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純白のブラックロード  作者: たや
プロローグ
5/51

望まぬ再開

『お久しぶりです。黒の主(ブラックロード)

『再びお会いできて嬉しいです・・・白き願い(ホワイトウィッシュ)


ホワイトウィッシュと呼ばれた白いアーキファクトが空から地に足をつけた。

尻もちをついていた勇也達に右手を差し伸べた。

自然と、勇也がその手を握ると立ち上がるとホワイトウィッシュが勇也に尋ねる。


『あなたが十八勇也さん・・・ですね』


とても申し訳無さそうな音声だった。


「そうだけど・・・」

『申し訳ございません。私が遅くなってしまったことであなたの大切な人に怪我を負わせてしまいました』


アーキファクトに頭を下げられたのは初めてだった。

というかこんな行動ができたのかとも思うが今はそんな事は言ってられない。


「梢香は、無事なのか?」


思わず拳に力が入る。

このアーキファクトは悪くない、わかっている。

でも、もし違ったら、梢香が無事じゃないなら、俺は、怒りでどうにかなってしまうかもしれない。


いや違う、悪いのは他の害悪種を即座に仕留めきれなかった俺だ。

もっと言えばあの時、害悪種を追わず梢香を連れて病院なりに連れていけばよかったんだ。


『彼女は無事です。ご安心を』


言葉を聞いた時つい膝が崩れた手をついた。

一呼吸をおいてから一言、漏れ出た。


「よかった・・・ほんとに・・ほんっとうに!」


意識せず涙がこぼれた。

これであの笑顔をふたたび見ることができる。

そう思うと自然と出てしまうのだ。

久しぶりに人前で泣いたかもしれない。


『今、私の中で簡易的な治療をしています。あくまで応急処置なので治療施設には連れて行く必要はありますが余裕はあります』

「いいんだ。生きててくれてるだけで。ありがとう・・・」

『顔を上げてください。私は私の使命を全うしただけですから』

『一つ質問です、姫よ』

「うぉっ」


俯いて涙を流しているとまた勝手にブラックロードに立たされた。


「お前動かすなら一言言えよ!」

『当初の予定では私とあなたの目覚めは()の活動の目安のはず。それにもかかわらずほぼ同時のタイミングで目覚めたということはつまり・・・』

『お察しの通りです。多少の誤差はあれどじきに大きな活動があると考えていいでしょう』

『前世界の記録はあまり当てにならないということ・・・ですか』

『想定よりも早く動く必要がありそうです』

『ルーカラの位持ち(ナンバーズ)は今どこまで目覚めているでしょうか』

『現状、察知はできませんね。リードと夜半は目覚めていると思いますが・・・』

「ちょーっとストップ!」


2機のアーキファクトが意味深なことを話し出した。

正直、全然ついていけないし何を話しているのかも理解できない。

言葉はわかるのに情報を処理できず考えることさえ難しい。


「お前ら一体何話してんだよ!ルーカラってなに!?ナンバーズって?なんなんだよ前世界って!?」


感情を込めて勢い任せの感情的な発言だった。


『説明・・・していないのですか?』

『時間がなかったもので。理解ができていないということは一般教育ではそこまで踏み入っていないようですね』

『隠しておいたほうがいい情報だったかもしれませんね』


ピピピっとレーダーのシステム音が鳴った。

新たな反応を検知し、レーダーには新たに3つのアーキファクトの反応がこちらに向かっている。


『アーキファクト反応・・・』

「ど、どうすんだ?てか、俺と梢香はそういえばどうなんの!?」


戦闘の緊張が完全に解けたのかわたわたと動き始め頭を抱え始めた。


『どのみち私はここで待ちます。梢香さんを治療ができる施設へ送ら__』

「おぉう?どーなってんだこりゃ」


空から3機のアーキファクトが着陸する。

1機は蜂を彷彿とさせるような黄色と黒の警告色の装甲を纏っており右腕にはスズメバチのような針が見える。女性のアーカーなのか胸部がやや突出している。


もう1機は明るい緑色だ。頭部には複眼の様なものが見え、何より両腕には鎌を持っている。

まるでカマキリのようだ。この人も女性アーカーなのか蜂の人と同じ部位が出ている。

というかふたりとも少し肌が露出している。


そして最後の1機はかなり変だ。今まで見たアーキファクトよりもかなり軽装で、装甲というより衣服を纏っているかのようで武器と呼べるものは左手に鞘ごと握られた日本刀のような刀だ。頭部に防御装甲はなく素顔をさらしている男性だ。


どれもこれもブラックロードやホワイトウィッシュ?っていうアーキファクトとは異なる雰囲気を感じる。

この3機が今さっきレーダーに映っていた反応だろう。


今、喋ったのは日本刀を持ったアーカーだ。


「報告ではキメラタイプが出たって話だったんが知らねえアーキファクトしかいねえなぁ」

『うむむ・・・あのアーキファクトもしや・・・』


男性アーカーが目を細めてこちらを見る。


「あ、あの!俺達、今さっきアーカー?っていうのになったばっかなんだ!」


HASTの隊員なら話は通じるはず。あくまで俺達は()()()()()()体を装う。


「へぇ・・・君、ここの学生くん?」


蜂のアーカーが質問を投げかかる。


「はい!俺は1年の___」


私は(礁愛は)嫌な予感がした。

恐れていたことが実際に起こるような前兆だったかもしれない。


()()()()って言います。この白いアーキファクトは()()()()っていう女子です」


息が詰まった。


「中月ってことは・・・あんたの妹じゃないの、礁愛?」


蜂のアーカー(綾川黒佳)が驚いた目つきでこちらを見た。


「礁愛・・・?礁愛姉ちゃん!?」


そんなわけない、あるはずがない。あってほしくない。

そう思っていたのに確定してしまった。

鎌を握っていた両手の握力が一層、強くなった。


「・・・用意」


きちんと発そうにも声が震えて後半しか口から出なかった。


「ごめん礁愛。いまなんて?」


黒佳が聞き取れなかったのか聞き返した。


「未確認アーキファクトを発見。各位攻撃用意・・・!」


誤字脱字指摘あったら直します。

指摘お待ちしてます。

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