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冒険者は救えない!~世界への反逆~  作者: チョコクリーム
1章 始まりの日
6/20

それでも彼は

 


 僕は目を閉じた。だが、覚悟していた痛みは来なかった。その代わり、不思議な浮遊感がした。恐る恐る目を開けると、そこに居たのは、


「よぉ、遅くなって悪かったな」

「シ……ズル…さん?」

「おう。俺だ。危なかったな」


 シズルさんの強さじゃ勝てるわけないのに、なんでか分からないけど安心した。そろそろ眠くなってきた。もう寝ていいよね、僕頑張ったよね。母さん、父さん…。


「こんな所で死なないでくれよ。まだパーティー組めてないんだから…」


 そこで僕の意識は途切れた。







  ♦┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈♦



 何とか間に合ったか。余裕ぶってはいるが実際かなりギリギリだった。ロムウェルは元々HPが結構減っていて、今にも死にそうだ。戦闘に時間はかけられないか。


 俺の今の力は冒険者B級と同じぐらいだろう。さすがに勝てるとは思うが、油断はしない。あまり時間がないし、相手が何かする前にやるか。


 相手の数は8人、その内3人はそこまで強くなさそうだ。残り5人は確かに強そうだが、こちらの方が強い。代償を払ってまで手に入れた力だ、負けたら困る。


「…お前はロムウェルを治してこい」

「ひとまず応急処置でいいですかね?」

「そうだな。こいつらを倒したら余った力を渡すから、それで治してくれ」

「分かりました」


 代償を払った時に力と一緒にこいつも付いてきた。自称この村の守り神らしい。最も神という程の力はないらしいが。それでもG級の俺を一時的にとはいえ、B級のレベルに上げるとはさすがは神と言ったところか。


 今は無駄な事を考えている暇はないな。ロムウェルのことは守り神とやらに任せたから、こっちに集中出来る。


 冒険者達はいきなり出てきた俺にどうしていいか困っているようだ。ならこちらから攻めるか。力任せに思い切り踏み込む。踏み込むと同時に短剣を前に突き出す。


 どうやら力を入れすぎたみたいだ。短剣を抜くと風穴が空いているのが確認できた。それに踏み込みすぎたせいで、冒険者達から大分距離が離れた。与えられた力だからか加減が出来ないな。


 冒険者達は呆然とした顔でこちらを見ている。一瞬にして1人やられたことが信じられないようだ。今なら2人はやれそうだな。


 さっきとは違い、70%位の力で踏み込み刺す。思ったんだが、これ程身体能力に差があるならわざわざ短剣で刺さなくても殴れば良くないか?短剣を刺したまま隣の冒険者に殴りかかる。


 殴るのは慣れていないが、そこは身体能力でゴリ押しする。防御をしようとするが、遅い。殴ると、勢いよく吹き飛び、気を失った。短剣は要らんな。


 後5人。ようやく相手も動き始めたようだな。弱いやつは1人か。先にそいつの懐に潜り殴る。後4人。直感で右に跳ぶと、さっきまでいた場所に大剣が叩きつけられた。


 油断はしていなかったつもりだが、心の底では舐めていたのだろう。自分の中で集中力を上げる。あくまで気持ち的にだが。


 冒険者の武器を見ると、大剣が1人、弓が1人、杖が2人。杖2人は杖をこちらに向けてなにかしている。不味い。魔法か!だが俺の後ろには運の悪いことに村人達がいる。


 杖持ちに急いで行くが間に合わない。腕を前にクロスさせ、最低限顔は守る。衝撃が来るが、本気でタックルされた程度の痛さだった。痛みはそこまで問題ないが衝撃が強く体勢が崩れる。だが、そのまま走り続ける。弓持ちがこちらを狙っているからだ。ダメージはそこまでないがロムウェルの治療の為にも力はできる限り残しておきたいしな。


 転びそうになりながらも何とか走りきり、杖持ちに襲いかかる。片方は殴り飛ばし、もう1人は杖を奪い、その杖で突き飛ばす。杖の方がリーチがあるし多少は手加減出来るだろう。


 あと2人。大剣持ちはこちらに走ってくるが、鎧や大剣で重いのもあり、とても遅く見える。それよりも弓持ちのやつだ。遠くから矢が飛んでくるが、杖で叩き落とす。


 大剣持ちの方に全力で突進し、吹き飛ばす。なかなかの重量だが、全力を出したこともあり、奥の家に突っ込んだ。あれなら暫く動けないだろう。


 弓持ちの方は逃げているが、この距離なら数秒だ。杖で転ばせ、頭を軽く叩く。これで全員潰したか。とりあえず散らばっている奴らを1箇所に集めて、村の人に手伝ってもらい、縛らせる。


 ふぅー、疲れたな。力は30%ぐらい残っている。それを守り神に渡し、ロムウェルを治させる。


「容態はどうだ?」

「命に別状はないです。このまま半日寝てれば治ると思います」

「そうか。ありがとう」


 良かった、何とかなった。あいつがいきなり村へ走りだした時は驚いたな。あれは俺のせい、なのか?そんな考えをしていると守り神が話しかけてきた。


「私はもう力を使い切ったので、もう消えると思います。この村のこと、よろしくお願いします」

「あぁ、できる限り頑張る」


 そう言って守り神は消えていった。結局男なのか女のか聞いてなかったな。見た目が中性的でよく分からなかった……。

見返してみると意外と誤字があったりで大変だということを知りました。( ; ; )

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