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春が青い  作者: 志村巧
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産休

「〇子がか?」

「あたしが誰の子供産むって言うんだっ!」

荒ぶる〇子の振り回す教科書の嵐を手で制止しつつなだめる。

「冗談だってば!」




挿絵(By みてみん)


「保体の〇川先生だよ」


ようやく〇子の手から教科書を取り上げ真相を聞き出す。


既に2児の子持ちの〇川先生。

保体の教師が3人目というのはどう言ったものか言葉に困るが。

目出度くは有っても非難に値する事ではないのは確か。


「身を持って保体の重要さを俺達に教えてくれてる訳だ」

口さが無い男子が叩く軽口を女子が窘める。


「でも産休とか羨ましいよな」

何の気なしに呟いて女子の非難を浴びる。

「何言ってんのよ出産の苦労分かってんの?」

「そうよその後の育児の大変さも」

「家事と子育て、旦那というおっきな子供の世話まで」

集中砲火を浴びる。


こんな時我がクラスの男子はてんでだらしない。

俺に助け舟を出すどころか、触らぬ神に祟りなしとばかり距離を置きやがる。


「まあまあ」

さっきまで先頭に立って荒ぶっていた〇子がみんなを宥める。


「まだ子供の〇〇君をそんなに責めちゃ可哀そうだよ」

庇って貰えるのは嬉しいが、子供って。


「それに、この中の誰かがいずれ○○君の為に産休取らないとも限らないんだしさ」


〇子の言葉に顔を見合わせた女子達。

何か言いたそうな表情を交わして、でも何も言わず自分の席に戻っていく。


いや、この対応、どう受け止めていいのかかなり反応に困るんですが…。










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