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時を戻そう!熊の獣人オルセット視点!


 俺はオルセット、鉱山地区を仕切ってるトマゾ管理長の助手だ。

 熊の獣人で16才、魔法は使えないが力がある。

 物怖じしない性格をトマゾ管理長に買われて雇われたのだ。


 ある朝、管理事務所で荷物整理をしていたら、トマゾ管理長に呼ばれた。

 行ってみると俺と同い年くらいのひ弱な小僧と子供が立っていた。

 トマゾ管理長に魔物の討伐依頼書を渡されて、コイツらへの説明と案内を指示された。

 この前、鉱山労働者たちがバトルマリン採掘場に行ったが、魔物がたくさんいて戻って来たやつだ。

 いつもなら魔物数体なので鉱山労働者たちでなんとか倒せるのだが、今年は骨折りゾンビ20体と多すぎてどうにもならなかったようだ。

 どう見てもコイツらじゃ無理だと思った。

 しかしトマゾ管理長の指示だからしょうがない、説明してやるか。聞けばビビッて逃げ帰るだろう。そしたら強い冒険者に変わってもらおう。


 ところがだ!!


 ガキの方が、俺が着いて来なければ今日中に倒せるとかぬかしやがった!

 行くだけで1日半かかるのに、なんにも知らないガキだ!これだから人族のガキはだめなんだ!

 早く帰りやがれと思いながら説明してると、突然ガキがテーブルをぶっ壊した!!

 頑丈が売りの新品のテーブルだぞ?

 それを素手で真っ二つ??

 もしかしてこのガキヤバイのか?

 俺の命はヤバイのか?

 ………とりあえずさくらさんの言う通りやらせてみる事にした。

 20体の魔物を見れば諦めてくれるだろう。

 俺の命がヤバイので管理長に必死に頭を下げて、次の日鉱山労働者を一緒に連れて行く事を了承してもらった。


 次の日、俺は小僧とさくらさんと鉱山労働者を連れてバトルマリン採掘場に向かった。

 これだけの人数を動かしての失敗なら、小僧とさくらさんも諦めるだろう。

 これなら俺の命も大丈夫だろう!


 俺たちは朝から標高4.500メートルのバトルマリン採掘場へ向けての登山開始だ。

 初日は標高3,800メートルにある山小屋が目標だ、毎年行くのだから、1日で登れる辺りに山小屋が建てられている。

 小僧もさくらさんもどうせ音を上げるだろうと思っていたが、その日泊まる山小屋までは登れた…………まあまあ体力はあるんだな。


 夕食の時に鉱山労働者たちみんなが干し肉を食べる中、さくらさんは焼き立ての串焼きを食べていた?!

 旨そうだなと思って見ていると、さくらさんがリュックから焼き立ての串焼きを出して俺にくれた。リュック型のアイテムボックスか…………かなり高い代物だ。

 串焼きの肉もレアなワイバーンの肉らしい…………これも高い。

 子供なのに酒も持っていた………さくらさん金持ちか。


 次の日から鉱山労働者たちは、串焼きと酒を持っているさくらさんに気を遣い始めた。

 さくらさんが疲れてそうなら休もうと言い出したり、森の中で魔物が現れるとさくらさんの盾になったりした。

 現れた魔物は小僧が倒していた…………ジャックは強かった。


 無事にバトルマリン採掘場に着くと鉱山労働者には近くの宿泊小屋で待っててもらい、俺とさくらさんとジャックで魔物退治に向かった。

 ジャックが死んでも俺がさくらさんを背負って逃げて来ればオールOKだ。

 のつもりだったが、なんとなんと!戦闘が始まるとジャックが骨折りゾンビ20体をあっという間に倒してしまった!

 そしてその後すぐに現れた骨折りゾンビ20体も倒してしまった…………ジャックはすげぇ強かった!


 その後もジャックは現れる骨折りゾンビを、ちぎっては投げちぎっては投げ…………いや、斬っては蹴り飛ばし斬っては蹴り飛ばしてやっつけていった。

 気がつくとジャックの兄貴は、9つの広間180体の骨折りゾンビを倒しきり、残るはあと大広間だけとなった。


 すげえ!すげえよジャックの兄貴!


 最後の部屋の前で、さくらの姐さんが中の魔物の数が多い事や更に強い魔物がいると言い出した…………そう、さくらの姐さんはすげえから離れた魔物の様子が分かるのだ!

 さくらの姐さんが、俺がいなけりゃ勝てるんだと言いだした…………。

 姐さん!俺が足手まといですいやせん!

 突然帰り道がふさがれた!

 仕方なく足手まといの俺を連れて大広間に入った。

 最初魔物がいないかと思っていたが、大広間の真ん中まで行った時に大勢の骨折りゾンビが天井から降ってきた。

 咄嗟にさくらの姐さんとジャックの兄貴が俺を守ってくれた…………やっぱ俺は足手まといだった。

 そしてさくらの姐さんは間近で骨折りゾンビを見てとんでもない悲鳴を上げた。

 あっ、とんでもなくなんてない、さくらの姐さんの涼やかな歌声が大広間に響き渡った。


 歌声が止んだので俺が目を開けると、目の前にはさくらの姐さんに従う様に跪いた洗練された装いの美しい女神様がいた。


 女神様がさくらの姐さんに囁いた後、さくらの姐さんから光が広がり魔物たちが全て崩れ去っていった。


 女神様はその様子を満足げに見つめていた。


 呆然としながら俺がずっとさくらの姐さんにしがみついていたら、女神様が俺に気がつき突然顔面を足で踏んづけてきた。


 ゲシッ!


 …………痛くない。

 ………女神様?

 …………むしろ気持ちいいです。


 そして女神様がお言葉を告げられた。


「おい!熊っ!咲良様に触れるなっ!」


「えっ?」


 ゲシッ!ゲシッ!


「離れろっ!離れろやこの熊~~っ!」


 ゲシッ!ゲシッ!ゲシッ!


 女神様の踏んづけはしばらく続いた…………


 あぁ気持ちいい、お言葉の真意は分からないが、なんという優しさだろう…………思いっきり蹴っている様に見えてまったく痛くない。むしろ回復していくようだ…………ありがとう女神様。  

 女神様はさくら姐さんにしがみついている事を怒っていらっしゃるみたいなので、俺がさくら姐さんから離れると踏んづけが終わってしまった。


 そしてまた女神様からお言葉を賜った。


「おい熊!これで済んだと思うなよ」


 そして女神様は姿をお隠しになった。


 これで済んだ訳ではない事を俺は喜んだ。

 女神様にまたお会い出来るかもしれない。

 また踏んでもらえる…………。


 女神様はさくら姐さんをお守りになっていたのだろう。

 女神様に守られるなんてさくらの姐さんはやっぱすげぇ!



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



  読んで頂き有難う御座います。

             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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