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胡乱火坑
それにしても、今夜は夜鷹が煩そうございますな。
こんな宵に鳥の声を聞くと身が縮みます。
忌々しい、死を呼ぶあの凶鳥め・・・・・・
さて、あれはひと月ほど前でございましたかな。
手前どもの店の若い者が、天秤を担いでいた帰りのこと――
えっ?
そうなのでございます。御蔭様で今はこのようにお店を構えさせていただいておりますが、初心を忘れるべからずと申しましょうか。
まぁ、お店に脚をお運びになれぬ御方にも、手前どもの味を知っていただきとうございますので。
まぁそれはさて置き。
むわっと蒸し暑い、じめじめした夜だったと思いました。
その日は口惜しくも――いや、珍しくも干物が売れ残ったそうです。
えっ?口調が苛立っている?
そりゃあ、売れ残るなど、思い出しても腹立たしい。
いや、そんなことはどうでも良いのです。
そこにですな、現れたのです。
はい。
水干烏帽子に打袴姿の巫女が・・・・・・