プリンセス&カンファレンス
アカネ視点
「姫、しっかりせいな。」
ダンスのレッスン中に姫が突然倒れたのでウチも焦ったで。
池田さんが話を聞いて慌ててレッスン室にやってくる。
「ユイちゃんが倒れたんですって?」
「そうや突然倒れたんや。」
「すぐに病院に・・・」
「いや、多分必要ないで。」
「原因が何かわかってるの?」
「スマンが高橋センセ、ちょっと外してくれるか?」
高橋センセはウチの言葉と視線で言いたいことが分かったようだ。
席を外してくれる。
「で、原因は?」
「多分だけどな。生理や。
今日はさっきもえらい感情的やったやろ?
うちらはレベル7で肉体的にはエライ強うなっとるから、お姫ちゃんも気が付かなかったんちゃうかな。」
「そう・・・今日はこのままユイちゃんには自宅で静養してもらうわ。」
マナー講師の山田先生が入ってきた。
「ユイちゃんが倒れたって聞いたけど・・・」
「生理による体調不良だそうです。
ああ、私の責任だ・・・
こういうときの為に出来るだけ年の近い私が配属されたのに・・・」
池田さんが手で顔を覆う。
「いいえ、池田さん、気が付いてあげられなかったのは私も同じよ。
あの子、言われたことは何でも努力して面白いように何でも覚えていくの。
他の先生も言ってたわ。
呑み込みが早くて面白いって。
何でもできるし、あまり弱音も吐かないし、とても大人びているから、子供じゃないって勘違いしちゃうのね。」
「まあ、うちらこの体になってから、2か月ちょっとやからなあ・・・・」
「女としては初めて生理の来る小学校高学年くらいのキャリアしか無いって事ね。
大人びた心に、何でもそつなくこなせる呑み込みの早さ、でも女としては初潮が来たばかり程度でしかない・・・。とてもアンバランスね。
今後は無理をさせないようにそれとなく気を付けてあげないと。
きっと本人にもわからないのでしょうし、わかっても恥ずかしくて言い出せないのもかしれないわね。」
「まあ、ウチはそう言うキャラじゃないから、遠慮なく言うけどなあ。」
「アカネちゃんは大丈夫なのよね?。」
「幸いミトラは肉体的には頑健な種族ってことになっとるからなあ。
ウチは生理来ても体調ほとんど変わらんで?
トイレの水が真っ赤になっとるのを見てやっとわかる位や。」
「それは何というか・・・うらやましいわね。」
「とにかく、今後は周りにいる大人たちで気を付けてあげましょう。
少なくとも、あの子が慣れるまでは。」
この後、僕は協会の一室でソファに寝かされて、父さんと一緒に自宅に戻り静養した。
もちろんだが、父さんは僕を送り届けて母さんに引き継いだあと、仕事に戻った。
次の日からは普通にレッスンに参加した。
中島視点
時は少し戻る・・・
LRO合同研究会1回目
夏休みに入ってから、ダンジョン協会から拙者と飯田殿、岩田先輩殿、藤堂先輩殿は呼び出されたでござる。
何でも、LROの開発者と協会の職員とLROの転生者である拙者たちで研究会を開くそうでござる。
姫と御子神先輩はダンジョン探索者の登録キャンペーン事業で多忙を極めているので、参加は出来ないというか内緒にして参加させないということになっているようでござる。
心が痛むでござるが協会の決定なので致し方ないでござるな。
拙者たち4人は会議室に入り着席する。
ダンジョン協会の宮田課長が司会となる
立ち上がって自己紹介する
「まず、皆さん初顔合わせですから、自己紹介から始めましょう。
私から時計回りで行きましょう。
私は宮田鉄夫、ダンジョン庁準備室の課長で、ダンジョン協会には出向で来ています。
今日は司会の他、協会で収集している情報の説明を致します。」
「ダンジョン協会 主事補の伊藤大輔です。本日は書記として参加しています。」
「ダンジョン協会 主事の串田麻美です。本日は宮田課長のアシスタントとして参加しています。」
「ではパーティー[にゃんにゃん遊撃隊]のメンバー。自己紹介をお願いします。」
「[にゃんにゃん遊撃隊]メンバー岩田厳です。見ての通り、カタリウムのロックナイトです。」
「[にゃんにゃん遊撃隊]メンバー藤堂純一です。エルナリアのビショップです。」
「[にゃんにゃん遊撃隊]メンバー中島翔太です。人族の聖堂騎士です。」
