第八話「名のなき少女」
私はとある実験施設で目を覚ました。
そこは暗くて何も見えない。
次第に目が慣れていき、男の姿が見えるようになった。
「我が神よ、お目覚めになられたのですね。」
と気色の悪い男が白衣姿で言った。
「あなたは誰?ここは?」
私は記憶がなかった。何が何だか分からず、自分が何者なのか尋ねることにした。
「貴方様は神の器に相応しいお方、
その力を手に入れる為に貴方様はここから舞い降りたのです。」
私が神?そう言われることに、なぜか少し納得している自分がいた。
「貴方様は神の力、【復元】の力を持っています。
こちらを直すイメージをしてください。」
私は言われた通り、壊れた機械に対して
復元を使った。
そしたらみるみるうちに直っていき、機械の本来の姿に戻った。
「素晴らしい」
と科学者はニヤリと笑い、
「しかしそれではまだ神として
不完全です。」
「神は古来から人々を不幸に陥れ、
誰にも屈服しない、それが【神】です。」
しかし私は何故だか違う気がした。
神はそのような物ではない。
そんな感情を抱いた。
「そして今、私の体に神の力、通称【✖︎✖︎】貴方の体にあるものも神の力です。」
「この神の力を研究する為に、
少し貴方の体を研究させて頂きます。
ああちなみに拒否権はないですよ。」
男はそう言い、恐らく男の【✖︎✖︎】で眠らされた。
*
【それから約100年】私は生きることを諦め、モルモットになっていた。やつの能力で記憶をいじられ、
逃げる気力を消されてしまう。
それに私の能力は自分に対しては、
半永久的に使われるらしく、私が老いることはなく、ケガをしてもすぐ直ってしまう。私は今日も布団で眠る。
ある日に夢を見た。
それは私に似ていて、しかし私と同じで
絶望した顔をしている。
「お願い.....私を助けて.....」
と12歳くらいの見た目の少女がそう言った。
「逃げて.....このままだとあなたは人を殺す兵器にされてしまう。」
.....そんなことはどうでもいい私は
疲れた.....疲れてしまったんだ.....
生きる気力も逃げる勇気も欠けてしまった記憶も、そうか私は.....
【死にたい.....】
気づけばそう声に出していた。
どこかもわからない場所、
怪しい男、そこに100年閉じ込められてようやく気付いた。
【私を殺して.....】
と生気を感じない声で少女に言った。
「あなたは忘れている.....何もかもをだから思い出していて欲しい。
あの頃をあの好きだった頃をそれを思い出すまでは。」
【生きて.....生きて.....抗い続けて!この残酷な世界で....!】
彼女の言葉はなぜか私に足りなかったものを埋めてくれた。
勇気、生きる気力をもしかしたら
彼女こそが.....
【神様なのかも知れない】
と私は思いながら、そう思いながら、崩壊していく夢から目覚めた。
私はすぐに行動した。復元の力を使い、何とか逃走することが出来た。
何も考えずに、走り、走り、走り続け、20日ぐらい
走り続けた頃だろう。
山奥に小屋があった。その小屋は身を隠すのには最適で長い間身を隠していた。近くの村に行き、
能力の存在、神の存在を知ることが出来た。
しかしその村の人達が
私が能力を使えることを知ると
私は村八分にされて、追い出された。
小屋に長い間閉じこもることになった。
そこで私は運命的な出会いを果たす。
*
「なるほど。アークの行動が読めて来たぞ。」
「それにしても、20日ずっと走ってたの?」
とユイナは驚いていた。僕はそれを聞いてもっと驚くところあるだろと心の中でツッコんだ。
「私の能力は特殊で半永久的に使われるんですよ。それのお陰であり、それのせいでもあるんですけどね。」
と少し懐かしむように話した。
「それだけ強い能力なら記憶を復元したり出来ないのか?」
それは僕も思った。半永久的に使える程の能力なら出来てもおかしくない。
「研究者の能力で恐らくですけど、
記憶にロックされていて、しかも能力に制限を課せられています。正直、私一人ではトワは助けることは出来ませんでした。」
「まあアークの情報で知っているのはこのぐらいかな?」
キョウは目を泳がせながら、手を叩き終わらせた。
「えー!めっちゃ気になるところで終わらすじゃん!」
とユイナもどかしそうに言った。
「しょうがないだろ。アークの対策やこれからのことも話さないといけないし。」
ツムグの話が終わったことで、僕は昨日の話をした。
「昨日アークからメールがきた。」
『!?』
とトウマ以外の人は驚いていた。
「それは本当か!?どんな内容だ!」
「パソコンのメールには仲間になろう。
なれば神がお前の記憶を失った友達に神のご加護を
捧げてやろうと書いていた。」
「これが内容だ。スマホに内容を写したから見てくれ。」
と僕はみんなにスマホを見せた。
「なるほど.....怪しい匂いがぷんぷんするな。
まるで宗教勧誘のチラシを見てる気分だ。」
「でもトワを救えるかもしれない。」
「!?バカかレイ明らかな罠だ。」
「でも.....」
「そうとは限らないんじゃないですか?」
ツムグは口を挟んだ。
「私は長い間アークのとこにいたから、アークが何をするのか、みんなより鮮明にわかります。
大事なのはこれは私達ではなく、まだ部に所属していない、トワとサクに向けてのメールとも読めます。
アークが仲間を集めるために送ったとなれば、自然なことでしょう。」
「そう。だから会ってみるんだよ一度」
「正気か....?」
「本気さ。それに、不可能ではない。
キョウの能力で加勢も行けるし、
情報を引き出せるかも知れない。
リスクに見合うリターンはあるはずだぞ。」
「.....はあ、負けたよトウマ。
さて、サク、トワ。初の仕事だ。」
【ここからは反撃開始だ。】




