村長のお礼
ロムウェルはまだ起きていない。これからどうしようか迷っていると、村人が話しかけてきた。
「助けて下さり、ありがとうございます!!」
「気にするな。」
「そう言われましても……。なら、今夜宴会をするので、参加して下さいませんか?」
「まぁ、それくらいなら。」
「ありがとうございます!」
正直村人達はどうでもいい。ロムウェルは当分起きないようなので、それまでここにいるだけだ。冒険者達は1箇所に集めておいてはずだが、見当たらない。
「おい、冒険者達はどこに行った?」
「ただいま拷問中です。」
「大丈夫なのか?」
「ご安心を。この村には拷問用に相手の力を抑える道具があります。」
「そうか。」
冒険者達は暴れないのかと思ったが、力を抑える道具なんてあるのか。少し興味があるな。拷問用だからあまり実戦だと使えないのだろうが、どうゆう仕組みなのかは気になる。
家から出てきた村人がこちらに近づいてきた。何か用だろうか?
「名前を教えて頂けませんか?私は村長のヤルスカ・デ・カンと申します。」
「俺はシズルだ。何か用か?」
「はい。お仲間を家で休ませているので、シズル様も休むべきだと思い、部屋を用意しておきました。こちらに着いてきてください。」
素直に着いていく。確かに疲れている。今休んで置かないと、宴会に疲れた顔で行くことになる。さすがにそれはどうかと思うので休むか。色々考えたいこともあるしな。
しばらく歩いていると、村長は止まった。どうやら着いたようだ。周りの家と比べると大きいが、あまり贅沢してるようには見えない。村長も村長で大変なのだろうか。
「トイレと風呂は部屋にありますので、ご自由にお使いください。宴会の時間になりましたら、呼びに行きますので、部屋からあまり出ないでください。」
「分かった。」
「これが部屋の鍵になります。」
「何から何まですまんな。」
部屋に来る途中廊下を通ってきたが、掃除は行き届いているようで中々綺麗だ。と言っても綺麗なだけで、何も無いので寂しい感じもする。
とりあえず風呂に入るか。今日は色々あったなぁ。
部屋に服が置いてある。これを着ろということか。替えの服なんて持ってきてないしちょうどいいな。
シャワーを浴びながら今日のことを振り返る。ロムウェルが死にそうなのを助け、また死にそうなのを助けて……、あれ?あいつ死にかけてばっかりじゃないか?そこで俺は深く考えるのをやめた。
風呂に入り、気分がさっぱりしたところでベッドに入る。思ったよりすぐ寝れそうだ。
やばい、寝過ごしたか?窓から外の景色を確認する。まだ大丈夫そうだ。ベッドでゴロゴロしたりして時間を潰しているとノックの音がした。迎えが来たようだ。
さて、宴会に行くか。