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もりとき怪談 第一集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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ずっとそばにいるよ


 これ、ついさっきの話。

 残業でいつもより帰りが遅れたんだ。

 まだ終電って時間じゃなかったけどかなり遅くて、電車に乗ってる人もまばらだった。まぁ、俺が住んでる辺りってちょっと田舎だからね。終電近くの電車でも、言うほど混まないのよ。

 俺は座席に座って、ワイヤレスイヤホンで音楽を聞いてたんだ。俺の好きなアイドル。どんなに仕事で疲れてても、彼女たちの歌声を聞くとちょっと元気になるんだよね。


 気持ちよく歌を聞いてたら、途中でザザってノイズが入った。

 2年くらい前に買った安いイヤホンだったから、そろそろ寿命かなと思った。まぁ、時々ノイズが入るって感じだったから、気にせず歌を聞いてた。

 そうしたら、メッセージアプリの通知が来たんだ。


 もしかしたら、メッセージアプリの通知のせいでノイズが入ったのかもしれないなって思って、スマホの画面を見る。

 メッセージアプリの通知って、送って来た人の名前と、メッセージの一部が見れるじゃん?

 そこに「カキョレピ」みたいな意味不明なカタカナの名前で「見てるよ」ってメッセージが表示されてた。

 誰かのイタズラか? って思ってトークを開いてみたんだけど、そいつのアイコンは真っ黒だった。友達だったら過去のトークが表示されてるじゃん? そういうのもなくて、ただ「見てるよ」ってメッセージだけが表示されてんの。


 何かのバグかなと思って眺めてたら、「となりにいるよ」って新しいメッセージが来た。

 ぞっとしてとなりを見たんだけど、もちろん誰もいない。ちょっと離れたところでくたびれたおっさんが爆睡してるだけだったし、視界の範囲にもたいして人なんていなくて、俺は気持ち悪くなってブロックしようとしたんだ。


 そのとき、イヤホンにガサガサってすごいノイズが入って

「ずぅっと~~~~~ そぉぉばぁに~~~~ いぃ~~るよぉぉ~~~~」

 って歌が超スローの低い声で流れてきたんだ。


 うわってなって、イヤホン外した。

 心臓がばっくんばっくんいってて、周りを見渡したんだけど他の人は別段変わった様子もない。

 実際に聞いてた歌には「ずっとそばにいるよ」って歌詞があるんだけど、マジで怖かった。

 スマホで音楽聞いてたから本当は音楽を止めたかったんだけど、もうスマホを見るのも怖くてイヤホンもスマホもカバンに突っ込んだ。

 で、電車の中にいるのも気持ち悪くて、電車が停まったところでその電車から降りたんだ。

 うちの最寄り駅のひとつ手前だったんだけど、次の電車が来るのは18分後。

 電車を待つのも嫌だし、かと言って歩いて帰るのも怖いし、給料日前でキツかったけどタクシーに乗って帰ることにしたんだ。


 駅前のところで待ってたタクシーに乗って、家の住所を伝えたのね。

 で、タクシーが動き出してしばらくお互いに無言だったんだけど、急に運転手が「あれ?」って言ったの。俺が「何すか」って聞いたら「あー、見間違いでした」って言うのよ。

 前方の横断歩道に人型の飛び出し注意看板があったから、それが人に見えたのかなと思って、そのときは気にしてなかった。


 何事もなく家まで着いて、金払って車から降りたんだけど、俺が降りてからなかなかタクシーのドアが閉まらなかったんだよね。

 何でいつまでもドアを閉めないんだろうって思って見てたら、ちょっとしてからドアが閉まって、タクシーは走ってった。

 はー、帰って来たぞ~って思って安心してたんだけどさ、何かさっきから視界の端にチラチラと人影が見えるんだよね。

 長い髪が見えるから、女かもしれない。


 何かさ、もしかしたら駅からずっと俺のとなりに女がいるんじゃねぇのって気がしてるんだよ。

 タクシーの運転手がなかなかドアを閉じなかったのもさ、この女が降りてる途中だったからじゃねぇのって。

 もう怖くて風呂も入れねぇよ。

 とりあえず、明日は何が何でも仕事休んで、スマホを買い替えてイヤホンは捨てる。お祓いにも行く。こういうの対処できる神社でも寺でもいいからどっか知らない?



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