新年祭①
久々の投稿です!!
定期的に更新できず、申し訳ない…。
『騎士になりたいんだ』
幼い頃からの夢を父に話した。
『…この商会を継ぎたくないということか』
……違う。
商人としての生き方は嫌いじゃない。
周囲からの期待や、跡取りとしての重圧から逃れたかったわけでもない。
ただ、純粋に夢を追いたかった。
ここは騎士の国なのだから。
騎士になって初めて迎える新年は、厳しい寒さと共に明けた。雪が降り続き地面が真っ白に染まるなか、皇都では新年祭が行われる。
三日三晩に渡って行われる新年祭では、新たな年を祝おうと多くの人や物が集まり、新年早々一番の賑わいを見せる。
この三日間は申請すれば、騎士も休みを取る事が出来る。この国では新年を家族でも祝う風習があり、ちょっとした里帰り期間となる。フィンの周囲にも荷造りをしている同僚が多い。
もちろん詰所に残る騎士もいる。彼らは新年祭の間、交代で皇都内の見回りを行う。そして新年祭が終わり詰所に騎士が戻ってくると、入れ替わりで三日間の休みを貰えるのだ。
「よぉ、フィン。お前は残る組か~?」
ニヤニヤと嫌味ったらしい言葉を投げてくるのは……もちろん、愛嬌溢れる同僚だ。手には大きなトランクケースが握られている。
「そういうお前は……帰るのか」
「おうよ、親父の手伝いだ。新年祭は一番の稼ぎ時だからな!」
ジョンの生家は商会を経営している。国で一、二を争う大商会だ。誰もが知るその名を聞いたときは開いた口が塞がらなかった。
「お前は独り寂しくオレの帰りでも待ってな」
ジョンは強引に肩を組み、パチリと片目を閉じる。なんともウザったらしい。
「嫌だね。……そもそもお前、何で騎士になろうと思ったんだよ? 長男だろ? 普通、家業継ぐとかじゃないの?」
休みの日はほとんど『家の手伝い』と言って、宿舎を出るジョン。そのまま商人になった方が良かったのではないだろうか。
「フッ…、愚問だな」
「『騎士に憧れない子供などいなかった』国だぞ。夢を追って何が悪い」
ジョンを見送った後、フィンはシエルから呼び出され離宮へ来ていた。
「駄目だ。今年は一歩も外には出さない」
「抜け出すようなことはしないって言ってるでしょ! ちゃんとアモンをつけるから!!」
「信用できない。また攫われたいのか?」
「解決したでしょ、それは」
「その気の緩みが問題なんだ」
フィンが執務室に着く頃には既に言い争う声が聞こえていた。開け放たれていた扉から顔を覗かせる。
「良いじゃん外に出るくらい! 私だって国民ですよ!? 楽しむ権利あるよね!!?」
「その前に皇族なんだよ、お前は!……何度この話をすれば気が済むんだ!!」
机を挟んで白熱しているアリアとリカルド。なんとも言えない顔をしている護衛騎士達。その一人がフィンに気づき、声を上げた。
「…あー! 来た来た来た来た!! …ほらっ! アリア、来たよ救世主!! ほら、フィンが! フィンが代わりに行ってくれるって!」
「え」
シエルはそう言って白熱中の二人の間にフィンを割り込ませる。
「な!そうだよなっ!! 見回りの合間に買って来てくれるんだもんなっ!!」
「えっ、え…。えっっと……」
『頷け。いいから【はい】と言え』
「…はい…」
耳元で脅され(?)、訳も分からず返事をする。
「「………まぁ、それなら……」」
アリアとリカルドはしばし睨み合っていたが、納得したのか離れていく。護衛騎士達も安堵の表情を浮かべた。
「えっと…、何がどういうことですか?」
訳が分からないままのフィンは当然、説明を求める。
「アリアは毎年新年祭には必ず抜け出すんだよ。……でも拉致事件からまだ日が浅い。今年は大人しくしててほしい訳」
「……でも皇女殿下は外に出たいと…?」
「そういうこと」
どうやら意見の不一致により起きた衝突らしい。一応収まりはしたが、お互いまだ何か言いたげな顔である。
確かにアリアと出会った時のことを思い出すと、新年祭で抜け出さないわけがない。
「とりあえずお前は、新年祭で売られてる珍しいものとか旨そうなものをたくさん買ってこい! 金ならいくらでも渡すから!!」
「アリアに使われるなんて光栄だぞ~」とシエルからバンバン肩を叩かれる。
「…アモン。一瞬たりとも目を離すなよ。外の警備も増やしておく」
ため息をついてアモンに言葉を投げるリカルド。その言葉にアリアが反応する。
「その信用の無さはさすがに失礼じゃない?」
「日頃の行いの悪さが出てるんだよ。改めろ」
「ほんと、口うるさい……」
「はい、止まってねー!! ダメだよー、争いは何も生まないよー? エネルギーしか消耗しないからねー」
護衛騎士と共に新たな争いの勃発を何とか阻止し、フィンは夜の見回りに向かった。合間で言われた通りに買い物をして離宮まで届ける。
そうして新年祭一日目は過ぎていった。
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同時刻に、短編小説『真面目令嬢と完璧令息』を投稿しました!
異世界恋愛ものです。良かったら、こちらも読んでいただけると嬉しいです!!




