表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
純白のブラックロード  作者: たや
第一章 世界の仕組みと戦う理由
8/51

望んだ再会

最後に次回予告を追加しました。

あんまり出番がなさそうなキャラにやってもらいます。


あの出来事から2時間は経っただろうか。

今、俺はアーキファクトに選ばれた者としてHASTの本拠地に絶賛運搬中だ。しかしさすがHAST様。迎えにきた車の乗り心地は気分が良いうえに程よく広い。


助手席には金垣晃、その後ろに俺、その右には綾川黒佳だ。

当然、めっちゃくちゃ緊張している。

というかやっぱり不安。

背筋や顔が硬くなっているのが気になるのか綾川さんは時折りこちらを見るが金垣さんに関しては退屈なのか脚を組んで欠伸をしている。というか寝てる?


ちなみにブラックロードは入らなかったのでトランクに入れている。


「ねえ勇也くん」

「あひゃ!は、はい!」


静寂が続いて話しかけられることなんてないと思い始めた時に綾川さんが話しかけた。


「な、なんでしょうございますか!」

「ぷっ、そんなに硬くならないでいいのよ」


自慢ではないが礁愛姉ちゃん以外の年上の異性にはあまり慣れていないのだ。今の友達も海瀬や木村みたいなちょっとアレな男子共だし、中学の頃は女子と話すことは多々あったが今はまだ入学1ヶ月であまりまだ打ち解けられていない。

これは持論だけど異性のタイプだとしたら3つくらい年上の女性が一番マヴい。


「休みの日とかはなにしてるの?」


世間話だった。


「そうですね…あまり家にはいない様にしてますが予定がない日はお菓子作りとか料理です」

「女子力高ーい!今度礁愛に持って来させてよ」

「もももももちろんです。綾川さんは…?」

「黒佳でいいのよ。それにもっとフランクに来てくれないと私も話しづらいし」

「じゃ、じゃあ黒佳さんは…?」

「私はね…」

「俺ぁ酒よ酒!」


寝てると思っていた金垣が楽しそうに口に出した。


「金垣さんには聞いてないの」

「お楽しみのところ申し訳ありません。到着です。」


運転手がそう言うと車が停車すると窓を開き、警備員と話をしている。


「トランクルームに後ろの子のアーキファクトが入ってるんだ。そのまま対策館に向かいたい」

「承知いたしました。では搭乗されている方のIDカードとお名前をアーカーの方はアーキリングの確認をお願いします」

「坂下啓一、はい」

「金垣晃。ほいよ」

「綾川黒佳、はい」

「えーっと…十八勇也です」


坂下と言う運転手は胸ポケットからスマホの様な端末を、他2人は右腕に装着している黒いリングの様な物を見せる。


「彼は今日初めて入るんだけど何か必要だったか?」

「そうですね。身分確認が確認できるものはありますか?」

「生徒手帳ならあります…えっと…あったあった」


どこに入れたのか覚えていなかったのでさまざまなポケットを漁ると胸ポケットから小さな冊子の様な物を出てきた。それを坂下さんに渡して警備員に見せてもらう。


「高柳高校1年2組…十八勇也…」


ぱらぱらと生徒手帳を捲る。


「はい。大丈夫です。仮入館証をお渡ししますので無くさない様お気をつけて」


再度坂下さんから生徒手帳と仮入館証を貰う。

では、と警備員さんが脱帽するとゲートが上がり発進した。


ここから先は完全に未知の世界。せっかくだからいろんな物を見てみようと思った矢先、地下に入ってしまった。


「勇也君はHASTについてどこまで知ってるんだい?」


坂下さんが話しかける。


「学校で習ったこととニュースでやってる事くらいですよ。害悪種の研究に駆除とアーキファクトの開発と災害派遣の3つですよね」

「大雑把に言えばね。でも基本的にHASTは3つに分かれているんだよ」


始まった、と黒佳さんが呟いた気がする。


「まずは一番有名な所の害悪種の駆除、これは害悪種対策本部。うちでは害対(がいたい)って呼んでる」

「駆除ってことはアーカー関連の?」

「そうだね。次は害悪種の研究場所の害悪種研究本部。害研がいけん。そして最後に対害悪種兵器開発本部の害開(がいかい)。この3つ。」

「なんかまどろっこしいですね」

「最初だけだよ。害対が害悪種を駆除したり捕獲して害研に回してデータなどを取る。そしてそのデータを害開に回して新しいアーキファクトや国軍や民間警備企業にも使用できる様な武器を作るんだ」

