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011

 そしてヨハンの差し出した菓子を一口食べたクゥーラは感嘆の声を上げる。

 

 「これは美味!人間よ。わしはこれが気に入ったぞ!この甘味に免じてこたびの無礼を許してやろう」

 

 上機嫌で菓子を味わっているクゥーラはすでにわだかまりなく許している様に見えるが、ヨハンは更に前かがみになりながらよいしょを続ける。


 「あっ、ありがとうございますー!さすがは大精霊クゥーラ様!心が広い!いやー、さすが!格が高い精霊様は違いますねー!物の良さもよくわかっていらっしゃる!」


 その卑屈すぎるともいえる態度に、クゥーラは含みのある笑みを浮かべると、良い事を思いついたという顔になる。


 「そうだ。許してやるついでに、お前たちに土産を持たせてやろう。わしの力を使役できるようにしてやる。つまりお前たちと契約してやるということだ」


 『えっ?』


 唐突な提案にヨハンとガブリエルは同時に声を上げる。ちなみにガブリエルはその幸運を純粋に喜んでいるが、

ヨハンは『そんなうまい話があるのか?』という驚きの方が強いようだった。


 「…ただし、この者たちを倒すことができたらな!」

 

 クゥーラは2体の自分そっくりの分身体を作り出す。


 (ええっ?!ここで契約の試練かよ!こんなやり方ありかよ!)


 通常の精霊契約ではこちらが契約を精霊に打診して、相手の精霊がそれを受けたら契約の試練が始まる。


 こんな不意打ちで一方的に契約の試練が始まる事は普通はない。


 神級精霊の意地悪さに初めて触れたガブリエルは素直に予想外だという反応をしているが、神級精霊をよく知るヨハンは、


 (…やっぱり性格悪いな、さすが神級)


 と嫌な納得の仕方をしている。そして、驚きのあまり放心しているガブリエルに指示を出す。


 「ガブリエル、土大猿を呼び出せ!」


 「はっ、はい!」


 ガブリエルはヨハンに言われて土大猿を呼び出す。水系精霊に対して一番有効な土系精霊を出すことはガブリエルも事前に考えていたはずなのにとっさに動けていなかったのをヨハンがフォローした形だ。


 ガブリエルが土大猿を呼び出すと同時にクゥーラの2体の分身体はそれぞれガブリエルとヨハンに向かって攻撃を仕掛けてくる。


 「くっ、土大猿、起こせ土壁!」



 クゥーラの分身体が生成した拳大くらいの水球が飛んでくるのをガブリエルは土大猿に命じて作った土壁で防ぐ。


 この土壁は土で出来ているが、その強度はかなりのもので普通の鉄の槍で刺されても槍の方が欠けるくらいなのだがそれでも分身体の水球を受けると亀裂が入っている。


 (マジかよ!?土壁に一撃でヒビ!?水系精霊の攻撃がここまで土系に有効なんてあり得ないだろ!)


 分身体でしかも2体にしているからクゥーラ本体よりはだいぶ弱いだろうが、もとのクゥーラが破格に強いので恐ろしく強い分身体に仕上がっているのだ。


 ガブリエルとしては土壁で分身体の攻撃を防御しつつ、反撃するつもりだったが、防御する以上のことができていない。


 なにしろクゥーラの分身体の水球攻撃は1つ1つが強力で、生成スピードも驚くほど早い。そしてガブリエルの土大猿の土壁では水球をせいぜい2発受け止めるのが限界なのだ。


 つまり、3発目を受ける前に次の土壁を生成しなければいけないので、とてもではないかこちらから攻撃する余裕はない。


 (なんて威力だよ。水系精霊に相性の良い俺でも抑えるのが精一杯だ。メイン精霊が雷属性の騎士長ではかなり厳しいんじゃないのか?)


 ガブリエルはヨハンの安否が気になるが、その様子を見るほどの余裕は全くない。今は自らに仕掛けてくる分身体の攻撃を防ぐので手一杯なのだ。


 今も土壁を作るのが間に合わない時は、なんとか身をひねってかわしているがそれも紙一重だ。


 そうしているうちに水球を避けた弾みで体勢を崩したガブリエルは、起き上がる時間を稼ぐためになんとか土壁を作って水球を防御しようとするが、3つの水球が同時に飛んでくるのを見て絶望する。


 3つ同時に生成できるのに今までは遊んでいたのだ。それがわかったが、どうしようもない。


 (やられるっ!)


 2つ目の水球に土の壁が破られて3つ目の水球が迫ってくるのをまの当たりにして思わずガブリエルが目をつぶる。


 が、何もおきない。3つ目の水球はガブリエルに当たる直前で霧散したのだ。


 霧散したことに気づかなかったガブリエルが恐る恐る眼を開けると、クゥーラの分身体の首を人間の手が後ろから掴んでいる。


 ヨハンだ。


 「それくらいにしておいてくれませんか」


 そう言うヨハンはすでに自分に向かってきた分身体は倒しているようだ。すでにガブリエルが戦っていた分身体しかいない。


 (え?騎士長、素手?ていうか精霊呼び出さずに分身体を倒したのか?何が起こってるんだ?)


 ガブリエルは自分が無事なことを喜ぶよりも、目の前のあり得ない光景に混乱している。クゥーラの分身体が後ろを振り返り、


 「まっ…」

 

 『て』を言う前にヨハンがその首を握りつぶすようにして消滅させる。


 (うわぁ…エグぅ。この人。絶対に逆らわないようにしよう…)


 と思うガブリエルなのだった。

更新スピードをあげようかなと思いながらも現状維持に。とりあえず頑張ります。

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