プリンセス&クラスメイト
申し訳ありません。
昨日更新し忘れましたので、本日2日分投稿します。
今週末からCMの撮影に入る。
CMはダンジョン庁とダンジョン協会の周知を行う目的で作成され、ダンジョン庁の方は政府広報だ。
撮影自体は都内のスタジオで行い、1日で終わった。
婦人警官の礼服のような衣装を着て、にっこり優し気な微笑みを浮かべながら、事前に覚えてきたセリフをいう。
1種類に付き何パターンかを撮影した。
多少リテイクを貰ったが、あまり時間はかからなかった。
撮影には父さんと池田さんが同行してくれた。
帰りの車の中で話をする。
「CMは夏休みの直前くらいから流れることになっているわ。
予算はかなり取ってあると言ってたから、恐らく相当流れることになると思います。
学校で話題になるかもね。」
「そうですか・・・。すぐに夏休みですから、その点はあまり心配ないと思います。」
「専務理事からは何かありますか?」
「私の方からは特に何もないよ。
ユイはよくやってくれていると思う。」
「お父様からは合格点を頂いていますよ。ユイちゃん。」
「ありがとう、お父さん。嬉しいです。」
僕にそう言われると父さんはちょっと照れる。
それでもまんざらでもなさそうだ。
「それから・・・・[にゃんにゃん遊撃隊]の皆さんからダンジョンの探査やゲームのシステムに対して色々な意見が出ていますので早めに聞いて頂けたらと思います。」
昨日の話をさりげなく池田さんにも聞かせる。
「分かったよ。少し父さんの周りにも働きかけておこう。」
「よろしくお願いします。」
少し学校でのことを話した。
こういうのは子供の頃以来で、久しぶりだったかもしれない。
期末テスト前になってもレッスンに休みは無かった。
僕の通っている高校はかなり偏差値が高いので成績を維持するのは結構大変だった。
岩田先輩と藤堂先輩、アカネ先輩はダンジョン協会に協力することとバーターで幾つかの大学の推薦をもらえることになっている。
期末テストの成績は以前の順位を維持出来て安心した。
ここで成績を落とすとやはり周りからはいろいろと言われるだろう。
それでなくても僕たちは目立っている。
夏休みの直前になって撮影したCMの放映が始まった。
かなり大量に放映されていて、Myuutubeと民報、MHKにもことあるごとに流されていて、僕も何度も目にした。
夏休み期間になったら、新宿のアルタと渋谷駅前の大型ディスプレイにも広告を入れるらしい。
学校に行って教室に入ると茂木碧さんが話かけてきた。
「CM見たわよ。ユイちゃん。とっても可愛く撮れてた。」
「ありがとう、碧ちゃん。」
茂木さんはスクールカースト上位の女子で僕が男だった時には話しかけることすらも出来なかったクラスの女神だ。
女子の中では僕は告白してきた男の子を全員振っているので、恋愛戦線では無害の中立な存在と言う立ち位置だった。
ただし、彼氏がいる子はあまり近づくと、男の子の視線が僕に向いてしまい、注意が必要と言う認識で、みんな微妙な距離感で接してくる。
総合的には全く無害ではないが、上手く一緒にいると自分の株が上がる存在と言うことになっているようだ。
それでも僕に一目ぼれしてしまった男子はたくさんいるようで、中には露骨な敵意を向けてくる女子もいる。
多分もめ事になるようなこともあるんだろうけど、岡部さんや中島たちがうまく立ち回っているようで、表だったトラブルにはなってない。
岡部さんはかなり面倒見の良い女子で何かと僕を気にかけてくれる。
僕がユイになったばかりの頃の話だ。
岡部さんとは体育の前には一緒に着替えている。
「水泳とかでユイちゃんの隣に並ぶのはイヤね。
私だけじゃなくて、みんな言ってるわ。」
「どうしてでしょう?」
僕は小首をかしげる。
何故か岡部さんは少し赤面していた。
「すっごく脚、長いもの。隣に並ぶと本当に目立つの。
みんなリアルお人形さんみたいだって噂になってるわよ。
本当にパリコレのモデルみたいにスラっとしてる。
私はファッションはあまりこだわりない方だけど、ユイちゃんの体形は普通じゃないってわかるくらい。」
「誰にも言わないでくれますか?
