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幕間1

幕間


 ガブリエルがクゥーラの洞窟で助けた女冒険者はアンナがうまく説得したおかげで精霊騎士として採用されていた。


 正確には契約精霊がまだいないので精霊騎士見習いではあったが、精霊騎士長室に挨拶に来ていた。


 「あの時は助けて頂いてありがとうございました、ヨハン騎士長。申し遅れましたが、私はフランチェスカと申します。以後よろしくお願いいたします」


 頭を下げるフランチェスカに付き添ってきていたアンナが少し遠慮がちにヨハンに話しかける。


「騎士長の帰る前に正式に所属させてしまいましたが、よろしかったでしょうか」


「いや、よくやった。もともと私が指示していた事だし、最終的には副騎士長の認可ももらったのだろう?それならば問題はない。精霊騎士の素質を持つ人材は貴重だからな。しっかり指導してやってくれ」


 先日、内務大臣に押し付けられた無理難題の作業(マニュアル作り)をしていたところだったので内心イライラしていたが、ヨハンは部下に対して当たり散らすようなことはせずにその対応を褒めている。

 

「良さそうな子が入りましたね。騎士長。俺は精霊騎士ガブリエルだ。よろしくな!」


 ヨハンの作業を手伝っていたガブリエルもその浅黒い肌に映える白い歯を見せながら笑顔で挨拶する。

 

 「ガブリエルさん!?よろしくお願いします!確かガブリエルさんとはあの洞窟でもお会いしましたね!ガブリエルさんは洞窟の神級精霊と契約されたんですよね?!すごいですー!」


 フランチェスカは完全に目がハートマークになって声も高くなっている。緊張してないながらも事務的に話しかけていたヨハンに対する態度とはまるで違う、恋する乙女の視線をガブリエルに向けている。


 「あ、ああ。よろしく頼むよ」

 

 フランチェスカの勢いに若干引き気味に答えながらガブリエルがふとヨハンの方を見ると、血走った目で自分を見ているのがわかる。 


 (こっ、こええ。どうせ『なあ、なんであの子はお前に対してあんな感じなわけ?実際に助けたのは俺なんだけど』とか言ってくるんだろうなあ…)


 この後ヨハンがなにを言うのかわかったガブリエルは困ったことになったと思うのだった。




                    *


 

 「なあ、なんであの子はお前に対してあんな感じなわけ?実際に助けたのは俺なんだけど」


 アンナたちが騎士長室から出ていくとすぐにヨハンはガブリエルが予想していた言葉と一字一句違わないセリフを言ってくる。 


 「さあ、どうしてでしょうか?」


 自覚しているくせにとぼけた言い方をするガブリエルにしびれを切らしたヨハンは、


 「それはお前が男前だからだよ!」


 と泣きそうな顔で叫んでいる。


 (カッコ悪いな。この人。クゥーラの分身体を倒した時とは大違いだ)


 「騎士長はあの子の事が好きなんですか?俺も別に付き合ってるわけでもないから狙ってみたらどうですか?」


 ガブリエルは事も無げに言っているが、ヨハンにしたらその態度も腹立たしい。


 「まだそういうわけじゃないが、これからそうなったかもしれないだろ!でも、もう無理だろ!お前に対するあんな姿見ちゃったら!あの顔見たらもう無理だってわかってるから!」


 「結局何が言いたいんですか?」


 「俺だってあんな目で見られたり、高い声出したりされたいの!こう、なんていうか今は本気の好きじゃなくてもいいから、なんとなくでも好意を寄せられたいの!今後がありそうな、あーゆう、わかりやすいやつ!」


 (あ~、確かに騎士長の事を好きな子はちょっとわかりにくいですからねえ。アンナとか)


 ガブリエルがどうしたものかと頭をひねっているが、愚痴なのか、こちらへの攻撃なのか、よくわからないヨハンの主張は続いていく。


 「お前だってさっきの見ただろ?『ガブリエルさん、神級精霊と契約されたんですよね!』って高い声出しちゃってさあ!いいよねえ!神級精霊まで手に入れてまたモテる要素が増えたってわけですか!いやー、男前は違いますねー!」


 「神級精霊は関係ないでしょう?それなら騎士長だってモテるはずじゃないですか」


 「だからそれはお前が男前だからだよ!」


 「泣かなくてもいいじゃないですか…」


 「泣いてない!」


 (泣いてんだよなあ。この人)


 ガブリエルはひたすら駄々をこねる上司を持て余しながら、それでも(一応)尊敬する上司のために何とかしてみようかと思うのだった。

 

 

                     *




 「って事があってだな」


 「なんでそれを私にいうんですか」


 アンナは憮然として言いながらも、さらにぶつくさ言っている。


 「だいたいあの人は色んな人にモテたい願望が強すぎるんです。ちゃんと一人に絞らないと。それが丸出しだから女の子も二の足を踏むんだと思いますよ」


 「その上かなり二枚目よりのアプローチをするからな。いや、騎士長もまあまあ男前だけど、さすがに顔を活かして複数を口説けるほどではないからなあ。いろいろ勘違いしてるよなあ。やりかたによってはうまくいくと思うんだけどねえ」


 「…ガブリエルさんがそれを言うのも何か違う気がします。それにしても何とかしてあげたいですけどね。まあ、ちょっとは、ですけど」


 たいして興味がないような言い方をするアンナに、ガブリエルは(素直じゃないなあ)と思う。


 (でもまあ、騎士長のためだからな)と少しおせっかいをする気になっているガブリエルは、


 「でもさ、アンナほどの美少女でも二の足踏むんだな」


 小声で耳打ちすると、


 「えっ?!なんの事ですかぁ?」


 アンナは飛び上がるような動きでガブリエルから離れて強張った顔になる。


 そりゃ騎士長の事だよ、とガブリエルが言おうとしたところで茂みからガサっと音がする。どうやらこれがアンナが強張った顔になった理由らしい。


 「ずいぶん楽しそうだな」


 顔を出したのは話題の主のヨハンだ。


 「しっ、失礼します!」


 アンナは素早く頭を下げると、顔を真っ赤にして脱兎のごとく逃げ出していく。


 「…いつから居ました?」


 (相変わらず間が悪いな。この人)


 「ん~、ちょっと前から!なんか悪口だけなら簡単だったんだけど、途中から本気で俺の事を心配してたから正直どんな顔で出ていいかわからなくなったんだよねー!」


 満面の笑顔で言うヨハン。


 「とりあえずその顔ではないと思いますよ…」


 「ああ、そう!そうなんだ!ん~、ほら俺って『いろいろ勘違い』してるからわからないんだよね~!お前はいいよねえ~、なんかアンナとも仲良さそうだし、モテる男は違うねえ~!何を言ったか知らないがあんなに顔を真っ赤にして照れさせるなんてねえ~!ええっ!」

 

 先ほどの耳打ちシーンの事を言っているのか ネチっとした言い方で確かに勘違いしているヨハンに、


 「たぶん、そういうとこっすよ。モテないの」


 ガブリエルは思わずとどめを刺すのだった。




 

長くなったのわけました。もう一回幕間があった後に2章が始まります。あと、リアクションありがとうございます!単純な作者は励みになっています!

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