14-Л
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ヤツキがリイビーノの本部を出た時と、ほぼ同時刻。
「ロ、ローシュさん、お話が」
クレアが、血相を変えてローシュの部屋に飛び込んだ。ノックもせず、大きな音をたててドアを開ける。
「クレア、どうしたの?」
本を呼んでいたローシュは、目を丸くした。その後、クレアの表情を見て、にやりと笑う。
「……ネズミでも、引っかかった?」
クレアはえっ、と声をあげた。やっぱり? とローシュが嬉しそうに笑い、本を閉じる。
「どうして」
「組織のボスがいなくなったんだ。すぐには諦めないだろ。結束の強い集団みたいだし、小さなカメラおいといてよかったよねー」
映ってたんでしょ? とローシュは笑った。はい、とクレアは頷き、手に持っていた小さなカメラをローシュに渡した。再生ボタンを押し、へぇ、とローシュは感心したように頷く。
「なるほど、さっきのはこのまっ黒けのお嬢さんがおいたメッセージだったってわけ……すごいなぁ、どうやって気がついたのか知らないけど、ただの落書きに見えたのに……」
面白いなぁ、面白いなぁ。
ローシュは何度もつぶやいた。
「ずったずたにしてやるって言ったのになぁ……」
はっ、と鼻で笑うと、ローシュは立ち上がり、じゃぁさっそく、と笑った。
「準備をしようか、クレア」
「かしこまりました」
本当に、面白いなぁ、とローシュは確認するように言って、あははと大声で笑った。