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文明の果て  作者: JF
一章
2/6

2.蠍

村の周りには木でできたであろう、弱々しい柵が有るだけで、外にはあまり頼りない堀があり外敵からの攻撃を防ぐには厳しい作りである。

どれ程の期間この村が存在しているかはわからないが、見える範囲の建物なんかは年季がはいっているため外的を寄せ付けない何かが有るのだろう。

ただ黙って見ているわけにもいかないので門らしき場所から中に入ることにする。近くに行くと門兵らしき男に話かけられる。

「おい、にーちゃん止まってくれ。身分証はあるかい?」

「これで大丈夫ですか?」

自分の首にかかった研究員証を見せる。

「おいおい、にーちゃん。名前は書いてるみたいだが、これじゃ証明にはならんぞ。」

「あっほんとですか?なら他にはないのですが…どうすれば中に入れますか?」

「身分証の発行だな。手数料さえ払えば、作れるが金はあるのか?」

「ちなみにいくらになりますか?」

「銀貨10枚だ。ちなみに犯罪を犯したことはねーよな?」

「はい。ありません。ただ、ここに来る最中大きな蟻に襲われ命からがら逃げ出せましたが、財布を落としたのでお金がありません。」

「アイアンアントか、災難だったな。なら金になりそうなものと交換でもいいぞ。」

「アイアンアントと言うのですね。食料しかないのですが、それでも大丈夫ですか?」

「ものによるな、見せてもらってもいいか?」

カバンの中から生の肉を出そうとしたその時、村の中の警鈴が鳴り響き、叫び声が聞こえる。

「にげろー!!!アイアンスコーピオンが近づいてる!!!村を捨ててにげろー!!!」

見張り台の男のその叫びに静寂の後、村の中は阿鼻叫喚となった。

目の前にいる門兵も顔を青ざめる。

「あいつはマズイ、にーちゃんも逃げるぞ!」

大きな蠍が来る方向へ振り向くと砂塵を撒き散らしながら、こちらへ向かってくる陰が見える。先程の蟻より一回り大きく鋼のように固そうな外殻を持った巨体が鈍足ながら近づいてくる。

「あれだけ大きければ頭に一撃で体は残せるか。」

村の近くで戦うのは危ないと思い走り出す準備をする。

「そっちには蠍がいるんだぞ!なにやってんだよ!」

その声が聞こえるかどうかで走り出す。走りながらキーワードを発言する。

「『ジェットブーツ起動』」

すると身体が浮かび上がり走る速度を越えた早さで蠍へと向かって行く。接触する瞬間頭を蹴って飛び上がり腰から銃を取り出しヘッドショットを決める。すると綺麗に頭だけ無くなった蠍が倒れる。それと同時に後方へ着地する。

「なんとか胴体は残ったか。威力の調整もバッチリだな」

一呼吸置き、胸ポケットから煙草を取り出し咥えて火を付ける。

「ふぅ~これで研究できるな。」

空を見上げながら一服していると村の方から数名の武装した兵隊がこちらに駆けてきて、先程の門兵が話かけてくる。

「にーちゃん無事か?てかこれさっきの蠍だよな?どうなってんだよ!?」

「怪我はありません。素材が欲しかったので倒しました。」

「「「「「「はっ?」」」」」」

「倒したってにーちゃん一人でか?」

「他に誰かいますか?」

兵隊たちがまわりを見渡す。

「いないが………ありえないだろ……アイアンスコーピオンだぞ。ここにいる兵隊が後10人いても、相討ちを覚悟しなきゃならん化物だぞ。」

まわりの兵隊たちもうんうんと頷く。

「その辺は秘密で。」

「秘密だと!説明しろよ!」

興奮している門兵の後ろで聞いていた一人の兵士が口を挟む。

「まあいい、早く村に戻るぞ。じゃないとまた化物が出てくるぞ」

門兵が我に帰り頷く。

「でもこれどうする?」

「それなら大丈夫ですよ。僕が収納しますんで。」

カバンの口を開き蠍に触れて「収納」と唱える。すると、カバンに吸い込まれるように収納される。その光景をみた兵隊たちは口をポカーンと開けて静止してしまう。そのなかで、隊長らしき人正気に戻りが一番に口を開く。

「失われた遺産か……なるほど。なんとなく理解はした。」

その声を聞き、他の兵隊たちも正気に戻る。純は不思議に思い隊長に聞き直す。

「失われた遺産?何ですかそれは?」

「あと話は詰所でしようか。」

純は頷き小走りの兵隊に追従して村にはいる。

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