「アーカーじゃなくても害悪種を倒せるんですか?」

「あの学校に現れた低級害悪種くらいならね。それでもアーカーがやるに越したことはないさ」

「…そんなこと僕に話していいんですか?」

「これくらいはホームページに書いてあるよ。それに去年、君の中学校にも来なかったかい?HASTの附属高校からの進路説明会。あれ俺が行ったんだけど」

「えっ?」


そういえばそんなのあった気がする…中3の初めくらいに。


「まあ覚えてなくても構わないさ。むしろ忘れて暮らしてもらった方がいいことだからね」


坂下さんは笑う。


「あの、坂下さん」

「どうしたんだい?」


ある程度会話して緊張がほぐれたので、一番気になっていた事を聞く。


「アーキファクトを開発って言ってたと思うんですけど僕や梢香みたいな急に出てきたブラックロードやホワイトウィッシュもHASTに作られたんですか?」

「いいや。それは()()のアーキファクトだよ」

「ほん…もの?」

「うちで作っててよく空で見かける同じデザインのアーキファクトはアハガと言ってね。ある2人の天才が作った偽物のアーキファクトだよ」

「偽物?」

「アハガは簡単に作れる量産性と人を選ばない汎用性を目指して開発された物なんだ。だからどうしても勇也君や晃さんみたいな本物のアーキファクトには敵わない」

「待ってください、偽物とか本物とかなんなんですか!?」

「それを説明すると複雑で長くなるから一旦お勉強はここで区切ろう。着いたよ」


窓を見ると薄暗いトンネル道中の道で停車していた。

車を降りるとすぐそこには分厚く頑丈そうな扉が待ち構えていた。


「じゃ、自分の未来は自分で決めな。っていても多分またすぐ合うけど。またあとで」


助手席の窓が降りて坂下さんが笑顔で手を振っていた。


「行くわよー」


重く引きずる様な音が聞こえたので振り返ると黒佳が操作パネルに指を当てていて、扉がスライドしていた。

あれになんかパスワードとかやったのかな。


「何か忘れてる様な…」


扉を通ると赤いレーザーみたいな線が体の上から下へ、下から上へ流れた。


『認証。アーカー2名と仮入館者1名。入館を許可します』


扉の奥にはまた扉。今度も重い音がして扉がスライドして開いた。


「やっぱなんか忘れてる気がする…」


それを通ると明るく人通りが多い部屋に出た。

休憩ラウンジなのか飲み物を持った大人や自分と同い年の少年少女など老若男女国籍拘らず談笑をしていたり何かしらの手続きを受けている人もいる。


「広い…」

「でしょ?ここがさっき言ってた害対ね。ここで勇也くんには検査を受けてもらうわ」

「検査…?何か測るんですか?」

「怪我はないとはいえ害悪種と接触してるんだもの。念には念を、そしてブラックロードと君の色々を測定しないと…。そういえばブラックロードは…?」

「その前に治療室っていうか医務室みたいなところってどこにありますか?」

「…梢香ちゃんの事が気になるのはわかるわ」

「ここの医者の腕は保証するぞお。なんたって俺の千切れた左手完全にくっつけてくれたからなぁ!がっかっか!」

「…あぁ言ってるし梢香ちゃんは大丈夫よ。それに、もしまずい事になったらとっくに連絡が来てるはずよ」

「でも…」

「勇也くん…?」


聞きたかった声がするっと耳を通った。

2時間ほどしか離れてなかったのにその声を聞いただけで身体の重荷が急に消えたかの様にその声の方向に向く。


「しょう…か…?」


明るい性格で黒髪のふんわりとしたボブ以上セミロング未満の髪型。そして可愛らしい顔の少女がきょとんとこちらを見つめていた。服装は来ていた制服とは違う学生服だったがその事は目になかった。


考えるより先に走り出していた。

人を避け、机を飛び越え、その少女を抱きしめる。

もう2度と、離すまいと


「よかった…無事で…ほんとうに…無事でありがとう…」


少し力が強いよ、なんてとても言えなかった。

本気であたしのことを思って、心配しているのは十分に伝わっている。


「よしよし。あたしは無事だよ?泣き虫さん」


梢香も少年を抱きしめて後頭部を撫でる。

まるで赤子をあやすかの様だった。


---------------------------------------------------


どうもみなさん。中月聖奈です!

え?誰だっけ…?中月家が四女にして末っ子の中学2年生バスケ部です!

お姉ちゃんとお兄ちゃん、2人とも無事に再開できてよかったぁ…

じゃあここで次回予告!

無事に再開できた2人は変なチリチリパーマメガネの人にこの世界と害悪種の秘密を教えられてHASTにスカウト!?


次回、「害悪種」

ぜひ読んでくださいね!


後書きが寂しいので小ネタだったり後日談とか書こうと思います。



車を駐車エリアに停めた坂下は思い出した。

「あ」

後部に行きトランクを開けるとそこにはブラックロードが。

『忘れていましたね?』

トランクから自力で降りたブラックロードを坂下は目を逸らした。

「いやぁ…勇也くんはここにいると思います。タブン」

じっとこちらを見つめてくる。

「…さよなら!」

坂下は走り出してその場を離れた。


誤字とか脱字の指摘、いつでもお待ちしてます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