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【完結済】ぼっちプレイヤーなわたしが最強な訳がないじゃないですか  作者: YY
第2章

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第8話 3人パーティ

 部屋に戻った弥生は、片付けを終わらせてからNAOにログインした。

 現実は夜だが、ゲーム内は真っ昼間。

 すぐにフレンド欄を確認すると、既にジンがログインしていた。

 それを確認した夜宵は、早速合流しようとしたが――


「集合場所を決めてませんでした……」


 愕然と声を落とした夜宵は、どうしたものか悩んだが、問題はすぐに解決した。

 ジンからのコンタクトが飛んで来た夜宵は、一瞬ビクッと肩を震わせながら、すぐに応答する。


「こ、こんばんは」

『こんばんは。 ごめん、落ち合う場所を決めてなかったね』

「いえ、わたしも聞き忘れてましたから。 それで、どこに行けば良いですか?」

『どこでも良いんだけど、落ち着いた場所の方が良いかもしれない。 だから、さっきの喫茶店とかどうかな?』

「わかりました、急いで行きます」

『ゆっくりで良いよ』


 コンタクトを切った夜宵は足を踏み出そうとして、服装をどうするか迷う。

 クエスト中ではないので好きな衣装にしようかと思ったが、初対面の人と会うのだから、正装(?)の方が良いと考え直した。

 『キュートメイドドレス』を解除して武道袴に戻った夜宵は、改めて喫茶店に向かう。

 ジンやseiがお忍びで使っていると言うだけあって、近付くにつれて周囲の音が消えて行った。

 入口まで来た夜宵は、深呼吸してからドアを開く。

 中には2人のプレイヤーがおり、1人は言うまでもなくジン。

 先ほどと同じ席に座っていた彼は、夜宵を見た瞬間に笑顔で手を振った。

 それに対して夜宵は微笑を浮かべながら、もう1人の人物に意識を向ける。

 こちらに背を向けて座っている為、正確なことはわからないが、かなり小柄だ。

 緊張しつつ夜宵は進み出て、少し悩んだ末にジンの隣に座って挨拶する。


「お、お待たせしました」

「全然待ってないよ。 ね?」

「はい、ジン様」


 もう1人のプレイヤー、スノウと対面した夜宵は、いくつかの理由で驚いた。

 1つは、非常に可愛らしいアバターだったこと。

 幼い見た目にもかかわらず、落ち着いた雰囲気を感じる。

 もう1つは、メイド服を着ていたこと。

 今日はやけに縁があると思いつつ、口に出しては言わなかった。

 更に、彼女が「ジン様」と発言したことにも、驚かされている。

 一体どう言う関係なのかと、夜宵が困惑していた一方で、実はスノウも戸惑っていた。

 それは何故かと言うと、夜宵の外見が弥生とそっくりだったからである。

 こっそりと、意味ありげな視線をジンに送ったスノウだが、彼は素知らぬ顔をしていた。

 そのことから、今は触れるべきではないと判断したスノウは、夜宵に目を転じて口を開く。


「ジン様にお仕えしている、メイドのスノウよ」

「ジンさんのメイド……?」

「えぇ」


 敢えて言葉遣いを変えたスノウの宣言を受けた夜宵は、何とも言い難い表情でジンを見つめた。

 暁と白雪のこともあり、主人とメイドと言う関係は、一般的なのかと疑ってすらいる。

 夜宵の思考が、おかしな方向に転がろうとしていることを察したジンは、即座に用意していた言葉を発した。


「そう言うロールプレイみたいだよ。 スノウは、メイドを演じるのが好きなんだって」

「……そうなんですね。 でも、どうして相手がジンさんなんですか?」


 夜宵にはロールプレイと言う感覚が理解出来なかったが、そう言う趣味もあるのだろうと納得した。

 だが、自身が言った通り、どうして相手がジンなのかはわからない。

 もっとも、その疑問はジンにとって、想定内のものだったが。


「彼女は、俺のリアフレなんだよ」

「リアフレ……つまり、現実の知り合いってことですか?」

「そうなるね。 要するに俺は、ロールプレイの相方を任されてるようなものかな」

「なるほどです……」


 ジンの説明を聞いた夜宵は、様々なことが腑に落ちた。

 特に、突然メンバーを増やしたことを疑問に思っていたが、そう言うことなら合点が行く。

 リアルでの間柄が気になるものの、これに関して聞くのはタブー。

 胸につっかえていたものが取れた気がした夜宵は、出来るだけフレンドリーに名乗り返した――のだが――


「挨拶が遅れてごめんなさい。 わたしは夜に宵闇の宵と書いて、夜宵と言います。 よろしくお願いします」

「……」

「えぇと……」

「……」

「あの……」

「……」

「わたし、何かしちゃいましたか……?」

「……」


 無言で厳しい眼差しを突き刺して来るスノウを、夜宵はどうしたものか困り果てた。

 思わず助けを求めるようにジンを振り仰ぐと、彼は溜息をつきながら一言だけ発する。


「スノウ」

「……申し訳ありません、ジン様。 よろしく、夜宵」

「は、はい、よろしくお願いします……」

「ただ、最初にはっきり言っておくけれど、わたしはジン様以外に礼を尽くすつもりはないから。 それだけは忘れないで」

「わ、わかりました……」


 棘だらけなスノウに対して、夜宵は腰が引けている。

 何が何だかわからずパニック寸前の夜宵と、澄まし顔のスノウ。

 対照的な両者を前にジンは溜息を追加してから、話を進めることにした。


「さて、挨拶も済んだところで、何か行こうか」

「かしこまりました」

「は、はい……」

「どこか行きたいところとか、やりたいことはある?」

「ジン様と一緒なら何でも構いませんが、敢えて申し上げるなら、ダンジョンに行きたいです」

「わ、わたしもデイリークエストは終わってるので、どこかダンジョンに行きたいと思ってました」

「それなら、どこか適当なフィールドダンジョンにでも行ってみよう。 2人とも強いし、それなりに難易度が高い方が良いよね?」

「細かいことはお任せします」

「わたしも、場所は気にしません」

「良し、じゃあ行こう」


 率先して席を立ったジンに遅れずスノウが立ち上がり、慌てて夜宵も続く。

 ちなみに、彼らは何も注文していない訳だが、現実の店ではないので特に問題はない。

 ジンをリーダーとして歪ながらパーティを組んだ3人は、ポータル端末に向かった。

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家を出た金持ちの反抗期坊ちゃんが幼なじみ的な女の子に押しかけられていちゃついてるのを見せられる、ちょっと良い感じになってた隣女子なわけですねなるほど 実家離れようと場所だけ変えて世話係や家から結局自…
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