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書く内容は決まっている。ただ書く時間を確保出来ないだけなんだ、そう言い訳しながら書いています。
「小説かきた〜い!」となれればいいのですが…
――5日目――
達也が起きてから思ったことは
『ゲームはどうやって終わるんだろうな』だった。
疾風が1を持っていなくて、和樹が死ぬ。そんな可能性は考えたくなかった。
「達也〜、ご飯〜」
母に呼ばれ朝食を食べる。
「ごちそうさま」
と言いながら部屋に戻ろうとする最中で、リビングのテーブルに置かれた封筒を見つけた。
自分宛の、5日前のものと同じ封筒。
『きっとゲーム終了のお知らせだ』
心の中でニヤリとしながら開く。
―――――――――――
平山和樹は失格です。
残りは5名です。
―――――――――――
あまりの衝撃に言葉を失う。
失格?和樹が?
「そんなの…ありえないだろ!」
母の「どーしたのー?」という声も聞かずに和樹の家へ走り出した。
和樹の家は近くのマンション、走って5分もかからない位置にある。
完全に部屋着で寝癖もひどい達也だが、あいにく朝が早かったためか人に会うことはなかった。
和樹の家につき、すぐにベルを鳴らす。
「和樹!大丈夫か!和樹!」
「達也?」
自分のすぐ後ろから声が聞こえる。
「真耶!お前も来たのか」
「うん、和樹は?」
返事がない。ドアノブをひねると、鍵はかかっておらずすんなりとドアが開いた。
「よかった。このマンションの管理人に開けてもらう必要がなくなった」
そう言いながら入る室内は、完全にもぬけの殻だった。
「誰もいない…和樹?どこに隠れてるんだ?」
『きっとイタズラが成功したような顔で出てくるんだろう。あと手紙もお前がふざけて入れたんだろ?このゲームだってもしかしたらお前がふざけて始めたのかも』心の中ではそう思っていた。
だが、和樹が現れることはなかった。
「達也、これ」
真耶が携帯を差し出す
「和樹の携帯か、」
画面を見て、再度言葉を失う。
LINAの達也の個人チャットに
『じゃあな。』
と一言だけ残されていた。
「解答後に気付いたのかな。間違ってるって」
「かもね…」
そうして2人は呆然としながら、部屋を散策する。
人の居た跡のあるクッション。食べかけのお菓子。電源が付いたままのパソコン。どこにも、手掛かりなどなかった。人が、急に消えてしまったような部屋だった。
2人は何も出来ずに家に帰った。
午前10時。はじめがLINAをしてきた。
『僕の家の近くの公園に来てくれ。皆来るはずだ』
正直行きたくはなかった。だが、足は自然に公園に向かっていた。
「疾風が来ていないね…和樹も」
はじめが達也、里菜、真耶に向かって話しかける。
「和樹は、いなくなっていた。死んだ訳じゃない。消えたんだ」
達也は、達也なりに考えた結論を言った。
「和樹はきっと逃げられたんだよ、きっと死んでない」
少し声が震えながらも言葉を続ける。
「じゃああと2日間無視して、ウチたちも逃げなきゃいけないの?」
里菜の発言に言葉を詰まらせる。
「いや、何としてでも終わらせないと。和樹君は逃げられたのかもしれないけど、僕達は死ぬかもしれない」
「じやあ早く終わらせてくれない?はじめ」
里菜の顔はいつになく真剣だった。
「そう…だけど…」
今度ははじめが言葉を詰まらせる。
当然だ。疾風が1を持っていると思っていたのだから。
「ねぉはじめ、はやく終わらせてよ、ねぇ、はじめ!」
怒りを露わにしながらはじめに詰め寄る里菜。
「疾風くんが違うなら…次の手は思い浮かばない」
絞り出すように答えたはじめは俯き、里菜もそれ以上迫ることはなかった。
「…しが、私が調べる。」
小さな声で、真耶が言い放つ。
「今まで見てるだけだったけど…私がこのゲームを終わらせるよ」
「真耶、お前…」
「大丈夫。ミステリー小説好きを名乗ってるくらいだからね!」
理由になってないが…
はじめと里菜は真耶に「ごめん。バトンタッチだ」や「真耶、絶対死なないでね」などと言っている。
だが、達也は『きっとはじめも里菜も、押し付けたいだけなんだろうな。はじめは和樹に間違った解答をさせた罪悪感があるだろうし、里菜は絶対に死にたくないだろうから』と想像していた。
「真耶、僕も手伝うよ」
「ありがとう!」
「盛り上がってるところ申し訳ないけど、僕は部屋でもう少し考えるね」
「あ、ウチもお母さんの所行ってくる…」
そう言いながら里菜とはじめは去っていった。
達也の部屋に戻った達也は
「さて、真耶。何から始める?」
と真耶に問いかける。
「まずは疾風に連絡を取る!そこからだよ、ワトソン君」
真耶は和樹がいないというショックを隠すためにも、明らかに気丈に振舞っていた。
疾風にLINAを送り、ほとんど無言で1時間が経過した。
2人とも1を持っている人は誰か、頭の中で考えていた。
「うーん、返信が来ないなぁ」
沈黙を破る真耶の声に達也は
「どうして和樹も真耶も揃いも揃って返信が来ないんだ?」
と言いながら携帯の画面を覗き見る。
表示されている疾風のトップ画像。青い髪のアニメのキャラ。なんのキャラかはわからないが。
それを見て、達也は少し違和感を感じて眉をひそめる。
「達也、人の画面を盗み見るのはどーかと思うよ?」
嫌そうな顔をしながら真耶が達也に声をかける。
「ん?ああ、ごめんね」
と言いながら離れたが、頭の中は違和感の正体を探るのに精一杯だった。
「そ…そういえば、あれ読んだ?」
空気を変えるためにも小説の話を切り出す。
「あれねー…あんまり面白くなかったよねー」
「でも、表現は微妙に面白くなかった?」
「まぁ…わからないこともないけど…それよりあっちの方が面白かった!」
話が盛り上がってきたところで、真耶の携帯が軽い音を出す。
「あっ!返信…なんだ、お母さんだ。早く帰ってきなさいだって…」
「そっか、早く帰った方がいいよ。心配してるんでしょ?」
「うん…」
「大丈夫!疾風には俺が連絡を取っておくから」
胸を張りながら真耶を安心させる。
「そっか!わかった。じゃあねー」
と言いながら真耶は部屋を出ていった。
「さて…どうしようか」
とにかく、考えることは多かった。
『疾風を指名して、ゲームが終わってないってことは、疾風は違うんだ。でも疾風は1を持っている人が願い事を叶えられることを知っていた…』
そこまで考えて、ある可能性に気付く。
「はじめは…なんで知ってるんだ?」
自分の中で勝手に質問したんだろうと思っていた。
もしはじめが1を持っているなら、当然知っているはずだった。
じゃあ疾風が認めたのは何故だ?脅されて協力していたとか?もしそうだとしたら…
『はじめが1を持っている。』
その結論に辿り着いた。
真耶に推理をLINAで披露して見たが、返信はなかなか来なかった。
もしかしたら、和樹が家にいるかもしれない。
そう思ってもう1度和樹の家に行ってみたが、やはり誰もいなかった。
結局、真耶から返信が来たのは夜の9時。
『もしそうなら、なおさら疾風と話さないとだね!』
だった。
その日達也は、いつもより早く寝た。
そろそろ終わります。
2章も考えているんですが、もしかしたら辞めてしまうかもしれません。
なお、誤字、意見などありましたら指摘宜しくお願いします。