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冒険者ギルドを訪ねて!


 商人ギルドでの用事を終えた咲良たちは、昨日行った北門前の冒険者ギルドに向かった。


 昨日ジャンは魔物討伐依頼の手伝いをギルド長にお願いされていたのだ。

 今日ジャンはギルドに集合して、討伐メンバー数PTと共に討伐依頼に出発するそうだ。


 ギルドに向かいながら申し訳なさそうにジャンが説明する。


「お嬢ちゃんのそばに居てやりたいんだが、Aランク冒険者の義務としてギルド長にお願いされると断れないんだ。4~5日で済むと思うからすまんがそれまで大人しく過ごしててくれ」


「大人しくって………まあ分かったわ。ジャンが帰ってくるまでに神楽公演が出来ないか調べてみるから、毎日寝る前に太鼓のリズム練習忘れないでね」


「おっ……………おう」




  *  *  *  *  *



 冒険者ギルドはかなり古い建物だが、手入れの行き届いた木の艶から歴史を感じられた。


 咲良たちはジャンを先頭に冒険者ギルドに入った。


 ギィ~~ッ、

 カランコロンカラ~ン


 冒険者ギルド内は、受付カウンターに並ぶ者たちや右側にある居酒屋スペースで談笑する者たち、左側の壁いっぱいに貼られた依頼書を吟味する者たちなど、多くの冒険者で賑わっていた。


