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スペード  作者: 碧樹 泉
3/5

♤3

投稿前に書き溜めしていた物がどんどんなくなっていく…ここにきて5話での矛盾に気づいてしまう。

はやく直さなければ…どんどんペースが落ちてしまう!

と悩んでいるこの頃です

――3日目――


やっぱり一人ひとりと話すべきだ。という結論に達也が至ったのは昨夜寝る前だった。

自分が読んできた今までの推理小説を軽く読み流し、全員で話すよりも、一人ひとりと話した方が何かしらの話が聞ける、という法則―もっともそれは小説の話だからなのだが―を見つけ出したからだった。

『現実で起きてる、死ぬかもしれないゲームで推理なんてバカげてるけどなぁ』

と自分で言って苦笑しながらも、

『それでも、1を見つけないと死ぬかもしれない。もしかしたら、和樹や疾風が死ぬかもしれない』と考えると、いても立ってもいられなかった。

そんなことを考えながらベッドに入ったのは23時。

朝目を覚ますと時計の針は真っ直ぐ、つまりちょうど6時だった。

「うん、なかなか早く起きれたな」

昨日遅かったからか、そんなことを思いながら朝食をとるためにリビングへ向かった。

「あら、今日は早いのね達也」

「昨日はたまたま遅かっただけだよ、夏休みでも規則正しい健康な生活を送ります」

わざとらしく敬礼する。

「それがいつまで続くか見ものね」

と笑いながら朝食の目玉焼きとご飯、味噌汁を僕の前に出す。

「そういえば、最近里菜ちゃんに会った?」

「うん、ちょうど昨日会ったよ。忘れられてたけどね…って何で知ってるの?」

思わず箸を進める手を止める。

「里菜ちゃんのお母さんからメールが来てねぇ~、どう?可愛くなってた?」

「う、うん、昔と比べれば?」

と曖昧に返す。里菜は昔、『三つ編みメガネ』というあだ名があった。要するに地味な子だった。高校デビューが目標だと中学時代から言っていたから、成功したと言えるだろう。ちなみにマシンガンのように話す癖は昔から変わらない。

『お喋りで、人に変なあだ名をつける癖があったな。それを疾風がいじめだと勘違いしたのか』

勝手に納得する達也に

「じゃあ…狙っちゃえば?」

と母が笑いながら言ってくる。

「彼女にはなって欲しくないタイプかも」

苦笑しながら達也は答える。

『俺は真耶みたいなタイプがいいからな…』

趣味をわかってくれる上に、明るくて空気も読める…

「達也は真耶ちゃんみたいなタイプが好きなんでしょ?」

飲んでいた味噌汁を吹き出しそうになる。真耶と付き合っていることは言っていないはずなのに。

「さぁ?どうだろうね」

と少し傾げ、ニヤリと笑う。母というものはやはりわかるものなのだろうか。

「真耶ちゃんと付き合ってる…」

「ごちそうさま~」

聞こえなかったフリをしながら言葉を遮る。

「じゃあ俺部屋戻るから〜」

と小走りで逃げる途中で、

「あ、そうそう、夏休み明けに出すプリントとかあるでしょ。今日じゃなくていいから出しなさいね、早いうちに」

はいはーい、とは答えたものの部屋に入り、布団に潜った頃にはすっかり忘れていた。


4時間後、午前10時。

一人ひとり回るとは言っても、早く行き過ぎると起きてないこともあるため、最近買った恋愛小説を読んでいた。若干早く起きすぎたことに後悔しつつ。

主人公が幼なじみに恋をして…というベタな展開を読みながらため息をつく。

「さて…そろそろ行くか…」

と重い腰を浮かしかけたところで携帯から軽快な通知音が鳴る。


和樹『一人ずつ、話を聞いて回ろうと思うんだが一緒にどうだ?』


まるで見ていたかの様なタイミングに少し驚きながらも返事を返す。


達也『俺も行こうと思ってたんだ、今から…これるか?』


和樹『もちろんさ』


和樹と無事合流した達也は、まず里菜の家に向かった。

「ところで、誰の家がどこかわかっているのか?」

「昔、小学生のころ3人とは仲が良かったからな、家の行き方位はわかるさ」

3人とはもちろん、里菜、はじめ、疾風のことを指している。

「宿題やったか?」

「死ぬかもしれないって時にそんなのやってられないだろ?」

そんな談笑をしながら、里菜の家に着く。

家のベルを鳴らすとすぐに里菜が出てきた。

「2人ともいらっしゃい、入っていいよ~」

と家の中に招き入れた。

「お母さんは…」

「ああ、去年から入院してるよ、なんかガン?何ガンとかはイマイチ覚えてないけど…」

珍しく話が続かない。あまり話したくはない話題なんだろう。去年ということは中学3年の夏からだということになる。

母親が入院しながらの受験はとても辛かっただろうな、と勝手に想像する。

「それで?2人で来てどうしたの?ウチは~昨日も言った通り1じゃないし〜?6だよ?」

それに、と前置きして

「ウチはこのゲームのことイタズラだと思ってるし?早く終わってくれればそれでいいんだよね。和樹君が1じゃないなら、しっぷう君に決まりでしょ。早く終わらせちゃってよ!」

