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討伐依頼 報告!☆2


 モンテラーゴ市街地区、冒険者ギルド。


 トマゾ管理長に依頼達成のサインをもらった咲良たちは、北門前冒険者ギルドに依頼達成報告に来ていた。

 ジャックは受付で銀髪のキアラにトマゾ管理長のサインの入った討伐依頼書を渡した。


 嬉しそうにジャックを迎えたキアラは討伐依頼書を少し見ただけで、すぐにジャックの手を両手で握ってきた。


「ジャックお帰りなさい。こんなに早く私のところに帰って来てくれるなんて嬉しいわ」


「あっいや、依頼に行って帰ってきただけですので………」


「それに依頼書にS評価がついてるわ!凄い事よ。ケチなトマゾ管理長からS評価もらえるなんてありえない事よ。流石私のジャック!」


「はぁ………」


「報酬を増額すると書かれているわね、信じられない………いったいどうやったらこうなるの?」


「その事でギルド長に報告があるので、取り次いでもらえると助かるんですが」


「……………先ずその事について2人で話しましょうか」


 キアラはジャックの手を握って見つめていた。


「その…………ギルド長に報告を………」


「私と2人っきりで…………」


「ギルド長に…………」


「「…………………」」


「…………………フゥ~、分かったわ。ジャックの頼みですものね。ちょっとギルド長に聞いてくるわ」


 キアラはとりあえず2人っきりを諦めた。

 ジャックと咲良をギルド長室に案内した。




  *  *  *  *  *




 咲良とジャックがギルド長室に案内されると、白髪だがまだ現役でもいけそうな引き締まった身体つきの男がいた。


「来たな、まあそこに座ってくれ。私がギルド長のエドモンドだ」


 ジャックと咲良はテーブルを挟んでギルド長と向かいに座った。


「ジャックです」

「咲良です」


「うむ、剛腕のジャンの息子だったな。で話しを聞こうか」


「はい、実は………」


 ジャックは今回の依頼内容と現実がかけ離れていた事とそれでも依頼は達成した事など、鉱山地区であった事を伝えた。


「ふむ、鉱山地区絡みの依頼はいい加減な物も多かったが、そこまで魔物の数が違うのは初めてだな。この街が鉱山で成り立っているから大目に見て来たが流石に行き過ぎだな。分かった。今後のことも踏まえて俺がトマゾ管理長とじっくり話すから報酬もそれまで待ってくれ」


「分かりました」


「迷惑をかけてすまなかったな。それで本当に魔物はそんなにいたのか?ジャックの冒険者ランクからすると達成出来たのが信じがたいが」


「魔石がありますのでお見せしましょうか?」


「ああ、そうだな」


 ジャックが咲良を見て頷くと、咲良も頷いてリュックから魔石を取り出し机の上に並べ始めた。


「その小さいリュックじゃあ100も入ってなさそうだが……」


 かまわず咲良はどんどん机の上に魔石を乗せていった。


 ギルド長は100を超えた辺りから普通のリュックじゃない事に気づいた。


「魔道具か…………」


「これが最後の魔石です」


 咲良はギルド長のリアクションをスルーして最後の221個目に大きめの魔石を出した。


「それがCランクの魔物の魔石だな…………ファントムか。他はDランクの骨折りゾンビで間違いない。やるじゃねえかジャック!Dランクの魔物220体でも大変なのにその中にファントムが居たなんて、CランクのPTでも受けたがらない依頼だぞ。それを一人で討伐しちまうとはDランクにしとくのはもったいないな」


「ランク上げの為に頑張っている所です」


「ふむそうか、ならCランク昇格試験を受けてみないか?」


「えっいいんですか?まだDランクの依頼をそれ程やってないですが」


「Cランク相当の依頼を1人でやってのけるんだ、ギルド長の権限で許可する」


「あっ、ありがとうございます!」


「おっと、Cランク試験を受ける為のレベル制限があったな。ジャックは今いくつだ?」


 咲良を守る為に冒険者ランクを上げたいジャックは、躊躇う事なく今のレベルを伝えた。


「はい、レベル35です」


「なぬぅっ!35だとぉ!?まだ20才にもなってないよな?」


「今16才です」


「うはぁ~、相当ジャンにしごかれたんだろうな。だとすると今回の依頼を出来たのも頷ける。強さは申し分ないな。Cランク昇格試験は強さもそうだが数PTをまとめる事が必要になってくるから心しておけよ」


