習作~一人称を変えてみよう!
こんにちは!私の名前は夏野向日葵、高校一年生です!
実は私、今好きな人がいて友達に相談を持ちかけたんです。
今日はその友達と、近所のカフェで待ち合わせしています。
「うーん、遅いなあ……。」
私がカフェの前に着いてから一時間。一向に友達は姿を見せません。
しびれを切らした私が、携帯を取り出そうとした時でした。
「お~いなっちゃ~ん!待った~?」
向こうから自己主張するかのように大きく手を振り、走ってくる
人物。そう、彼女が私の友人、相馬小町です。
「ねえ小町、今何時だと思ってるの?」
小町はわざとらしく時計を見やり、気まずそうな顔で
「え、え~と……九時半、くらい?」
と呟きました。
「ほぉー、それはどういう冗談かな?小町ちゃん?
今十時半。一時間は遅れてるよね?」
「あ、その……遅れてすみません。」
「ふう……取り敢えずお店ん中入ろうよ。」
彼女は生来の遅刻魔らしく、いつも待ち合わせの時間に一時間は
遅れてやって来ます。まあ、私はもう慣れっこですが。
それで、何故彼女に相談したかというと……。
「でさ、小町の幼馴染の順平くんの事なんだけど……。」
「ん、順ちゃんがどうかした?」
“順平くん”は彼女の幼馴染で、現在剣道部に所属しています。
笑顔が爽やかなクール系男子なんですが、どうも私とは直接的な
取っ掛かりが無く、そこで小町に相談しようと思い立った訳です。
「彼、小町の幼馴染なんでしょ?ちょっと手貸して欲しいんだ。」
「うん?アタシなら構わないけど?」
「良かったー!断られたらどうしようかと思った~!」
「それで?アタシは何すればいいの?」
「ああ、何となく順平くんを人気のない所に連れ出して欲しいんだ。」
「え、それだけ?」
「うん。後は私が上手くやるからさ。お願い!」
私は目の前で両手を合わせながら、まるで神様にお参りするかのように
小町に懇願しました。
「うん、オッケー!それくらいなら大丈夫だよ!
で、どうする?明日決行する?」
「そうだなぁ……剣道部が休みの日って何曜日だっけ?」
「確か――木曜日だったかな?」
「それじゃあその日に、小町から言っといて!」
「うん!分かったー!」
――――木曜日――――
放課後、私が胸を弾ませて約束の場所に向かうと、気まずそうな
表情をした小町が立っていた。
「あれ?小町、順平くんは?」
「あ、なっちゃん……そのことなんだけど……。」
次の瞬間、私は信じられない言葉を耳にしました。
「あ、あのさ……順ちゃん、アタシのこと好きだったみたいで……。」
「……え?」
「急に「付き合ってくれないかな?」って言われちゃって。あーアタシ
どうしよー!!」
「えーーーーーーー!?」
突然の恋敵の出現に、戸惑いを隠せない私なのでした。
==了==