「[にゃんにゃん遊撃隊]メンバー飯田賢です。人族のソーサラーです。」
「では、LRO開発室の方、自己紹介お願いします。」
「トライアングルソフト取締役執行役員(開発・部門担当) 第三開発事業本部長
由口尚樹です。」
「トライアングルソフト キャラクターモデラー 佐藤真司です。」
「トライアングルソフト リードバトルコンテンツデザイナー 中村雄一です。」
「皆さん、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。
それでは、本会議の目的ですが、協会の職員、LRO転生者、LRO開発チーム、それぞれの立場で情報交換を行う事です。
その結果として、お互いに新たな発想や着眼点を得て、今後起こり得る様々な事象に対応できるような意見を得ることが出来れば理想ですね。
何れにしても、ここに集まって頂いた方はある意味、それぞれの分野で世界で最もダンジョンに詳しい方々だと思います。
そのご意見を聞かせていただけるだけでも非常に価値があると考えております。」
研究会が始まった。
まずは岩田先輩殿からダンジョンの内部について説明があった。
「国会中継を見ていただけた方は分かると思いますが、われわれ[にゃんにゃん遊撃隊]は日本で唯一ダンジョン内部に侵入して戦闘を行った人間だと思います。
ダンジョンの内部は所謂ダンジョン、地下迷宮と言う感じではなく、どこか別の世界と言う感じでした。
ダンジョンと言うからには下の階もあるのだと思いますが、少なくとも地下1階は天井のようなものは見えず、地上のような感じでした。
そして、我々が足を踏み入れた地下1階は草原地帯でした。
資料にある通り、遭遇したモンスターは角兎とゴブリンです。
こちらはLROに出てくる同名のモンスターに酷似していました。」
LRO開発チームの由口プロデューサー手を挙げる。
「質問よろしいですか?
あのー、ユイさんとアカネさんは今日はいらっしゃらないのでしょうか?」
宮田課長殿が苦笑しながら答える。
「申し訳ありません。現在、鈴木ユイさんと御子神アカネさんはダンジョン庁のPR事業で多忙を極めており、今回の勉強会は欠席させていただいております。」
「あのー、もしよかったら後でサインと記念撮影をお願いしたいのですが・・・・」
「わかりました。この勉強会は既にお伝えしている通り、3回ほどを予定しております。
全て終わった後にお時間を取らせていただきます。」
拙者たちも顔を見合わせて苦笑する。
そりゃ、むさい男4人より、姫や御子神先輩から話を聞きたいのでござろうな。
「ご配慮ありがとうございます。トライアングルソフトとしても少しは役に立たないとまずいですね。
じゃ、ダンジョンについてちょっとお尋ねします。
ダンジョンは本当に下の階層があるのでしょうか?」
「本当にあるかどうかで言えば、ハッキリとは断言できません。
我々は入り口の周辺を少し探索しただけですから。
しかし、あるのではないかと思われます。
少なくとも、ゴブリン事件の時に最後には中ボスクラスのホブゴブリンが出てきたことから、もっと強いモンスターのいるエリアは区切られて存在すると思います。」
「なぜそう断言できますか?」
「ダンジョンはゲームとして見ると、かなりフェアな作りになっていると感じたからです。
例えば、クリア不可能にしたいなら第一層にいきなりレベル30くらいのモンスターを配置すればよい。
いや、現実の世界では弱いモンスターから順番に出てくるなんてことはあり得ないでしょう。
いきなり強いモンスターが出てきても不思議じゃないし、不自然ではありません。
しかし、我々が比較的簡単にレベルを上げられたことから、ゲームとしては極めてフェアに作られているものと推測できます。」
「なるほど、岩田君の話を聞くとダンジョンを作った何者かがいるように聞こえますが、岩田君たちはその存在をご存知なんでしょうか?」
「知っているか知らないかで言えば知りません。
しかし、ユイ姫、御子神も含めた[にゃんにゃん遊撃隊]のメンバーでは、ダンジョンには管理者のような存在が居ると感じています。
便宜上我々はその存在を[アドミニストレーター]と呼んでいます。」
「なるほど、[アドミニストレーター]とは言いえて妙ですね。」




