転生しても状況が変わっていないような・・
メインヒロインがメインヒロインであると分かるまでに50話ぐらいかかりそうな勢い
――理不尽な前世であった。
親が高校の時に死んだので中退して以来、世の理不尽ばかりを感じてきた気がする。
たかが17になったばかりの小僧に世間様は厳しくて、やっとの思いで就職できたのは素晴らしいほどのブラック企業であった。
具体的な仕事内容は(思い出したくもないので)言わないが、朝7:00~夜11:00が基本という素敵な職場であった。
ムリな仕事量をムリな納期でやらされるので当然クオリティが低いものができるわけだが、そのクレームの対応は新入社員である俺の仕事であった。
3年耐えた。
偉い。俺、偉い。
思わず自分を褒めてしまう。
死んだのは成人式の夜。なんか体が重いなー不思議だなーと思ったらそのまま死んでいた。
よくわからないけど、多分過労死で心筋梗塞とかそんなんだったと思う。
俺の前世、おしまい。
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――で、話が終わってしまったら寂しいが、現実は温かいのだ。
気がつけば転生していた。
のだと思う。
3歳ぐらいから「あ、俺、前世ある。凄い前世を感じる!」とか思い始めて、5歳になる頃には全てを思い出した。
……思い出したのか上書きしたのか(されたのか)よくわからないのだが、まあ、都合がいいので転生と解釈することにした。
自分に厳しくしても辛いだけだしね!
そんな俺の毎日は日が昇ると共に起きて陽が沈むまで農業の手伝い。
夜は遅くまで長老の元でお勉強をして、深夜まで体を動かしてドロのように眠る。
睡眠時間が明らかに足りない生活だが、これでも前世よりはマシという不思議。
「ケイト! とっとと麦を刈り取りなさい! いつまでかかってるの!」
「ごめんなさーい!」
素直に謝る。『ぼーっとしてましたー』とは言わない。真実とは時に残酷に人を傷つけるのだ。
(主に俺が母親の手によって物理的に)
本日の残り作業は1区画分の麦の刈り取り。
馬鹿か。子供のやる量じゃねえよ、と思いつつも文句は言わずにやり続ける俺なのだった。
夜。
「ケイトは変な子供じゃの」
先代の長老の日記を読んでいると、長老の爺様にそんなことを言われた。
余計なお世話である。
「自覚はしてるけど。どうしたの急に?」
「いや、他の子供たちは日が沈めば眠るだけじゃ。お前は夜遅くまでワシと話しておる」
文字とか歴史、地理というのはどうしたってその土地の人に聞かないといけないのだから仕方がないじゃないか。
俺だって夜中に逢引するなら美少女とかがいいわ。
「そのくせに仕事はサボらないときたもんだ。・・・聞いたぞ、ケイト」
「何を?」
「1区画分の麦を刈り取ったそうじゃな」
「うん。それがどうかした?」
みんなやっていることだし、ソラトさんなんか4区画は一日で処理して回る。
驚かれても困るというか。
長老の爺様はため息を吐いた。
「お前さんぐらいの歳の子は普通は刈り取りなんかさせん。もっと簡単な脱穀なんかをさせるもんじゃ」
「げ、そうなの? 母さんにそれ言っておいてよ。あの人、容赦なく俺を責め立てるから」
「・・・人の家のことには口をださんのが世を上手く渡る方法なんじゃよ」
つまり助けはないということか。
「まあ、いいけどね」
どうせ成人するまでには王都に行くつもりだし。この農村で骨をうずめる気はさらさらない。
「お前は本当に変なやつじゃのう」
本当に余計なお世話である。
執筆のリハビリに、更新頻度高めでがんばゆ。
感想は具体性の低い批判は全スルー予定。
誤字脱字、ここの表現がわかりにくい、このセリフどうなのよ、とかの具体的な指摘はありがたく受け取らせて頂きます。
(全てに対応できるかどうかは別として)