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もりとき怪談 第一集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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学校の地下倉庫


 俺が通ってた小学校には、地下倉庫があったんだ。

 うちの小学校には校舎がふたつあって、それぞれ新校舎、旧校舎って呼ばれてた。1・3・5年生のときは旧校舎を使って、2・4・6年生のときは新校舎を使う。

 新校舎は廊下もリノリウムで明るい感じなんだけど、旧校舎は板張りの廊下だしなんだか薄暗くて怖かったんだよ。だから学校の七不思議も旧校舎に集中してたな。


 その七不思議のひとつに「地下倉庫の鏡」っていうのがあったんだ。

 旧校舎の1階に普段は鍵がかかってる扉があって、その扉の向こうは階段になってて倉庫があるって話だった。実際にその扉には「倉庫」って書かれてた。

 それで、その地下倉庫の中には鏡があって、放課後にその鏡をのぞくと悪魔が出てくるっていう、いかにも七不思議にありそうな話だった。


 小学生の頃の俺には毎日遊ぶ友達が3人いて、仮にA、B、Cって呼ぶ。俺たちは学校にいる間も放課後も一緒にいることが多かった。

 俺が5年生の頃。

 その日は放課後に教室にランドセルを置いたまま、家に帰らずに校庭で遊んでたんだ。夕方になって日が暮れてきたんで教室にランドセルを取りに行った。ランドセルを背負いながら昇降口に向かう途中で、あの地下倉庫の入り口が俺たちの目に入ったんだ。


 Aが、「この扉、開いてたら楽しいのになぁ」って言いながら、ドアノブを回した。

 そうしたら、扉があっさり開いたんだ。先生か用務員が鍵をかけ忘れたんだろうと俺たちは思った。

 実際に扉の向こうを見たことがなかったから、地下倉庫なんてのは嘘で実はただの倉庫かもしれない。そう思ってたんだけど、本当に地下に向かう階段が伸びてたんだよ。

 俺たちは「地下倉庫だ、行ってみようぜ!」って大興奮。

 Cだけがビビって「やめよう」って言ってた。俺たちが誘ってもCはどうしても行きたくないって言って、Bが「先生や用務員が戻ってきて鍵をかけたら出られなくなるから、Cは扉の前に残ってもらって見張りをしてもらおう」って提案したんだ。

 Cが見張りをすれば、ランドセルも置いて行けるからいい案だなってなって、Cもそれならってことで、俺、A、Bで地下に降りることにしたんだ。Cには扉が閉まらないように押さえてもらってた。


 扉を入ってすぐの所に電気のスイッチがあって、それを押すとちゃんと電気がついて地下室の床が見えた。階段の横幅はそんなに広くなくて、子どもの俺たちでもふたり並んで降りるのはちょっと窮屈だった。

 俺たちはずんずん階段を降りていって、地下室についた。そこにも電気のスイッチがあって、やっぱりちゃんとついた。窓がないから閉塞感は強かったけど、明かりがつけばなんてことはない倉庫だった。

 古い机や椅子、移動式のホワイトボードとか、錆びた金属製の棚なんかが置いてあった。人体模型とかあったらちょっとは怖かっただろうけど、そういうのはなし。

 それで鏡もあったんだけど、想像してたのとは違って、古い卒業制作の鏡で大きな鏡の周りにその年の卒業生が彫った木の飾りみたいなのがついてて「〇〇年卒業」って書いてあった。

 もちろん、悪魔が出てくるなんてこともなかった。


 俺たちは「やっぱこんなもんだよなー」って言い合ってたら、突然、バターンって大きな音がしたんだ。

 俺は油断してたからすごいビックリして動けなかったんだけど、Aがさっと音がした方に走った。その音、階段の方からしたんだよ。

「扉が閉まってる!」ってAが叫んだ。


 俺たちは階段を駆け上がった。

 最初に扉に着いたAがドアノブをガチャガチャ回したけど、開かない。「ふざけんなよ!」って言いながら、Aがドンドン扉を叩いた。Aの後ろにいたBも「マジでCふざけんな、とっとと開けろよ! そういうの面白くねーんだよ!」って叫んだ。

 俺は一番後ろにいたんだけど、閉じこめられたって状況から鏡から悪魔が出てくるかもしれないって思って何度も地下室を振り返った。まぁ、悪魔が出てくるなんてことはやっぱりなかったんだけど。


 急に扉が開いたみたいで、Aが悲鳴を上げながら外に出た。

 Bと俺も慌てて外に出て、ほっと一安心したよ。

 それで、扉の外にCはいなくて、俺たちのランドセルだけが放置されてた。Cのランドセルはなかったから、「あいつ勝手に帰りやがった」「明日ボコる」とか俺たちは口々に言い合った。

 地下倉庫から出てくるときに電気を消し忘れたんだけど、戻る気にもならなくて、どうせ誰も見てないだろってことで俺たちは家に帰ったんだ。


 その夜、Cの親からうちに電話があってさ。

 Cがまだ帰ってないんだけど、何か知らないかって。俺は怒られるかもしれないから地下倉庫に行ったことは黙ってて、放課後いっしょに遊んだけどCだけ先に帰ったって言ったんだ。

 翌日、AとBにも確認したんだけど、ふたりもやっぱり地下倉庫に行ったことは言わずに、Cは先に帰ったって言ったみたい。

 結局Cは行方不明ってことで警察が絡んで、俺たちも警察から話を聞かれたりした。でも俺たちだってCがどこへ消えたか分からなかった。


 数日後、Cは地下倉庫で見つかった。

 Cは地下倉庫で死んでいた。

 保護者とかが呼ばれて大騒ぎになったんだ。でも一気に沈静化してその話はタブーになった。どの親もあんまりこの件については話したがらなかったんだけど、俺はCと仲が良かったから親にしつこく聞いたんだよ。

 そしたら、あの地下倉庫を最後に使ったのは、Cの遺体が見つかる2ヶ月前だったんだ。当然そのときにはCは生きて学校に通ってた。

 地下倉庫の鍵は職員室内の鍵ボックスで施錠保管されてて、生徒がいるような時間には先生だって職員室にいるから勝手に持ち出せたりしない。それにCが地下倉庫に入ったなら地下倉庫の鍵はCが持ってるはずだろ? でも地下倉庫の鍵は鍵ボックスにあったんだ。


 じゃあ、Cが地下倉庫に入ったのは、俺たちが地下倉庫に入った日ってことになるだろ? でも地下倉庫には俺とAとBしか入ってない。あんだけビビってたCが自分で地下倉庫に入ったなんて思えないし、入ってきたら気付くと思うんだ。だって扉が閉まった音がしてすぐ、Aが階段に向かって走ったんだ。Cが地下倉庫に入ってきていたなら、そこで会うはずだろ。

 それに、最後に地下倉庫が使われたのが、Cの遺体が見つかる2ヶ月前だとしたら、何であの日に地下倉庫の扉は開いてたんだ?

 ちなみに、Cのランドセルはまだ見つかっていない。



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