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もりとき怪談 第一集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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6/12

06 深夜のエレベーター


 その日、俺は夜中の2時くらいまで期末試験の勉強で起きてたんだ。

 実際には勉強なんかしないで、教科書やノートを開いて適当に見てただけなんだけど。

 そうやってダラダラしてるのも飽きてきて、コンビニまでジュースを買いに行こうとしたんだ。

 親はとっくに寝てたから、俺は物音を立てないようにそっと家を出た。


 俺ん家は16階建てのマンションで、俺ん家は6階にあった。

 マンションの斜め向かいにコンビニがあって、俺はよくそこに行ってた。夜中に週刊雑誌を立ち読みしに行ったりしてたんだ。

 うちのマンションにはエレベーターが2機あって、ひとつは14階に止まってた。もう一つの方は3階から4階に表示が変わって、こんな時間に俺以外にもエレベーターを使うヤツがいるんだなーって思いながら、俺は下ボタンを押した。


 エレベーターが5階から上がってきて、扉にある窓から中の様子が見えた。

 黄色い服を着た女が、満面の笑みで両手を上げてくねくねしてた。


 え? って思ってる間に、エレベーターは6階を通過してった。

 このマンションにあんなヤバい住人がいるのかよと思ってたら、エレベーターの表示は7階で止まった。

 その瞬間、エレベーター横にある階段から、ものすごい早さで下りてくるヒールの足音がしたんだ。

 これ、さっきのヤバい女じゃねと思って、俺は家までダッシュで戻った。

 俺が家のドアの前まで着いたときにエレベーターホールから何かが飛び出してきた。視界の端に黄色いのが見えて、俺は必死でドアの鍵を開けた。

 鍵を開けてる間にも、ズダダダダダみたいな、すごい足音が聞こえてた。


 何とか家の中に入ってドアを閉める瞬間ちらっと廊下を見たら、やっぱり黄色い服の女が俺ん家に向かってダッシュしてくんの。

 目がランランとしてて、めっちゃ笑ってる。

 ゾッとして、ドアを閉めて鍵かけて、チェーンもかけた。


 ガチャガチャガチャ、ドンドンドン!!!


 めっちゃドアガチャされるし、ドアを叩いてくる。

 さすがに怖すぎて、ドアの前で固まって動くこともできなかったよ。

 しばらくガチャガチャドンドンされたし、地団駄でも踏んでるのかヒールが廊下に当たる音もカツカツカツカツ鳴ってた。

 すごい音で、これだけうるさくしてれば誰か気が付くだろと思ったけど、隣の人が出てくる様子もなかったし、うちの両親が起きてくることもなかった。

 俺だけが、狂ったように鳴る音を聞いてた。


 どんだけその音を聞いてたか分かんないんだけど、しばらくして音がピタッとやんだ。

 心臓がバクバクいいっ放しで、どうしようかすごく悩んだんだけど、このまま確認しないで寝るのも怖いなと思って、俺は勇気を出してドアスコープをのぞいてみたんだ。

 そしたら誰もいなかった。

 ほっとして、もう勉強なんてする気にもならなかったし、期末試験はどうにでもなれって気持ちでその日は寝ることにしたんだ。


 でもベッドに入って、俺、思ったんだよね。

 あの女、ヒールの靴をはいてたんだよ。階段や廊下にヒールが当たる音が聞こえてたんだから、それは間違いないと思う。

 だったら、女が家の前から帰るときにも、ヒールの音がするはずだよな?

 ドアスコープからのぞいて女の姿はなかったのに、俺はヒールの音は聞いてない。あの女はどうやって帰ったんだ? 実はまだ帰ってなくてドアの前にいるのか、それともあの女は幽霊で家のドアの前で消えたとか?

 考えたら怖くなって、俺は布団をかぶってそのまま寝た。


 次の日、親にそれとなく深夜に物音がしなかったか聞いてみたんだけど、親は物音なんて聞いてないって言ってた。それよりちゃんと勉強したのかって言われた。

 試験勉強なんて全然できなかったから、今日のテストはヤバいだろうなって思いながら家のドアを開けたら、家の前の廊下に何かで擦ったような小さな黒い跡がいっぱい残ってた。

 これ、あの女のヒールの跡なんじゃないかなって思って、すげービビった。


 あんま怖くない話かもだけど、エレベーターの中の女の笑顔と変な動きが脳にこびりついてて、今でも思い出すと背筋が冷える。

 っていうか、あれが本当の人間でも幽霊でも、うちのマンションにいるかもしれないって思うと、もう深夜にコンビニ行くのも怖くて仕方ないよ。



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