♤4
某イベントをクリア出来たので、また上げ始めます。
2話、3話でこれからに関わる重要な部分にミスを発見してしまい、訂正させて頂きました。(番号が変わったとかではありません。)
「ふっざけるなぁ!」などと言わずに読んで頂けると幸いです。
――4日目――
どこか遠くで電話がなっている。
自分の前に居た人が立ち上がり取りに行く。
目の前にあるのは、テーブルの上に置かれた6枚のトランプ。
裏返っているため数字は見えない。
5枚は裏の模様が赤なのだが、一つだけ青い。
なんで1枚だけ色が違うんだ?
数字は…
その時、電話を取りに行ったと思われる人がこちらを呼ぶ。
「達也、達也?…たーつーやー!」
――――――――――――――――
「達也!電話うるさい!はやく出なさい!」
突然耳元で発せられた大声に飛び起きる。
どうやら携帯に電話が来ていて、着信音がうるさかったので母が起こったようだ。
寝ぼけ眼で電話に出る
「はいもしもし」とあくびをしながら出ると
「おはよう、達也。集合時間は覚えているか?」
と言われ時計を見ると10時5分を指している。
「10時だ。5分過ぎているな」
「過ぎているな、じゃねーよ!バカヤロー!はやく来やがれ!」
と和樹の怒声が聞こえてくる。
「と、いっても、まだ疾風から返事が来てないから早く来ても仕方ないんだがな。ゆっくり来いよ」
優しいセリフだ。
「全く。なんでお前に彼女が出来ないかわからないな」
「俺はそんな暇じゃないからな」
「俺が暇だって言うのか!?」
電話の向こうで少し笑った様な息遣いが聞こえる
「まぁいいから早く来いよ、待ってるぞ。昨日と同じところだ」
おう、じゃあな…と言いかけて気づく。
「昨日は和樹が俺の家に来ただろ?昨日と同じところってことは?」
「ああ、お前の家の前だ」
驚きながら、部屋のカーテンを開けると家の前に立ち、イタズラが成功したかのような満面の笑みを浮かべた和樹がこちらを見ていた。
「すまんっ!すぐ用意する!」
こうして達也は朝食も取らず、服を着替え寝癖を直しただけの格好のまま、暑い日差しの照りつける外へ駆け出していった。
「疾風から返事がないんだったな。どうするか」
と言いながら携帯の画面を見ると、2時間前の通知がある。相手は…
「疾風から返事が来てる。」
「なんで俺には返してくれないんだァァ」
和樹がわざとらしく叫ぶ。多分そこまで気にしてはいないだろう。
疾風『11時頃、でどうだ。』
「丁度いいな」和樹がニヤッと笑ってこちらを見る。
やはりさっきの叫びは演技だったのか。
「行こうか」
と言って達也達は疾風の家へと歩き始めた。
「貴様ら…遅い!遅いぞ!」
「なんだか聞いたことのあるセリフだなぁ。しかも今回は遅れてないぞ」
「俺との約束には遅れたけどな」
2日前と同じセリフを言ってくる疾風にツッコミを入れると、和樹にツッコまれる。
「まあ良い、中に入れ」
と妙に格好つけたセリフで家に招く疾風に苦笑しながらも入る。
リビングへ迎え入れられた達也と和樹はソファーに座ると、疾風が麦茶を出してくる。
「ありがとうな」
「ふん!客人を招き入れるのは当然であろう!」
と鼻を鳴らす。
「え、え〜っと、話をするぞ?」
本題に入りかけたところで、家のベルが鳴る。
「おっとごめん、ちょっと待ってて」
今までのキャラはどこへ行ったのやら、普通の口調に戻った疾風が玄関へ向かった。
直後、驚きの声が聞こえる。
「うおっ!はじめか!達也と和樹もいるんだ、入れよ」
と、こちらは約束無しに来たであろうはじめが入ってくる。
「やぁ、達也君、和樹君。先を越されたね」
と笑いかけてくる。
「さぁ疾風君。本題だ」
お茶を注いでいる間で、急に名前を呼ばれた疾風は驚いた拍子に少し溢す。
「な…ほ…?」
何?本題?と聞こうと思ったのだろう。気が動転して口から発されたのは言葉ではなかったが。
「1を持っている人はこのゲームに勝利したらどうなるんだい?」
「な…なんでそんなこと聞くんだよ…俺は1じゃないっていっただろ?」
明らかに焦り、怯えている声で疾風は答える。
「願い事が一つ、叶うんじゃないのか」
狼狽する疾風を鋭く睨みながら続ける。
「な…なんで知ってるんだ…あっ!」
時既に遅し、だった。
その言葉を聞いたはじめはニヤッと笑って和樹と達也の方を見る。軽く両手を広げ、肩を竦め。
