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もりとき怪談 第一集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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友達ん家の神様


 小学校5年生の頃に同じクラスになったサトコは、今思えば名家のお嬢さんだったんじゃないかなと思う。

 子どもの頃はそういうのよく分かってなかったんだけど、サトコと仲良くなってサトコん家に遊びに行ったとき、家の前に大きな門があったんだよね。普段はその門は閉まっていて、横にある小さな扉からサトコん家の敷地内に入るの。

 サトコん家の敷地はかなり広くて、二階建ての家がひとつと、それより小さな平屋がひとつ、池はなかったけど、庭に立派な木が1本生えてた。平屋の向こう側には小さなお社もあったみたい。

 サトコは二階建ての家の方に住んでて、その家もけっこう大きいのね。

 でもサトコもサトコの両親もぜんぜん気取ったところはなくて、むしろサバサバしてる感じだった。休みの日に遊びに行くとおじさんなんて肌着で歩いてるときもあって、おばさんに叱られたりしてた。サトコもちょっとオタクっぽい感じで、サトコの部屋にはその当時流行ってたアニメのプラモデルがおいてあった。サトコってちょっと男の子っぽいアニメが趣味だったんだよね。


 いつだったか、放課後にサトコん家に遊びに行ったとき、サトコが「うちには変な神様がいるんだ」って出し抜けに言ったの。

 私、サトコが何を言い出したのか分からなくて、「神様がいるの?」って聞き返した。

 そうしたらサトコは頷いて「そう、ひとつの体に4つの頭が生えてるの。1階に、うちの家族しか入っちゃいけない部屋があって、そこに祀られてるんだ」って言った。

 ひとつの体に4つの頭が生えてるってどんな状態か想像してみたけど、ぜんぜん分かんなかった。

「見てみたい?」

 ってサトコが言った。私は見てみたかったから頷いたけど、「でも、家族しか入っちゃいけないんでしょ?」って聞いたら、サトコは笑い出した。

「そんなの信じてるの? 私はあんまり信じてないなぁ。あの神様だって気持ち悪い人形なだけだと思うし、家族以外が入ったら悪いことが起こるって話もないもん」

 って言うのね。

 悪いことが起きる訳じゃないんだって言って、じゃあその神様を見に行こうってなった。

 もうちょっとした探検気分。怖いだなんてちっとも思わなかった。だって私は今まで心霊現象にもあったことはなかったし。サトコもたいしたことないみたいに誘うから、別に何も考えてなかったのね。


 サトコん家の1階の端に小さな木の扉があって、そこを開けると暗くて狭い廊下があった。廊下は本当に短くて、扉を開けたら5メートル先に次の扉がある感じ。

 サトコは廊下の壁にぶら下げてあった懐中電灯を手にとって「親にバレたら怒られるかもだから」って言って、入ってきた方のドアを閉めた。

 神様が祀られているって部屋の扉は、家の中にある扉よりもずっと古そうな感じで、ボロボロだった。

 サトコが何でもないかのようにその扉を開けて、さっさと中に入っていく。暗かったのがちょっと怖かったけど、サトコもいたし私もずんずん進んでった。

 で、その部屋には仏壇みたいな箱があって、その中に木で作られた人形が置かれてた。サイズは20センチくらいだったかなぁ。けっこう大きかった。

 サトコの言った通り、体はひとつで仏像みたいに薄いサラサラっとした感じの服を着てる、男性とも女性ともつかないほっそりした像だった。その首のところから正面、左右、後ろを向いた4つの顔が生えてた。後頭部でつながってる感じ。阿修羅像がイメージとしては近いかな。

 顔は2つは男性で、もう2つは女性に見えた。

「ね? 気持ち悪くない? これをね、1年に1回、家族みんなで拝むの。親戚も集まるんだよ。これ、何の神様なんだろうね」

 サトコは神様の人形を手にとってしばらく笑いながら眺めてた。怖いとは思わなかったけどちょっと気持ち悪くて、私はサトコみたいに触りたいとは思わなかったな。サトコは神様の人形を元に戻して「親にバレる前に戻ろう」って言った。

 その後はいつも通り、サトコとおしゃべりしたりゲームをしたりして、サトコのおばさんにおやつを出してもらったりで楽しく過ごした。

 でもその日が、サトコの顔を見た最後の日だった。


 次の日から、サトコは学校に来なくなったの。

 次の日も、次の日も、週があけても、ずっとサトコは来なかった。担任の先生は、サトコは体調を崩してるって言ってた。

 私はサトコと仲が良かったから学校で配られたプリントを届けるために、サトコの家に行ったのね。横の小さな扉からサトコのおばさんが出てきて、プリントを受け取って家の中に戻ろうとしたから、おばさんにサトコをお見舞いしたいって言ったの。

 そうしたらおばさん、これまで見たことないくらい冷たい表情で「あなたは入れないのよ」って言って、扉を閉めちゃった。

 結局サトコは学校に来ることがないまま小学校を卒業して、中学にもサトコはいなかった。親にも聞いてみたけど何も知らなかった。でもサトコの家族はずっとあの家に住んでいたし、ときどきお店とかで顔を合わせることもあった。

 だけど私が挨拶しても無表情で会釈する程度で、サトコのことを聞ける雰囲気じゃなかった。


 これで話は終わりなんだけどさ、これってやっぱり、私がサトコの家族しか入っちゃいけない部屋に入って神様を見たからこんなことになっちゃったのかな?

 おばさんが言ってた「あなたは入れないのよ」っていう言葉は、神様が祀られている部屋に入れないってことだったのかなって思うんだよね。

 それで、サトコは神様に呪われちゃって、家から出られなくなっちゃったんじゃないかなってずっと思ってるんだよね。

 もしそうだとしたら、私はどうしたらいいんだろう。

 


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