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春が青い  作者: 志村巧
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呼び出し

「〇〇君3年生に呼び出されたんだって?」

教室に戻った俺にクラスの女子が心配そうな声を掛ける。

呼び出されたのは確かにそうだが、別に揉め事があった訳では無い。





挿絵(By みてみん)


昨年の3年生に素行の悪い生徒が居て、下級生をパシリ扱いにして色々揉め事も起していたらしい。

当時1年坊主だった俺は他人事として聞いていたが、その時の記憶が女子の頭には残っているんだろう。


「ああ、かなりエライ先輩で参ったよ」

大袈裟にため息をついて群れる女子の輪に入る。


「どんな要件だったのよ」

身を乗りだして聞く女子。

「いやまあ配達と言うか…」

「パシリだ!」

女子の一人がすかさず言う。

曖昧な笑みを返す俺に畳みかける女子。

「相手何人?」

「嫌それは独りだけど」

「独りで後輩呼び出すとかつわものだねー」

顔を見合わせて何故か楽しそうな女子陣。


「いや先輩を立てるの後輩として当然の勤めだし…」

「言い訳しなくたっていいんだよ〇〇君」

「そうだよ、あたし達ちゃんと解ってるから」

思いやりは有難いがこそばゆいし実を言えば気まずくもある。


「いやほんと気を使ってもらうような事じゃないし」

俺の弁明も彼女らは聞く気が無さそうだ。

「ホント3年生も大人げないよね、後輩をこき使うとかさ」

「いやそうじゃなくて…」

「やっぱり先生に言った方が良くない?」

「いやそんな…」


盛り上がる女子陣に、持て余す俺の耳に、教室に入って来た〇子が声を掛ける。


「〇〇君、生徒会長と一緒に何処行ってきたの?」

〇子の声に顔を見合わす女子達。

「生徒会長?」

「…」

黙り込む俺はそろそろと席を立つ。


「プリントなんか抱えて会長の後ろを、嬉しそうにどこ行ってたのか白状しなさいw」


〇子が言い終える前に教室の扉に取りつく。


「こら〇〇!ちょっと待てー!」


女子が何か叫んでいるが、勝手に勘違いしたのは彼女ら。

俺に謝るいわれはない。

生徒会長がすこぶるつきの美人なのは生徒会長に言ってもらわないとな。


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