チーム・プリンセス・ユイ
ちょっとまたされたあと、40代くらいのおじさんが入ってくる。
僕は立ち上がって会釈をする。
おじさんはふんわりした感じの女性と一緒に対面のソファに座る。
まずは女性の方から挨拶される
「私はダンジョン庁準備室から出向してきた池田春奈と言います。
当面はユイちゃんのマネージャーみたいなことをさせていただきますのでよろしくお願いします。」
名刺を渡される。
「池田さん・・・鈴木ユイです。よろしくお願いします。」
「私は池田の直接の上司になる課長の宮田鉄夫です。
よろしくね。ユイさん。」
「よろしくお願いします。」
「あー、課長、鼻の下伸ばしてるー。駄目ですよー。ユイちゃんはまだ未成年なんですから。」
「失礼な、ユイちゃんは俺の娘くらいの年だぞ。」
「私は入省2年目のペーペーだけど、何かあったら課長が全部責任取ってくれるから安心してね。」
「おいおい、池田、物騒なこと言うなよ。」
僕は二人のやり取りに微笑を浮かべる。
僕が固くなりすぎないように気を使ってもらってるようだ。
「お父さんにも伝えてありますが、本PR事業は文科省、法務省も後援に入っており、芸能活動には当たらないと政府、学校、ダンジョン協会からも見解を頂いております。
本PR事業に参加して不利益を被ることは一切ありませんので安心してください。
それじゃ、ここからは女の子同士の方がいいだろうから、私は失礼させていただきます。」
そう言って宮田課長さんは出ていった。
法務省はLRO転生者の人権を守るためのキャンペーンを行うのに後援に入っているそうだ。
僕が特にこのキャンペーン事業を受けようと思ったのはLRO転生者が差別的な扱いをされるのを防ぐキャンベーンが含まれていたからだった。
名前も知らない人はともかく、自分も含めた飯田や中島、アカネ先輩たちが社会から差別されたり迫害されたりする恐れがあるのは何とかしたいと思っていた。
文科省の後援はズバリ、学校を黙らせるためだろう。
報酬に関しては父さんを通じてある程度の金額が払われることになっている。
僕が直接受け取るのはお茶代とお車代程度になる。
「課長さんはいなくて大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫ですよ。ここからは男の人はちょっと居づらくなる話なの。
それにしても、ユイちゃん本当に人間離れした美貌ね。
噂には聞いていたけど、ちょっとびっくりしたわ。」
「元はゲームのキャラクターですから、転生者は美男美女が多いと思いますよ。」
「ふむふむ。
それじゃ、今日の用件ね。
ちょっと待ってて、連れてくるから。」
池田さんがそう言って出ていくと、暫くしてから6人の人たちを連れてきた。
内一人は男性で後は女性だった。
みな40代くらいに見える。
会社ではそれなりの地位にいる人なんだろうな。
僕は立ち上がった。
「順に紹介するわね。右端の人から
美聖堂 宣伝部 部長 伊藤 麻衣さん」
「伊藤です。美聖堂は化粧品とか作ってる会社よ。
ご存知かしら?
よろしくねユイちゃん」
「ファニーズ 宣伝部 部長 志賀 美里さん」
「こんにちは、ファニーズの志賀です。
うちの会社は若い女性向けの服を作っているの。
元は男の子だったみたいだから、きっとわからないわね。」
そう言って志賀さんは苦笑する。
「リズ・ミサ 宣伝部 部長 遠藤 美智代さん」
「初めまして、リズ・ミサの遠藤です。
うちの会社も女の子向けの服を作っているのだけど、知ってるかな?
よろしくね。ユイちゃん」
「ナコール 宣伝部 部長 小澤 かおり さん」
「こんにちは。私はナコールの小澤と言います。
うちの会社は結構TVで宣伝入れてるから知ってるかな?
女性用の下着を作っている会社よ。」
「マナー講師 山田千明さん。」
「しがないマナー講師の山田千明よ。
よろしくね。ユイちゃん。」
「山田さん、身分を偽るのは止めてください。」
池田さんが苦笑する。
「山田さんは元ミス・ユニバース日本代表のセミファイナリストよ。
凄い人なので、失礼の無いようにね。ユイちゃん」
「電顕 プロデューサー 剣持 陽介 さん」
「剣持です。広告代理店なんだけど、[電顕]って知ってます?
女の人の中に男一人はちょっと塩梅が良くないですがよろしくお願いします。
私は今回のプロモーションの全体を取り仕切っています。」
「ユイちゃん、これが今回のプロモーションでユイちゃんをバックアップする人たちよ。
チーム・プリンセス・ユイと言うところね。
事前にユイちゃんの動画と写真を送ったのだけど、皆さんどうしても本人と会ってみたいとおっしゃったので時間を取らせてもらいました。
後はスタイリストさんとメイクさんが何人かつくことになっています。」
「そうそうたるメンバーで驚きました。ふつつかものですが、よろしくお願いします。」
僕がそう言ってお辞儀すると、全員が拍手した。
剣持さんが言った。
「ぶしつけで申し訳ないんだけど、ユイちゃん。ちょっと見せてもらっていいですか?」
「はい、どうぞ。」
僕の了解を取ると6人は僕をいろいろな角度から見る。
「さて、皆さん。ご本人に実際に会ってみたいとの事でしたか、実際に会ってどうでしょうか?」
「いやあ、この子、本当に1,000年に1人の美少女ですわ。
この美少女を使って、お役所がバックにつくこの案件で失敗したら私、業界にいられないですわ。」
剣持さんが冗談めかして言うと、みんな苦笑する。
「これから、色々あるようですので、私はこれで失礼させてもらいます。
ユイちゃん。時間を取ってもらってありがとうございました。」
「はい、剣持さん、ありがとうございました。」
僕は剣持さんにお辞儀をする。
剣持さんが帰った後、別室で採寸を行った。
「それじゃ、皆さん。別室に移動します。
ユイちゃんの採寸を行います。
部屋は入り口をパーティションで遮ってある。
別室には各社の職員が2-3人ずつ待機している。
「ここには女の人しかいないから安心してね。
ユイちゃん。」
「えっと、どうすれば・・・」
「とりあえず、下着姿になってくれる?」
僕は元々男だったので家族以外の女の人の前で服を脱ぐという行為にはかなり抵抗があったのだが、世間では問題ないとされている。
少し目を瞑った後、思い切って制服を脱いだ。
少し赤面していたかもしれない。
目を開けるとみんなちょっと驚いたような表情をしていた。
そのあと、一瞬動きが止まっていた。
パンパン
「はい、何やっているの採寸して」
リズ・ミサの遠藤さんが手を2回たたいてそう言うと全員が金縛りが解けたようにあわただしく動き出す。
リズミサとファニーズの採寸が終わるとナコールの小澤さんが話かけてくる。
「じゃ、次はうちの番ね。
ユイちゃん。
申し訳ないんだけど、下着も脱いでくれるかしら?」
採寸が終わったリズミサとファニーズの職員がパーティションで区切られている採寸スペースから出ていく。
ナコールの採寸は下着も脱がされたのでかなり恥ずかしかった。
採寸は、全部で一時間ほどで終わった。
服を来て、採寸した部屋から退出する。
「皆さん。お忙しいところありがとうございました。」
そう言ってお辞儀をする。
「「「ありがとうございました」」」
各社の職員全員がお辞儀をしてくれた。




