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第一話

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それはそれとして新作に手を出す人間の屑

「ブモォォォォォォ!!!」


 巨体が、木々を薙ぎ倒しながら森を疾走する。メートル単位はおろか何階建てビルかで表したほうが早いほどのそれは、本来ならその森にはいるはずもない生物。しばしば霊峰と呼ばれる巨大な山から迷い出るようにして上位の魔物が流れてくることはあるが、これはその中でも一際危険、という評価では収まりきらないほどだろう。


 ボア種と呼ばれる魔物の平均的な大きさは3~5メートル程度、上位種として知られるキングボアですら20メートルに達するものなどいないだろう。だがその怪物は優に30メートルを超える巨体でありながら、その突進のスピードは冗談のように速い。推測されるレベルは300を超えるだろう……それはつまり最悪の場合いくつもの都市が滅び、国が大規模な被害を受ける可能性すらある。


「そんなものがそこいらの開拓村に来たら、まあ想像するのも悲惨なんてレベルじゃないですよねっと」


 そうつぶやくのは一人の男。英雄と呼ぶには貧弱、賢者というには若すぎる、けれども眼前の脅威に向ける目が死んでいないのは……いや、若干死んだ魚のような目をしているが、それでも絶望に沈んでいないのは恐怖によって振り切れた狂気ゆえか?


「というわけで」


 手を向けた先から発動する魔法は魔物から見れば川に投げ込んだ石ころよりも貧弱なもの。で、あれば。


「死ねぃ!」

「…!?!?!?」


 異常、というより他はないだろう。突如として苦しみだした魔物が倒れ伏し光の粒子となって消えていく様は、確かに魔物が死んだときにおこる現象である。


「やったか! ふっ、他愛なし」


 ぼそぼそとつぶやきながら先ほどまで魔物が居た地点へと歩いていく男。そこに何も残っていないことに小さく溜息を吐くと、とぼとぼと歩き始める。少しすると男のもとへと駆け寄る姿があった。


「ほへー、先生はすげぇだな! あげなバケモンおらぁ足が竦んじまっただよ!」

「いや、足が竦む程度で済んだなら良い方だと思いますよ」

「森の様子がおかしいで、こりゃなんかあると先生を呼んで正解だっただな。もし村に来てたら一巻の終わりっちゅうヤツだった」


 狩人なのだろう軽装に弓を持っている壮年を少し過ぎたくらいの男は、少し青ざめながらももう安心とばかりにしきりにうなずいている。


「ところで頼んだ射撃が無かったみたいでしたが……」

「いやぁ、あれ前にしてそげな自殺みたいなことが出来たらオラぁ今頃英雄にでもなってますだよ」

「いやはや全くその通りでははは……その通り……はぁ」


 憂鬱そうに溜息を吐きつつ、狩人の男の称賛を受けながら、男は村へと帰るのだった。

2話から地の文の視点変わります

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