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もりとき怪談 第一集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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 俺には2歳年下の妹がいる。

 いるんだけど、この妹は俺が高校1年生のときに急にできた妹なんだ。親が子連れ再婚したとかそういう話じゃないぞ。俺の両親は離婚もしてなければ当然再婚もしてない。俺もなんて説明していいのか分からないけど、そのときの話を聞いてほしい。


 学校にも慣れてきた、高校1年生の夏頃の話だ。

 いつも通り家に帰ってくると、玄関に見たことのない靴が置かれていた。俺の靴よりも一回りくらい小さいスニーカー。アウトソールの部分がピンク色で、一目で女物だと分かるスニーカーだったよ。

 俺は一人っ子だったから、両親の知り合いの子どもでも来てるんだろうかと思った。

 そうしたらリビングから女の子がひょいと顔を出して、すっごい笑顔で「お兄ちゃん、おかえり!」って言ったんだ。

 俺のことを「お兄ちゃん」って呼んだから、俺の知っている子だろうかと思って考えてみたけど、全然誰だか分からない。

 俺がぽかんとしてると、その女の子は「どうしたの?」って言いながら、リビングから出てきた。そして俺の腕を引っ張ってリビングまで連れて行ったんだ。


 俺の頭の中はずっとハテナマークでいっぱいだったよ。

「お母さーん、なんかお兄ちゃんが変なんだけどー?」

 女の子がそう言うと、母さんが「学校でなんかあったの?」なんて聞いてくる。知らない女の子に「お母さん」って呼ばれてるのに、母さんは当然みたいな顔をしてた。

「え、母さん、この子、誰?」

「はぁ? あんた何言ってんのよ」

「この子って私のこと?」

「うん……そうだけど……」

「お兄ちゃん、それマジで言ってる? ひどくない??」

「ちょっとあんた、暑さで頭がおかしくなっちゃったの?」

 なんてやり取りをしてたんだけど、俺には本当にこの女の子の記憶がない。俺がすっとぼけている訳じゃなさそうだってなると、母さんはアルバムを引っ張り出してきた。女の子は涙目になってて、ちょっと心が痛んだ。

 女の子はミサキって名前で、俺の2歳下の妹だって言われた。だから当時は中学2年生だな。

 アルバムには俺が知ってる写真が何枚もあったけど、そのほとんど全部に、ミサキだろう女の子が写り込んでた。俺の記憶ではこんな写真じゃなかったのに。

 いよいよ俺がおかしくなったんじゃないかって話になって、母さんが父さんの職場に連絡して、俺を病院に連れてった。

 これがけっこう面倒くさいことになって、俺は長期で病院に通うハメになった。しかも最終的には統合失調症の可能性ありってことで、心理療法みたいなのを受けることになったんだ。

 これが、俺に急に妹ができたときの話。


 今じゃもう、ミサキがいる生活に慣れちゃった。だから、本当に俺が精神的におかしくなってて、実際に最初から妹がいたんじゃないかって気持ちになってるよ。

 でも、どうしても腑に落ちないところもあってさ。

 当時、俺は友達に「俺って妹がいたっけ?」って聞きまくったんだよ。

 まだ高校に入ったばっかりだったから、高校の友達は当然知らなくて「お前、妹いたの? 可愛い?」なんて聞いてくる。

 中学の頃からの友達は「ミサキちゃんだろ。お前の家に遊びに行ったときに会ったことあったじゃん」って言うやつもいたんだ。

 でも小学校から付き合いのある友達は「お前、一人っ子だろ」って言ってくるんだよ。

 俺と付き合いの長い友達ほど、俺は一人っ子だったって言うんだ。俺の記憶の中でも、やっぱり俺は一人っ子だったと思うんだよな。

 でも中学時代の友達が「妹はいた」って言うのが不思議なんだ。急に妹ができたのが高校1年生のときっていうのは間違いないと思う。そう考えると中学時代の友人が俺の妹に会ったことがあるってすごく変な話じゃないか。

 別に妹がいて何かすごく困ったことがあるわけじゃないし、妹とはすごく仲良しだから、まぁいいかとも思ってるんだけどね。

 


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