委員長
「〇〇君、何見てるの?」
後ろの席のクラスメートが声を掛ける。
「?、何って明日の連絡事項を」
黒板に向かって連絡事項を記入する委員長の〇子の背中を見たまま答える。
「へええ」
驚いた様な声で続けるクラスメート。
「あたしてっきり〇子の足に見とれてるのかと思った」
正直に言おう、勘の良い女子は嫌いだ。
言っておくが〇子の足が綺麗なのは俺のせいじゃないし、目立つ黒タイツなぞ履いて来たのは〇子であってこれも俺の責任ではない。
他の女子が白か紺のロングストッキングなのに〇子だけが黒タイツなので目立つことこの上ないのだ。
これで俺が変な目で見られては割に合わない。
嫌、本音を言えば〇子の黒タイツ姿は罵声を浴びるに充分な価値は有るのだが。
「どうだか怪しいもんよねー」
別席の女子が囃し立てる。
「濡れ衣だ!」叫ぶ俺に又別の女子が問う。
「なら〇〇君、黒板になんて書いてある?」
「何って、タイツとか、デニールとか…」
「それって何?」
はて言われて気付いたが何の事だ。
「???」答えに詰まる俺に容赦ない女子の声。
「あれ、女子への連絡事項だよ?」
申し訳なさそうな顔で俺の顔を見る〇子委員長。
繰り返すが、勘のいい女子は大っ嫌いだ。黒タイツは大好きだが。