相合傘
相合傘に憧れてはいたが。
帰り道自販機の前にうずくまる〇子をスルーも出来ずに近ずく。
雨に濡れてセーラー服もびしょ濡れ。
「ほっといてよ」
投げ捨てるように言う〇子に返す。
「分かった」
一言答えて今更無駄な傘を差しかける。
「ほっといてって言ってるでしょ!」
声を荒げる〇子の声に、俯いたままの〇子の顔が涙で濡れているのが見なくてもわかってしまった。
なんでわかっちまうんだよ。忌々しい。行くに行けなくなっちまったじゃねぇか。
「お前こそ、俺の事ほっとけよ!」無意識に声が昂る。
驚いたように顔を上げた〇子の顔は涙と鼻水でボロボロ。
何故か知らずに唐突に笑いが込み上げてきた。
「お前ひでぇ顔w」我ながら言ってることが滅茶苦茶。
呆気にとられた顔の〇子が言い返す。
「人が落ち込んでるのに、笑うとか最低」
「全くだ」
自販機の前で雨の中、馬鹿みたいに傘を差しかける男子高校生にうずくまる女子高生、傍目にはなんだと思われてるだろう。
「痴話げんかだとでも思われてるかな?」
起ちあがった〇子が涙を拭きつつ笑う。
「なんかあったのか?」問う俺に笑って答える。
「〇〇君だってあるでしょ?」
「まあな」
何を言わんとしているのかはまるで分らないが吐き出したかったのは痛いほど感じた。
「濡れると悪いから相合傘で帰るか?」
「びしょ濡れのあたしにそれ言うかw」
触れた肩が冷たいが念願の相合傘だ。




