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もりとき怪談 第一集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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ペットカメラ

 1年くらい経って私も落ち着いてきたから、私が体験した怖い話をするね。

 今は実家で暮らしてるけど、前は会社に近いペット可の賃貸物件に住んでたのね。社会人になってしばらくしてからひとり暮らしが寂しくなって、猫を飼い始めたんだ。

 仕事をしている間も猫の様子が見れるように、ペットカメラを設置してたの。

 職場の人ともお昼休憩のときとか、ちょっと休憩をとるときなんかに猫の話をして、ペットカメラの映像を見せることもあった。

 ベンチャー企業なのもあってそういうところはけっこう緩くてさ、上司とかも含めて一緒に映像を見て、みんなで癒されてたんだよね。

 冗談で、「もういっそうちの看板猫にしちゃおうか」なんて話が出るくらいだった。


 その日もいつも通りに仕事をしていたら、スマホに通知が来た。

 見てみると「動体検知:人が検知されました」って出てる。びっくりして、思わずとなりにいた先輩に「ペットカメラから、人が検知されたって連絡が来たんですけど……」って相談したの。

 先輩が「確認した方がいい。もしかしたら侵入者かもしれないし、猫ちゃんがイタズラしてるのを誤検知した可能性もあるから」って言ってくれて、私は怖かったから先輩にお願いして一緒に画面を見てもらったのね。


 スマホには、私の部屋の様子が映し出された。

 猫はクッションの上でくつろいでるし、部屋の中も特に変わった様子はない。もちろん人影も見えない。カメラに首振り機能がついてたから、カメラを動かしてみたんだけど、やっぱり何も映らなかった。

 私と先輩は息を吐いて、誤作動だったかと安心したときだった。


 画面の右側から、ゆっくりと何かが出てきた。

 丸い、肌色の何か。

 それがじわじわと画面に入り込んで来る。

 頭のどこかで理解はできてたんだけど、それを信じたくなくて、私はその肌色の何かが画面に入り込んで来るのを、先輩と眺めていた。

 そうして画面は、ラグの上に横になっている毛髪のないおじさんの顔でいっぱいになった。おじさんはばっちりカメラ目線だった。

 私も先輩も、声が出せなかった。


 おじさんの口はパクパクと動いて、何かを言ってるみたいだった。仕事中だからスマホはミュートにしてたけど、口の形だけで何を言っているのか分かる。


「み て る よ」


 私と先輩が、同時に悲鳴を上げた。

 社内の人たちが驚いて私達を見る。先輩が「警察、警察に連絡!」と叫んで、私はすぐさま警察に連絡した。

 私が警察に連絡している内容で私の家に侵入者がいると分かって、社内は騒然となった。上司からすぐに帰っていいって言われたし、何かあったときのためにって先輩もついてきてくれることになった。

 会社の前でタクシーを捕まえてマンションに着くと、先に警察が到着していた。


 結局、部屋の中には誰もいなかった。

 玄関や窓の鍵はかかったままだったし、部屋に荒らされた形跡も、何かを取られた形跡もない。もちろん猫にも異常はなし。

 先輩に「ペットカメラの映像、録画されてないの?」って言われて、警察の人も一緒に録画映像を見てみたけど、そこにはおじさんなんて映ってなかった。

 警察の人が室内に設置してあるペットカメラを見て「これは元からですか?」って聞いてきた。何のことかと思ってペットカメラを見てみたら、ペットカメラに何か透明な液体がべっとりと付着してた。

 気持ち悪くなって「元からじゃないです」って答えたら、何か分かるかもしれないからってペットカメラは回収されることになった。室内もぜんぶ見てもらって、隠れられるような場所はないし、パトロールを強化しておくってことで警察は帰っていった。


 私は気持ち悪くてその部屋にいたくなくて、親に事情を話してペットと一緒に実家に帰ることになった。

 結局そのまま、マンションは解約して今は実家暮らし。実家と会社は電車で1時間以上離れてるから、上司と相談して週に3日はリモートワークにしてもらってる。

 ペットカメラに付着した液体は、洗濯糊だったらしい。でもうちには洗濯糊なんてなかったし、そんなものがついてるなら誰かが侵入したんだろうけど、その形跡はなかったから何も分からない。まぁ、変な液体じゃなくて良かったなとは思ってるけどね。

 あのときペットカメラに映ったおじさんは、生きてる人なのかな、それとも幽霊だったのかな。



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