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姫君と初登校

次にスキルの確認をしてみた。


ウォープリンセスの最大の強スキルである経験値拡張は種族スキルだったらしく、使用可能になっている。

経験値拡張はウォープリンセスを一気に神職にしたユニークスキルで、これが実装されてから、引っ張りだこになり、本来のキャラクターである黒騎士ガッシュでプレイできなくなった因縁のスキルだ。

自分も含めてパーティーメンバーの経験値の取得率をLv+1%増やすというスキルでパッシブのためバフ枠を消費しない。

このスキルが発見された時は全員が発狂したような騒ぎになった。

低レベル帯では発見されてなかったし効果は薄いが、LV49で+50%で1.5倍、最高のLv99では+100%と何と経験値の取得率が2倍になるというトンデモスキルだ。

しかし、その他のスキルはほとんどがグレーアウトしていた。

ウォープリンセスを最強バッファーの一角にまで押し上げた、クリティカル率向上もクリティカルダメージ向上もまあまあ使えるHPリジェネとMPリジェネも全て使えない。

僕はため息を付く。

唯一の救いはあの面倒臭いスキル取得クエストをやらなくてよさそうなことくらいだ。

やらなくていいよね?

実際に使えるレベル帯迄上げて確認してみないとはっきりしないが、覚えているということはやらなくてよいのだと思う。


この時も即、中島と飯田からライモが来た。


中島:「悲報、俺氏Lv1になった件についてでござる」


僕:「同じくレベル1になった。でもスキルは使えないだけで全部覚えているみたいだね」


飯田「スキル取得クエはやらずに済みそう」


中島:「姫の例のアレは使えるでござるか?」


僕:「使えるけどlv1だから、+2%。消費税以下になった」


中島:「おお、姫、一生ついていくでござるよ」


飯田:「さすが姫」


この呼び名には思うところがあるが実際に女になったので突っ込むのはやめておいた。


中島:「姫は現実世界でも姫プレイ確定でござるな」


飯田:「今度は折角現実になったんだから、貢物にリアルマネーを要求しよう」


僕らはゲーム内で僕、中島、飯田でプレイしていた。

最大6人のパーティー枠の空いている枠に高レベル帯のプレイヤーを入れていた

経験値拡張が知れ渡った後からは競争になったので、勝手に貴重なアイテムやウォープリンセスの専用装備品などを持ってくるようになった。

ドレスのような装飾アイテムは色違いも含めてすべて揃っている。

その行為を誰ともなく、「姫プレイ」と呼ぶようになった。


僕:「お巡りさーん。ここでーす」


飯田:「じ、冗談だよ。」


中島「飯田氏、半分くらい本気だった件、でござる」


僕:「とりあえず、何と戦うのかってことだよね?」


中島:「装備があってスキルがあるなら、後からモンスターも実装されるのでござろうな」


僕:「僕もそう思う」

きわめてゲーム的な発想だが、システムが実装されたなら、当然残っているのはモンスターだけだろう

誰が、何のためにやっているのかは不明だが。


中島:「そう言えば、姫の髪形はソード〇ートオンラインのア〇ナにそっくりでござるな」


僕:「妹にやり方教えてもらった」


飯田:「妹GJ」


中島:「妹GJ」


恵の株が本人の知らないところで爆上がりになったところで話は終わった。


この後、学校から連絡があり、変身してから2週間後、この日から4日後から登校することになった。


登校日には違う駅から乗るはずの中島や飯田が迎えに来てくれた。

2人には感謝だ。


その日は職員室に待機となった。

朝一の全校集会で全生徒に差別や特別な視線を向けたり勝手に写真を取らないように注意を促してから、教室で転校生のように改めて紹介されることになった。

当然、この全校集会に僕らは欠席だ。

僕らの学年は僕らだけだったが、三年生にも3人、LROのプレイヤーがいたようで職員室で顔を合わせた。

ミトラの女の子が一人、

エルナリアの男が一人

カタリウムの男が一人

合計3人だった。

「よろしくな。ミトラの御子神アカネや」

「エルナリアの藤堂純一です」

「カタリウムの岩田厳です」

3人にそれぞれ自己紹介された。


ミトラの御子神さんは僕と同じ性別転換組で、丸3日間副作用で起き上がれなかったそうだ。

ミトラは男から男でもかなり副作用が出るらしいが、男から女だと相当厳しい副作用が出るようだった。


「聞いたで、ユイちゃんも中の人男の子だったんやってな」


「はい。そうです。御子神先輩も?」


「うちもそうやで。丸3日起き上がれんかったわ」


「あの、耳触っていいですか?」


「いいよー。うちも髪触らせて」


ミトラの耳は柔らかくてとても気持ちよかった。

癖になりそうな感触だった。


「ミトラの女子は誘拐されそうになった人もいるようですね」


「ゲームキャラってことでみんなかわいい子ばっかやからな。うちも気を付けないとー」

どうも、御子神先輩はエセ関西弁が口癖のようだった。

エセなので時々普通に戻る

尻尾も動かせるようで、しゃがんでと言われたから何かと思ったが、尻尾でなでなでされた。

「ユイちゃんがあの有名なお姫ちゃんやったんやな」


「そんなに有名ですか?」


「鳴り響い取ったでー。大人気や。」

先輩たち3人と話していると教室に移動する時間となった。

全校集会は職員室に待機で、ここからクラスメイトと合流だ。


名前は僕の場合、キャラ名から取って、鈴木ユイとして、通名を使ってよいことになっている。

他の二人の名前はもちろんそのままだ。


僕ら3人が入ってくると、教室がざわめいた。


「中島翔太です。姿は少し変わりましたが、改めてよろしくお願いします」


「同じく、飯田賢です。同じくよろしくお願いします」


「うそっ、アレ、中島なの?」

「飯田も背が伸びてる」


「鈴木祐樹改め、鈴木ユイです。よろしくお願いします」

僕は緊張してそう言うのが精いっぱいだった。

制服のスカートが頼りない。

情けないことに足が震えた。


どっと教室が湧いた。

「すっごい可愛い」

「全然別人じゃん」

教室は暫くしてもかなりざわめいている。


「ハイハイ、静かにしろお前ら、席は昨日決めたように3人固まって後ろの方に座ってもらう。具合が悪くなったら挙手して保健室に行ってくれ。それから特に鈴木は少し変わってしまったが、特別な視線を向けたりイジメとかしないようにしてくれ」


「それから、女子、着替えやトイレ何かは別にしてくれと言う意見が多かったが、今日改めて本人を見てどうだ?それでも別がいいか?」


「問題がないと思うもの、手を挙げてくれ」

全員が手を挙げてくれた。

一応受け入れてもらえたようだ。


1限目が始まり、休み時間になると僕の周りに女子が集まった。


「すっごーい。髪の毛薄紫なんだ。地毛なの?」

「髪の毛サラサラー」

「可愛い髪型だけど、自分でやったの?」


意外と好意的な反応にびっくりだ。

僕は質問に丁寧に答える。


視界の隅に中島が委員長と出ていくところが見えた。

委員長はあだ名で本名は岡部詩織、面倒見の良い典型的な委員長タイプの眼鏡女子で、あだ名もそのまま委員長だ。

何を話しているのだろう?


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