「はい!頑張ります!」


 ジャックの目は輝いていた。


「ところでファントムは実体の無い幽霊の魔物だ。聖属性の魔法か武器でしか倒せないが、その腰の剣は聖属性が付与された武器か?よくアンデッドが出る事を予想して持っていったな」


 聖属性の装備など持ってないジャックは焦った。


(大広間の高台で大声出していたあれか……………どうしよう、さくらが一瞬で殲滅しちゃったんだよな)


 聖属性付与された装備はかなり高価なので、アンデッド系を専門にする冒険者がいるのだ。

 ジャックの剣は何も付与されてない普通の片手剣なので骨折りゾンビならまだしも、ファントムを倒す事は出来ないのだ。

 咲良の秘密を言う訳にはいかないので、ジャックは誤魔化す事にした。


「えっとですね………たまたま持って行ったと言うか……………あっいつも使ってる剣なんですが、お父さんが買ってくれたんです……………きっとその時に聖属性も付いているのにしてくれたような……………」


「ふぅ~ん……………ところで魔石は買い取るでいいんだよな?」


「はいお願いします」


「よし、討伐依頼完了だ。よくやった!」


「ありがとうございます!」





  *  *  *  *  *




 咲良とジャックが冒険者ギルドを出る所で、依頼から帰ってきたジャンと鉢合わせした。


「おうっ!お嬢ちゃんとジャックじゃないか」


「まあジャン!久しぶり、元気そうじゃない」

「お帰りお父さん」


 ジャンの他に魔物討伐に行ったメンバーなのだろう、屈強な男たち8人と一緒だった。その中には怪我をしている者もいた。


「ああただいま。ちょっとギルド長に依頼の報告をしてくるから、待っててくれるか?」


「じゃあでジュースでも飲んで待ってるわ」


「すまんな」


 そう言ってジャンは、討伐に行ったメンバーとギルド長に報告しにいった。


 それ程時間もかからずギルドへの報告も終わり、咲良たち3人は宿に向かった。

 宿の夕食の席でお互いの報告をした。


「ジャンの討伐依頼って何だったの?」


「あぁ、鉱山山頂付近の魔物討伐だ。BとCランクの魔物が群れてたんだ」


「Bランクの魔物、それは大変だったんじゃない?」


「まあケガ人は出たが全員帰って来られたし良かったよ」


「みんな無事が1番だもんね。どんな魔物だったの?」


「ああ、Bランクのリッチとバンパイア、あとはCランクのファントムとDの骨折りゾンビとかだな」


「えっ、アンデッドばっかりじゃないか、お父さんはどうやって倒したの?」


「ああ、相手がアンデッドだって、前もって分かっていたからな、聖属性の付与された武器をみんな持って行ったし、回復役の聖属性の魔法使いもいたからな。どうも1人の魔族が魔物を集めていたみたいなんだ。あそこまでB.C.Dランクを集めるのは大変だったと思うぜ」


「お父さん、魔族に同情しちゃだめでしょ」


「まぁそうだな。実際、俺たちはヤバかったしな、だが突然、光の波が通り過ぎたかと思ったら、たくさんいた魔物が全て崩れ去って、魔石だけになっちまったんだよ。魔族も突然の事で相当深傷を負っていたぞ。魔族には逃げられちまったがな。聖属性のメンバーに聞いたが光の波の事は分からずじまいだったよ」


 心当たりがあるジャックと咲良は、自分たちの行動を思い出しつつ、日時を確認した。


「あ~お父さん、その光の波があったのはもしかして………3日前の夕方頃かな?」


「ん~と、魔石を集めて下山してだから…………確かにそのくらいだな。日にちだけじゃなく夕方ってとこまであってるな……………」


 ジャックと咲良は自分たちの依頼の事を話した。

 骨折りゾンビ220体とファントム1体を倒した事、最後は咲良が殲滅した事まで…………


「ちっ違うのよ、骨折りゾンビが怖いのがいけないんだからね!」


 咲良は怖すぎてその時は必死だった事を主張した。


 ジャンはため息をついた。


「そっか、お嬢ちゃんの魔法だったのか…………改めて思い出すと凄え光景だったぞ。一瞬でアンデッドが崩れ去っていくんだからな。それが無かったら魔族と戦う事になってもっと怪我人も出てただろうから助けてもらった事になるな。ありがとなお嬢ちゃん」


「えっ?ええ、気にしないでいいわよ」


 自重しろと怒られるかと思っていた咲良は、お礼を言われてホッとしていた。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆


 読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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