コトリバコの使い方 壱
“コトリバコ”。
外見は唯の寄せ木細工の箱だ。
呪いたい相手に送ると相手は死に至ると呪殺の箱。
そんな都市伝説が存在する。
この世には……。
土曜日に箱を頂いた。
近所の方から。
箱は上げ底になっていた。
何でだよといいたい。
箱の中には焼肉の役に立ちそうな物が入っていた。
折角だ。
僕が明日朝食を作ってやろう。
等と言ったら妻と息子が無表情だった。
良いから明日の朝は寝てろ。
というか寝させてやる。
「病院に貰った睡眠薬は……どこだっけ?」
うん。
無表情な顔は止めろ。
次の日の朝。
シュウシュウと白煙を上げる。
僕は朝食のステーキを焼いていた。
意図せずに手に入った代物だ。
妻は未だに寝ている。
日曜日の朝ぐらいゆっくり寝てほしいからだ。
余分な脂を捨て箱から出したソースを入れる。
香ばしい匂いが充満する。
焼けたステーキは更に盛り付け合せを準備する。
箱から出した脂を鍋入れ砂糖を入れ人参の煮込む。
ブロッコリーも彩りを考え投入。
付け合せの温野菜の完成だ。
茹で上がった野菜は盛り付けた。
スープは玉ねぎをスライス。
市販の鶏ガラスープで味付け。
後は……二人を起こすだけだ。
スマホで二人に電話をする。
その間どうするか?
ああ~~肉を捌くか。
冷蔵庫に入れたタンの皮を剥きスライス。
ラップで包冷凍庫に。
腿肉もスライスして冷凍庫。
肩ロースも冷凍庫。
脳は白子の様に濃厚で美味いんだよな。
取り出しやすいように骨を剥がし始める。
骨は後でオーブンで焼いて出汁を取るか。
「電話に出ないな~~」
おかしいな~~。
時計を見たら既に昼だ。
幾らなんでも遅すぎる。
僕は解体をやめ息子の部屋に行く。
息子の部屋に行ったが居ない。
はて?
まさかあの年齢で妻と一緒に寝てないだろうね。
そう思いながら台所の前を通ると息子がいた。
正確に言えば息子だった物。
青白さを通り越した土気色。
血が腐ったどす黒い血管が見える。
机の上に息子はいた。
頭の骨を剥がした息子が。
首から上しかない息子が。
そこにいた。
そして台所に散乱してる無数の血と骨に肉。
明らかに動物の物では無かった。
量は多い。
軽く子供一人を超える。
呆然とした僕の視界に近所から頂いた箱が映る。
寄せ木細工の箱が。
それが何故か僕の目に写っていた。
すみません。
少しだけ加筆しました。