてから、ジャックに話しかけた。


「釈放ですジャック様。それと領主代理様がお呼びです」


「えっ、釈放?て言うか敬語?」


 ジャックはいきなり釈放と言われた事と、衛兵が敬語を使っていることに戸惑った。

 ジャックが衛兵に従って牢獄を出ると、衛兵はそのまま階段を登ろうとした。


「あれっ、さくらは?」


 振り返った衛兵は答える。


「釈放はジャック様だけです」


「えっなんで僕だけなんですか?」


「分かりません。ジャック様を客人として案内するようにとの、領主代理様の命令ですから」


 ジャックは、衛兵が様を付けて呼ぶので逆らいづらいのではと考えた。


 ジャックは衛兵についていくのを辞めて、牢獄へ戻った。


「さくらと一緒じゃなければ僕は行きません」


「えっ?釈放ですよ、それに領主代理様がお待ちなのですが」


「釈放も領主代理様も僕には関係ありません、さくらと一緒でなければ何処にも行きません」


 衛兵は悩んだ。


(釈放してただ連れていくだけなのに、それすら出来なかったら俺は…………領主代理様がお待ちだ…………どうしよう。そっか、さくらとやらは後で牢獄に戻せばいいんだ)


 衛兵はジャックを連れていくという領主代理の命令を最優先した。


「分かりました、いいでしょう」


 ジャックと咲良は、一緒に牢獄を出て領主代理の待つ部屋にに案内されることになった。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆


 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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