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文明の果て  作者: JF
一章
4/6

4.情報収集

すこし長いかもしれません。

村に入った純は、まず一般常識を調査することにした。それもそうだ。純が起きる前の時代とは通貨も生物の生態系ですら違うのだから。

『こういうときは子供に聞こう。お礼に甘い果物でも渡せばそれでいいし。』

まずは子供を探すことにした。直ぐに見つけることに成功する。だが、目の前にいる子供たちの様子に戸惑うことになる。

「ヒーローごっこ……には見えないな。」

10才くらいの男の子3人組が1人の可愛らしい男の子を壁に追い詰め、罵倒していた。

「お前臭いんだよ。」

「なんで村から出ていかないの?なんで?」

「貧乏人がっ!なんか言えよコラ!」

『こりゃイジメだな。どの時代にもあるんだな…』

まわりを見渡してみると周りの大人たちも黙認しているようだ。

「胸糞悪い…」

純は冷静になるため深呼吸してから少年たちの前に行き話かけることにする。

「おい、そのくらいにしたらどうだ。」

少年たちはこちらに向き直り、怒りの矛先をこちらに向けてくる。

「おっさん、なんだァ、文句あんのか。」

「いや、その子嫌がってんじゃん。」

「良いんだよ、こいつは村中から嫌われてるから。」

『やはり大人もグルか…』

「うーん……あっ…君たち甘いものは嫌いか?」

「「甘いもの?」」

「物で釣る気か?」

『二人は釣れたな。』

「あぁ、釣られる価値はあると思うぞ。」

バッグからひとつのりんごを出す。

「「「えっ!」」」

「おっさん、それ果物か?」

「ああ、そうだが…なんだ珍しいのか?」

「珍しいなんてもんじゃない!都会の貴族様でもないと口に入らないだぞ!」

「へぇ~」

りんごを持った手を上に上げたり、横に移動させてみる。すると少年たちの視線がりんごに釘付けになっていることで確信する。

『釣れたな。』

「交渉といこうか。これをあと2個出すから、彼を見逃してくれないか?」

「「「わかった!」」」

「ほらよっ大人達にはバレないように食うんだぞ。」

「おっちゃん、サンキュー」

少年たちは服のなかに隠してあっという間に駆け抜けていった。

「現金なもんだな。おい、坊主大丈夫か?」

壁際で蹲る少年に話かける。

「うぅ…お兄さん、なんで助けてくれたの?」

「正義のため…いやそんな対したもんじゃないな。まぁ自己満足だ。」

「ありがとうございます。」

「ちょっと待ってろ。」

バッグから医療キッドを取り出す。スイッチを押し起動して自動で彼を診察する。症状を判断し、薬液を霧状にして、彼に振りかける。すると、みるみる内に今負った傷どころか、古傷までもが治っていく。それどころか、汚れていた身体や衣服も綺麗に洗浄してしまった。

「あれっ?痛くない…体も綺麗になってる…なにしたのお兄さん?」

「これは、失われた遺産ってやつだよ。スッキリしただろ?」

「…でもこんな高価なもの、僕はなにも返せないよ………」

「今言ったが、自己満足だから良いんだよ。」

「でも…」

「なら情報をくれないか?」

「情報?」

「まあ、情報と言っても一般常識を教えて欲しんだ。遠くから来たもんで、この国のことなんかを教えて欲しいかな。」

「わかったよ。わからないこともあるから、その辺は勘弁してね。」

「頼むな。あとここじゃまずいから、できれば君の家に招待して欲しいな。」

「うん、わかった。ありがとう。」

「どういたしまして。」


少年に案内され少し歩くと到着する。一言でいうと、小さな小屋だった。ドアのない玄関にがら空きの窓。室内には家具も何もない。ただ寝るためだけの家だとわかる。

「好きなところに座ってね」

地面に向かい合うように座り、気になったので聞いてみる。

「君、家族はいないのか?」

「うん、母さんがいたけど、2年前に病気でしんじゃったんだ。」

「父さんは?」

「母さんが生きていた頃に聞いた話だと僕が生まれる前に化け物に襲われて死んじゃったんだって。」

「じゃあ2年間1人で生きてきたのか?」

「うん、でも村長さんや門にいる隊長さんがご飯を分けてくれるから生きてこれたんだよ。」

「大変だったんだな…それより腹減ってないか?」

話を切り替えるために食事の話をすると、彼の腹の音が聞こえたような気がした。

「うぅ~大丈夫。お腹すいてないよ…」

「嘘だな、腹が減ってたら話もできないから、これでも食えよ」

バッグからサンドウィッチを取り出し彼に渡す。

「お兄さん、これなに?ふわふわしたのにピンクと黄色いのがはさまってるね。」

「まあ、気にしないで食べなよ。上手いから。」

少し戸惑った後、決心したのか端の方を口に入れる。すると、目を大きく見開き一気に口にいれ味わうように良く噛んで飲み込んだ。

「上手いか?いや聞くまでもないか…ほらまだあるから食べな。」

「良いの?」

「その代わり、ゆっくり食べなさい。喉に詰まらせるから。それとこれも飲んで良いぞ。」

水筒を取り出し前に出す。すると頷き次々と食べていく。

「ご馳走さまでした。すごくおいしかった~本当にありがとうございました。」

「お粗末様でした。」

満足したことでようやく本題に入り、情報を聞くことができた。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


貨幣価値は

銅貨=10円

大銅貨=100円

銀貨=1000円

大銀貨=10000円

金貨=100000円

大金貨=1000000円

白金貨=10000000円

となっている。


 遥か昔この世界が栄えていた頃、世界規模の大きな災害があり人間以外の生物が種を絶やさないために、幾年月を重ねて進化したのが『化物』らしい。

その化物を専門に倒して生活する『冒険者』という職業が存在するらしい。

この村のジャン隊長が元高ランク冒険者だったらしいが、村に戻りこの村の為に門兵の隊長として働いているそうだ。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


「良くそんなことまで、知ってるな。」

「村長さんと隊長さんのところに仕事の手伝いに行ったときに教えてくれたんだよ。化物の話は死んじゃった母さんが話してくれたの。」

「あとお金の計算はまだだけど、村長さんの仕事を見て覚えたの。」

「へぇ~良い人達なんだな。仕事はなにをしてるんだ?」

「うん。二人とも良くしてくれるんだぁ。お手伝いはお家のお掃除と荷物運びだよ。」

「大きくなったら、隊長さんみたいに強くなって冒険者になるんだ。」

「それじゃ、あの蠍くらいは倒せないとな。」

「いゃ~あれは無理だよ。災害クラスの化物だから」

「災害クラス?」

「うん。あれは一流の冒険者が何十人かでやっと倒せる化物だから。」

「えっと…そうなんだ。(ヘッドショット一発だったぞ…)」

「今回の襲撃は撃退出来たから良かったけど普通なら村まるごと食べられるくらいなんだよ。」

「良かったな。(倒したことは言わないでおこうか。)」

ふと視線を感じて外に目をやると、村人と比べるとすこし身なりの良い服装の青年がこちらに歩いて来て声をかけてきた。

「あの~あなたは純様で間違いありませんか?」

「ああ、そうだが。」

「村長が今回のことで感謝したいと言っていますので一緒に同行願いますか?」

「別にそこまでのことじゃ無いんだが…わかった行こう。この子も一緒でいいか?」

「?君は…あぁ良いぞ、村長忙しそうだったからな。手伝ってくれ。」

「じゃあ案内してくれるか?」

「はい、すぐそこですので。」

その男の後ろについていく。

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