最初の頃、女子の水泳の授業に参加してドキドキしてた。
男子の頃は絶対にありえないことだったから。」
僕は他の子に聞かれないように小声で話す
「あ、そうだったんだ。」
「僕からみたらみんなの水着姿も凄く可愛いよ。
男子の時は女子と一緒にプールに行くなんてフラグ立てたこと無かったからなあ。」
「やだ、何か恥ずかしくなってきた。」
「お願いだから意識しないでもらえますか?僕も恥ずかしくなってくる。」
僕たちはお互いに顔を赤らめて、何となく雰囲気で岡部さんと手を繋いで更衣室から出た。
体育の授業に急ぐ。
ファニーズやリズ・ミサの人たちから教えてもらったが、僕の股下比率は55%で日本人ではまずない体形だそうだ。
この時はよくわかってなかったので
「ふーん。そうなの」
くらいの感覚だった。
ゲーマーでいうとチートを通り越してバグっていると言う感じらしい。
水泳の授業で僕の隣に並ばされることを女子の間では「公開処刑」と呼んでいることを後で知った。
僕は女子の水着姿を間近で見られることにドキドキしていたので、全然気が付かなかった。
こんな風に岡部さんが気にかけてくれることも中島たちの配慮のおかけでその気の使いようには感謝しかない。
前の日から始まったCM放送の影響でうちの学校の中では僕は既にはるか彼方の存在と言うことになってしまった。
岩田先輩、藤堂先輩、アカネ先輩や回りの大人たちと殆ど対等に話をしているのもそう思われている原因だろう。
ダンジョン庁のキャンペーン事業は文科省も後援しており、学校にも有形無形の圧力がかかっているようなので先生方も僕には少し遠慮しているような態度を見せることも原因だろう。
終業式
「今日で一学期も終わりでござるな。」
「そうだね。あっという間だった。」
「色々と回りの環境が変わり過ぎて拙者たちもかなり大変だったでござるな。」
「岡部さんの事とか、色々と動いてくれたみたいで、飯田と中島は感謝してる。ありがとう。」
「「どういたしまして」」
「姫は夏休みはどうするでござるか?」
「レッスンでずっとダンジョン協会に通うことになるかなあ。」
「拙者たちも毎日ではないでござるが、協会には時々顔を出すでござるよ。」
「僕もね。」
「そっか。送り迎えは車になったからもう心配ないから。」
HRが終わり先生から注意事項が言い渡される
「これから長い休みに入るわけだが、ハメを外し過ぎて本校の名前を汚すような行動はするなよ。お前ら。
もう受験に向けて準備している生徒もいるからな。
学生の本分は勉強だぞ。忘れるなよ。」
「「「わかりましたあー」」」
いささか気の抜けた返事だったが、一応ウチはかなりの進学校なのでみんな聞き分けは良い。
「それから、鈴木は文科省後援のPR事業を行うということで、特にトラブルに会わないように体に気を付けてくれ。
先生方もお前には期待している。」
僕は立ち上がってお礼を言う
遅れて、中島と飯田も立ち上がった。
「先生、ありがとうございます。
クラスの皆さんも、少し騒がしい高校生活になってしまって申し訳ありませんでした。
皆さんのご期待に応えられるように精一杯頑張らせていただきます。」
そう言って3人でお辞儀をした。
みんなから拍手される。
「おー、鈴木は元ミス・ユニバース日本セイミファイナリストの先生からマナーを学んでるだけあってなかなか板についてきたな。
将来必ず役に立つと思うから、頑張りなさい。」
「はい」
「ユイ姫と逢えなくなるの寂しいー」
「お前図々しいぞ。」
「ユイちゃん応援してるよー」
「ユイ姫頑張ってねー」
クラスメイトから次々と声が上がる。
「みんなありがとう。」
僕は小さく手を振る。
HRが終わると茂木さんが挨拶しに来る。
「じゃね。ユイちゃん。」
「またね。碧ちゃん。」
「おお、ユイ姫と茂木ちゃんの2ショット尊い・・・」
回りの男子が騒いでいる。
最初は違和感があったが、こういうのも慣れたものだ。