それなら自分で当てればいいじゃないか、と言おうとして意味が無いことに気づいた。

『里菜は病気の母がいるのに自分ひとりで死ねるわけない。万が一にも』

そう思ったからだ。

「なら自分で当てればいい」

達也の心を読んだの様なタイミングの和樹の言葉に少し驚く。

「それはムリ〜、万が一にも死ぬわけには行かないからね。」

言葉からいつものふざけた様な雰囲気は消え、しっかりと、きっぱりと答えた。

「まぁ、それもそうだよな。悪かったな、話に付き合わせて、家におじゃまして」

「いいのいいの~気にしないで〜」

いつもの口調に戻った里菜は

「やっぱり1人は寂しいからね」

そう小さく呟いた。


何だかんだ別の話をしつつ1時間が経ったところで、里菜が「ウチ行かなきゃいけないところあるから」と言ったので、慌てて家を出る。

「母が病気かぁ…知らなかったな…」

「あれ?でも俺の母さんが里菜の母さんからメールが来たって言ってたな…」

朝のことをふと思い出す。

「ん?メールが来るくらい普通じゃないのか?」

「いや、俺と里菜があったことを知ってたんだよ。昨日、里菜は親に会いに行ってたのか」

恐らく今も母の病院に向かっているんだろう。親孝行な娘だな。

「お母さんが大好きなんだな」

帰って親の手伝いでもしようか、と久しぶりに思った。


その後、軽く昼食を取り、はじめの家へ向かった。

「うーん…疾風と連絡が取れない」

「お前疾風になんかしたのか?俺はすぐ帰ってくるんだけど」

と軽く笑いながら返すと和樹は真剣に考え込んでしまった。本当に何かあったのだろうか?

「まぁ、俺がLINAだけはしておくわ」

「おん、頼む」

その後も和樹は何も話さずに考えていた、ように見えた。


午後1時


はじめは家の前で待っていた。

「家は使えないんだ、そこの公園でもいいか?」

と問いかけてきたはじめに2人は「もちろん、」と頷いた。

「さて、和樹。」

と少し前置きして問いかける

「1は当てられたらどうなるんだ?」

いつも単刀直入な質問をするな、と達也ははじめに少し圧倒されながらも、和樹とはじめの顔を交互に見る。

「いやいや、1じゃない俺に分かるわけないだろ?」

微笑をしながら―もちろん作り笑いだが―答える。

「じゃあなんで昨日、1を持っている人が当てられたら失格だと言ったんだ?」

「あれはただの予想に過ぎないよ、もしかしたらそのままゲームが終わるだけかもしれない。まぁもっとも、それなら自己申告で終わるだけだから、このゲームを俺らに持ちかけてきた野郎は失格、つまり死ぬってことにするんだろうなと思っただけだよ」

「じゃあ勝ったらなにかあるのか?」

「それも知らないよ。うーん、そうだね、俺がこのゲームを仕掛ける人なら…願い事が一つ叶う、とかにするかな。」

そのとき、はじめが少し驚いた表情を見せつつ、メガネを中指で押し上げる。

「それも予想かい?」

「ああ、そうだよ?」

睨む、という程でもないが険しい顔をしたはじめが和樹を見る。達也も和樹も、次は何を言うんだとはじめに視線を送ると、はじめは笑い始めた。

「和樹君は1を持っていないね、じゃないとそんなに堂々と予想なんて言ってられないよ」

と楽しそうに言う。

「ということは疾風君が1を持っているんだね、まぁ本人に直接聞いてみないと分からないけれど」

「俺じゃない時点で疾風にはならないのか?」

「もしかしたら、疾風君はゲームのサクラ、つまり1を持っている人を庇うように話している可能性が0とは言いきれないからね。疾風君に確定するとは言えないよ」

確かにそれもそうだ。考えてもいなかった可能性に少し頭が混乱する。

「もう僕から話はないよ、そっちはなにか話はあるかい?」

「いや、そこまで話してくれればもう何も無いよ。達也は何かあるか?」

今までなにも話せなかった達也にも出番が回ってきた…ものの、和樹同様なにも話すことはなかった。

「何もないよ…」

全くついていけなかったことが少し悔しい。

「あ、そうだ、2人とも。一つ質問いいかい?」

突然の問いに驚きながらも

「ああ、もちろん、なんでも聞いてくれよ」

名誉挽回と言わんばかりに達也は声を出す。

「何か、願い事はあるかい?死んでも叶えたいくらいの」

「うーん…このゲームをやめること…かな」

とニヤリと口角を上げて笑った和樹が答える。

「ははっ、それは言えてるね。俺は…ちょっと思いつかないな。明日答えてもいいか?」

と達也は答えをはぐらかせた。

『ずっと、真耶と和樹と、3人で仲良くやっていきたい』なんて思ったことは言えるはずもなかった。恥ずかしくて。

「なんでそんな質問を?」

「いや…なんとなく気になっただけだよ。じゃあ、僕はこれで。じゃあね!」

明らかにニヤついているはじめは家の方へと駆けていった。

「なにか、知ってそうだな」

「ああ」



こうして、達也と和樹は家に帰った。疾風から返信はなく、明日に持ち越そうという話になったからだった。

その夜、結構な距離を歩いた達也の体は疲れきり、風呂から上がり、自分の部屋に入ると寝てしまっていた。

ちょっとずつ真相に近づいています(作者の中では)

次の後書きで登場人物の情報を載せようかと思っています。

矛盾が起こらないよう細心の注意を払いつつ書き進めていきたいと思います。

また、誤字脱字、意見などございましたらご指摘ください。

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