補習授業
「なんでお前が補習なんて受けるんだよ?」
成績優秀、品行方正を絵に描いたような〇〇子が居残りさせられる理由なぞ俺には到底思いつけない。
「交換留学の手続きでさ」
「??」
意味が解らず首を傾げる俺に諭すように言葉を続ける〇〇子。
「再来月から交換留学行くでしょ」
言われてみれば成績優秀で英検何級だかも持ってて交換留学に抜擢されたのだった彼女は。
「別にどうしても必要って訳じゃ無いんだけどさ」
「単位を少しでも埋めておきたいのよ」
笑顔でそんなことを言う。
やっぱり留学なぞする生徒は違うもんだなと妙な所で感心する。
感心してる暇が有るなら見習えと言う話だが。
「凡人の俺には自ら補習うけようなんて考えは逆さに振っても出てこないな」
首の後ろで手を組み大きく背伸びしてうそぶく。
「学んで理解出来た時快感だよ?分からないかなー」
「どうせ補習なら恋愛の補修でも受けたいわ」
冷やかす俺に成績優秀者の模範解答。
「まず補習って奴は授業を受けて、足りなかった場合にしか受けられない件」
そもそもまだ授業にも辿り着けてない俺には恋の補修はまだ早いと言いたいらしい。
回答にそつがなさ過ぎて、こいつと一緒に補習受けるとかどんな冗談だよと補習が始まる前から辟易する。