「やっぱりな?」とでも言いたげに。
疾風はもはや誤魔化す術を持たずに俯くことしかできない。
「僕の目的はこれで終わりだ。疾風君、じゃあね」
「待て!」
和樹が珍しく大声を上げる。
「このゲームは1じゃない人が勝った時の報酬の様なものは用意されてないよな」
「うん、そうだね?それがどうしたの?」
「俺に、解答させてくれないか。はじめが死ぬ可能性が1%でもある限り」
「そんなことはありえないと思うけどね」
「有り得ないと思っていても可能性はあるんだ。俺に答えさせてくれ。はじめがいなくなったら、誰も正解にたどり着けない」
確かに今はじめがいなくなると全員が困る。だが和樹がいなくなっても困るのではないか。しかし達也から「自分が解答する」とは言えなかった。
真剣な圧力に押し負けたのか、はじめは両手を上げる。
「じゃあ、和樹君。今日の夜、このくだらないゲームを終わらせてくれよ」
そういって去っていったはじめの背中を見送る。
自分から墓穴を掘った疾風は、いつの間にか崩れ落ちてしまっていた。
「なぁ、疾風」
いつも通りの和樹の優しい声が響く
「お前は、何が叶えたかったんだ?」
「俺は…引きこもりを辞めたかった!自分の力じゃ解決出来ないんだ!昔の…あいつにいじめられた記憶を思い出しちまうんだ!」
「そうか…」と小声でいい玄関へ向かう。
「ちょ、疾風ほっといていいのかよ」
「かける言葉はないよ。帰ろう」
そうか…そうだろうか。達也は和樹の言葉に少し疑問を持つ。
そして、昨日自分の中で辿り着いた考えを疾風に伝えることを決めた。
「すまん和樹。先出ててくれ」
和樹は頭にクエスチョンマークを浮かべながらも「おう」といって出ていく。
「なぁ疾風、イジメの内容ってどんなだったんだ?」
「そ…そりゃあ…変な名前で呼ばれたり、こっちみて笑われたり…」
次第に声が小さくなる。
「それに…才野が怖かったんだよ…地味な顔してるから話せるかなって話しかけてみたら…」
「疾風、里菜はイジメようと思ってそんなことしたんじゃないと思うぞ?」
疾風が顔を上げる。
「多分…なんつーか…そういう性格なんだよ。悪気があった訳じゃない」…と思う、と心の中で呟く。
「だから、またいつか話してみろよ?里菜もイイヤツだ」
「おう…わかった…」
疾風は少し涙目になりながらも頷いた。
「じゃあな」
達也は家を出ていった。
「それで、和樹が今日解答するのか」
疾風の家の前で待っていた和樹に話しかける。
「ああ、確実だしな」
「それでもお前、死ぬ可能性があるって言っただろ」
「ほぼ確実だろ?実は可能性があるとは思ってないよ」
そうはいっても達也は不安を隠せない。
不安なのは和樹の方が上だろう。
それでも…
「死ぬなよ、和樹」
気丈に、でもいいから笑おう。そう思った達也は笑って言う。
「死なねぇよ!」
肩を笑いながらバシッと叩いてくる和樹は、不安を微塵も感じさせなかった。
「あれっ!和樹と達也じゃん!」
聞きなれた彼女の声に達也は振り向く。
「おっ、偶然だね!」
「今日は出かけてたんだ!その帰り!」
確かに袋を持っている。服でも買ったのだろう
「どう?なにか進展あった?」
達也が自慢げに話を始めようとした一瞬早く、和樹が言った。
「1は見つかったよ。今日の夜、このゲーム…このクソみたいなゲームが終わる」
自信を持った、有無を言わせないような口調に真耶も達也も少し怯む。
「そっか!2人が頑張ってくれたお陰だよね!ありがと!」
そういってパッと笑った真耶に見とれる。
「じゃあね!」
と言って去っていく真耶の後ろ姿を見ながら幸せを噛み締める達也を、和樹は苦笑いして見ていた。
その夜。和樹はメモに書いた「牛込疾風」という名前をみてニヤリと笑う。
メモを丁寧に折りたたみ、自分の家のポストに入れる。
翌朝、和樹は忽然と姿を消した―――
少しまとめてみようと思います。
君島達也(♤2)主人公。読書好き
十文字真耶(♤5)達也の彼女。
平山和樹(♤4)達也、真耶と仲が良く、皆をまとめるリーダー的存在。
才野里菜(♤6)地味っ子から高校デビュー。親が入院している。
佐々木一(♤3)今回の探偵役(?)積極的に動いている。
牛込疾風(♤4)和樹と数字が被る。ニートのアニオタ。
こんな感じですね。
この話をもって、投稿前に貯金した分が全て消えました。これからも頑張ります。