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プリンセス&ディスピア

短文SNSの反応


お前ら、LRO転生者向けのダンジョン調査登録説明会の案内来た?


来た来た、スマホアプリでエントリー出来るのな。


登録したら説明会後にユイ姫のミニライブ見られるらしい。


俺、もう登録したよん。


なんかかなりキャッチーな特典だよな。


一部の転生者にアンケート取ってるらしいよ。


ああ、それでか。


ダンジョンの調査って危なくないの?


危ないけど、登録するだけでダンジョンに入らなくてもライブ見られるらしいぞ。


じゃあ俺も登録する。


ダフ屋みたいなのがネットの掲示板とか路上で片っ端から声かけてミニライブ入場の権利買うって言ってるな。

俺も声かけられたわ。


売るわけねーし。そもそも転生者以外は入れないだろ。

登録カードのチェックくらいされるだろ。


誰も売らないから、すんげー値段上がってるらしいぞ。

今100万円だってよ。


ほぇぇぇぇぇぇ。


ユイ姫大人気だな。


そう言えば、CM録画した?


したした、3パターンあるでしょ。


差別禁止の奴、有難いよね。


あれだろ?LRO転生者は姿が変わっただけで貴方と同じ人間ですって奴。


それそれ。


あれのおかげで今のところ大きな混乱は起きてないんじゃないかな。


ユイ姫頑張ってるよな。


俺たちも協力してあげようぜ!


俺達のユイ姫。





夏休みに入ってから二週間

僕はアカネ先輩とレッスンを精力的にこなしている。


協会のビルの中で中島、飯田、岩田先輩、藤堂先輩とばったりあった。


「あれ、今日は来てたんだ?久しぶり。」


「ひ、姫、お久しぶりでござるな。」


ん?何かキョドってるな。


一緒にいたアカネ先輩が気の弱い藤堂先輩に突っ込む。

「何や藤堂、ウチに逢えないのがそんなに寂しかったんか?」


「べ、別にそんなんじゃないよ。」


「そんなに寂しいなら一緒に自撮り撮ってやるで。スマホの壁紙にして毎日この美少女アカネちゃんを思い出したって。」


「お前に会いになんて来ないよ。今日はトライアングルソフトの・・・」


「藤堂っ」

岩田先輩が慌てて制止する。


「はーん・・・」

アカネ先輩がジト目で4人を見る。


「で、トライアングルソフトがなんだって。」


そこに様子を見に来た池田さんがやってきた。


「池田さん、うちと姫に何か隠し事しとらへん?」


池田さんはため息をついて、仕方ないという仕草で説明する。

「バレちゃったなら仕方ないわね。

実は夏休みに入ってから何度か、トライアングルソフトのLRO開発チームと岩田君たち4人とうちのスタッフを交えてダンジョンに関する研究会を開いているのよ。

終わるたびに報告書を上げているのだけど、この勉強会は政府やダンジョン庁の中でもかなり注目されているわ。」


「開発チームって誰や。」


「トライアングルソフトのLRO開発プロデューサーの由口さん以下数名ね。」


「えっ?由P来てるんですか?

どうして僕も誘ってくれなかったんですか?

酷いよ。中島、飯田。」


僕は雑誌やWEBにも何度も記事が載っている有名な開発プロデューサーである由口さんが来ていると知ってちょっと驚く。


中島と飯田はバツの悪そうな顔をして謝罪した。

「姫には申し訳ないことをしたと思っているでござる」


「本当にゴメン」

二人は本当に済まなさそうな顔をして口々に謝る


そこで池田さんの援護射撃が入った。

「口止めしたのもユイちゃんに内緒にしたのも私です。

中島君と飯田君は悪くありませんよ。」


「どうしてですか?そんな意地悪なこと。」


「そうやそうや。ウチも参加したかったで。」


池田さんはハーッとため息を吐く。

「これは本当はプレッシャーになるから言いたくなかったんだけど。

今日から新しく2曲追加することになりました。」


「なんでや、オリジナル曲も完ぺきに覚えたやろ?

今から2曲ゆうたら、さすがにウチでもえらい厳しいスケジュールや。」


ダンジョン探索者の説明会のエントリーはスマホのアプリでやってるのは知ってる?


「知ってるで、うちにも案内来とったからな」


「そのエントリーがとんでもないことになっているのよ。

福岡、仙台、札幌は5000名、複数の会場で開催する大阪や名古屋、首都圏のエントリーは大体1か所10,000以上ね。参加率80%以上よ。

これからまだ伸びると思うんだけど。

これだけの動員をして3曲と言うわけにも行かなくなったの。

出来るだけ覚えやすいように追加の2曲の踊りの振り付けは簡易なものにします。

どうする?参加してもいいけど、大勢の前で恥をかくことになるかも?」


僕とアカネ先輩はガックリ肩を落とす


「「レッスンを頑張らせていただきます。」」


「はい、いいお返事」

池田さんが小首をかしげてにっこり笑う。


「二人には後で報告書を見せてあげるから

はい、中島君たちは早く行って。」


「それでは姫、また後ほど」

そう言って中島たちは申し訳なそさうな顔をして去っていく。


その後ろ姿を見ながら、僕は強烈な淋しさを覚えた。

目に涙がにじむ。

どうしたんだ僕は。

たったこれだけのことで仲間外れにされたと思っているのか?

さっき自分で納得したばかりじゃないか。

まるで子供が駄々をこねているみたいだ。


必死で自分に言い聞かせてみる。

それでも僕はずっと一緒にゲームをプレイしてきた中島と飯田に仲間外れにされたという強烈な失望感や由口プロデューサーと話が出来ると言うことに対する強烈な嫉妬を抑えられなかった。


「ちょっと、お手洗いに行ってきます。」


その言葉だけを漸く絞り出して僕は女子トイレに行った。


トイレの個室に入るとさっきの何倍もの失望感や淋しさが押し寄せてきて感情がコントロールできなかった。

目から涙がボロボロと零れる。

なんだこれ、どうしちゃったんだ僕は。

しっかりしろ、鈴木裕樹、お前は男だろう。

あ、今はもう女だった。


僕は涙で崩れた化粧を直してから、レッスン室に向かった。

今日はダンスのレッスンだ。


アカネ先輩は僕の顔を見てトイレで泣いていたことが分かったみたいだけど何も言われなかった。


ダンスの高橋先生から、何度も注意される


「どうしたの?ユイちゃん、遅れてるわよ?

もっとしっかりなさい。」


おかしいな、昨日は調子よかったのに。

体が思ったように動かない。


そして、動かない体を無理やり動かしてダンスのレッスンを続けていた僕は突然目の前が真っ暗になった。

僕の記憶はここまでで、後でアカネ先輩から聞いた話だと、そのまま気を失って倒れたそうだ。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 女らしさを強要する人達が政府側にいる時点で姿が変わったことへの差別をやめようというCMに反していると思う。 もしかしたら「形だけでもやる政府」と「見た目から受ける認識は簡単に変わらない…
[一言] 元男の子なのはみんな知ってるのに女らしいマナーや喋りまで強制だんだん読んでて辛くなってきました
[一言] これもうアメリカにでも亡命した方がよくない? 完全に奴隷扱いですよね、言動強制みたいな洗脳までしておいて
感想一覧
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