 先頭で入ってきたジャンの強者の雰囲気に室内は静まりかえった。

 続いてジャックと咲良が入ってきて多くの者が困惑するが、ジャンを知る者のひそひそ話により全員に剛腕のジャンである事が知れ渡った。

 そして冒険者ギルドに似つかわしくない咲良だったが、ジャンの連れである事は明白なので絡まれて揉める事はなかった。



「じゃあ俺は2階で討伐依頼メンバーと合流して討伐に行ってくるから、俺が戻るまでの間お嬢ちゃんの事をよろしくなジャック」


「分かった。必ず守ってみせるよ」


 ジャンとジャックは拳をコツンとつき合わせた。




  *  *  *  *  *




 ジャンを見送った咲良とジャックは、ギルド内の視線を感じながらも端っこのテーブルに座り今後の事を小声で相談した。


「冒険者ランクを上げる為には、レベルを確認されちゃうのよねぇ……」


「うん、ランクアップ条件に最低レベルがあるから、昇格試験を申し込む時に魔道具でレベルを確認されるんだ」


 ジャックはランクアップの為のレベル条件も説明していた。

 EランクはLV10以上。

 DランクはLV20以上

 CランクはLV30以上

 BランクはLV40以上

 AランクはLV50以上

 SランクはLV60以上である。


 咲良は学校を卒業してFランクのままだが、LV40なのでBランクまでのレベル条件はクリアーしている。

 ジャックは咲良のお陰でレベルが34まで上がっていてCランクのレベル条件をクリアーしている。

 年齢と同程度のレベルなら良しとされるこの世界で、2人とも大っぴらにしたくないレベルだ。


 この社会でレベルを確認する方法は教会の儀式で使っていた水晶玉の魔道具しかない。

 水晶玉は魔法属性の他に名前やレベルも表示され便利なのだが、制作する技術は無く古代遺跡から発掘するしかないのだ。

 更に全ての水晶玉は教会の所有物となる決まりなので、普段は教会でお金を払ってレベルを確認する。

 冒険者ギルドは水晶玉を教会から貸りているのでレベルを確認する事が出来るのだ。


 レベル確認の為に咲良がいつも気軽に使っている『サーチ』は、忘れ去られて誰も知らない魔法なのだ。


「貴族相手に冒険者ランクを上げる必要があるかと思ってたけど、商人ギルドランクを上げれば何とかなりそうだから、咲良は冒険者ランクを上げない事にするわ」


「僕が冒険者ランクを上げて、少しでもさくらを守れるようにするから大丈夫だよ」


「ありがとうタッくん、助かるわ」


「じゃあさっそく、依頼をこなそうかな」


 ジャックは壁に貼ってあるDランクの依頼書の中から、気になった物を持って受付カウンターに並んだ。


 ジャックが受付カウンターに来ると、若い受付嬢は格好いいジャックに気づき慌てて銀髪の長い髪を整えてから笑顔で応対した。


「いらっしゃいませっ!モンテラーゴの冒険者ギルドへようこそ。私はキアラです。どういったご用件でしょうか?」


「えっと、この依頼をお願いします」


「はいっ、この依頼ですね………あれっ?えっと、Dランクの魔物討伐依頼ですが間違いないですか?」


 Dランクの依頼はLV20以上なので20才以上の者が請ける依頼だ。しかし受付嬢キアラにジャックはまだ10代に見えたので、間違えたのだろうと思ったのだ。


「ええ、Dランクで間違いないです」


 ジャックはそう言いながら青いギルドカードを差し出した。

 ジャックのレベルは年齢よりもだいぶ高いが、冒険者ランクを上げる為にレベルを隠すのを辞めたのだ。


 まだ若くして青のギルドカードを持つ将来有望なジャックに受付嬢キアラは目を輝かせていた。


「まあ~凄い!お若いのにDランクだったんですね、失礼しました。この依頼はPT推奨ですがメンバーの方は何名ですか?」


 依頼書にはモンテラーゴ鉱山内部でDランク骨折りゾンビ20体の討伐と記されていた。


 ジャックはレベルだけなら34のCランクで、魔物は格下のDランクだ、1vs多数でも勝てる自信はあった。

 勿論、咲良が一緒にいるから1人ではないのだが、それは言えないので言いづらいが1人と言うしかなかった。


「え~っとですね…………僕1人です」


「はいっ?流石にお一人はお辞めになった方がよろしいかと思いますが」


「この魔物なら戦った事があるので僕1人でも大丈夫です」

 

「いやでも、この依頼内容は複数との戦闘で囲まれる可能性が十分ありまから」


「この魔物はお父さんと何度も戦ってますので慣れてるんです」


 ジャックが何度も戦ってるっていうのは嘘だ、2年前に1度、戦った事があるだけだ。

 その時はレベル14で経験の為にジャンに無理矢理連れていかれたのだ。

 しかしジャックは防戦一方で結局1体も倒せず、全てジャンが倒したのだ。

 ジャックにとってこの依頼はリベンジのつもりもあったのだ。


「お父様とはどういった方でしょうか?」


 キアラは受付業務が忙しくて、ジャックとジャンが一緒に入って来たのを見ていなかった。


「お父さんはジャン・ヴァレンティーノと言います。剛腕のジャンで知られています」


「えっ?!あっ、ギルドカードを確認させて頂きます」


 キアラは慌ててジャックのギルドカードを確認した。


 そこにはジャック・ヴァレンティーノの名前と一緒にLV34と表示されていた。


 キアラは昨日姉のルチアから剛腕のジャンが冒険者ギルドに来てギルド長に会っていったと聞いていたが、こんな格好いい息子がいるとは聞いていなかった。

 キアラの目はジャックに釘付けだった。


(10代でLV34なんて将来有望だわ!純情そうな今のうちになんとか私の物に………)


「ジャックさん分かりました。ではこのモンテラーゴ鉱山内部の魔物討伐をお願いします。骨折りゾンビが20体以上と報告されていますのでくれぐれも気をつけて下さいね。無事に私キ・ア・ラのところへ帰ってきて下さい!そして2人でお祝いしましょう!」


 ジャックは戸惑いながらも笑顔を返した。


「ええ、無理せずに討伐して帰ってきます」


「無事を祈って待ってるからねジャック」


 キアラの積極的な態度に咲良はなんだかモヤモヤしていた。




 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆


 読んで頂き有難う御座います。


             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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