姫君にまつわる騒動
国会の承認喚問が終わると僕らは日常に回帰した。
しかし平穏な時間は長くは続かなかった。
僕の住所が割れ、家の周りには大勢の野次馬や報道陣が押しかけてきたからだ。
僕の家の周りには早朝から人でごった返した。
近所に迷惑だよね・・・。
父さんは会社に、恵は学校に行ったが、僕は休むように学校から連絡があった。
学校の方にも人が押し寄せてきて凄いらしい。
御子神先輩からもライモが写真付きで来ていた。
御子神先輩の家はマンションなので、マンションの周りに人だかりができている。
御子神:ウチこうなんだけど、お姫のところはどう?
僕:うちも同じです。学校からは迷惑になるから今日は休めって電話で言われました。
御子神:ウチもやで。
僕:乾さんからメールが来て、僕と御子神先輩の家と学校の周りに警官を配置して野次馬を散らしてくれるそうです。うちにはもう来ていますね。
御子神:ウチとこは今きたわ。おー、お巡りさん効果凄いで、あっという間に野次馬がいなくなった。
乾さんは「証人喚問に出て不利になることは一切ない」と保証してくれていたが、その約束を忠実に守ってくれていた。
最初はキツイ人だと思ったが、ちゃんと約束は守ってくれる人なんだな。
その日は恵が学校から帰ってきたら、興奮気味に話してくれて、クラスの友達から質問攻めにあったと言っていた。
ゴブリン襲来の時に如何にピンチを切り抜けたかクラスのみんなに語って、鼻高々だったようだ。
この日から、母さんと恵がやたらと僕を心配するようになった。
一応Lv7だし、その辺の一般人よりも強いと思うんだけど・・・。
明日から、僕には中島と飯田が、御子神先輩には岩田先輩と藤堂先輩が交代で迎えに来ることになった。
中島と飯田には感謝だ。
盗撮野郎がO市に集結
O市のお姫ちゃんとアカネちゃんが通ってる学校に盗撮目的の変態野郎が集結して騒ぎになっているらしい。
盗撮野郎だけじゃなくて、一目ユイ姫とアカネちゃんが見たいと言う一般人も多数来て、とんでもないことになっている。
この間の国会中継見たら、そら、実物を一目見たいと思うわな。
全国のお前らがこんなに・・・。
いや、俺は盗撮はしない。撮らせてくれるならジャンピング土下座でも何でもするがな。
ユイはサーバーに1人しかいないみたいだけど、ミトラの♀なんて珍しくないでしょう。
あまり表に出てないし、出ても耳も尻尾も隠しているし、髪も染めてるみたいだから、意外といてもわからないようだぞ。
なんでそんなにこそこそしてるの?
前に誘拐されかかったミトラの♀が複数いたから、それ以来怖がってあまり表に出てこなくなっちゃったんだよ。
野良ミトラを探すのは大変だけど、O高校に行けば確実に一人はいるわけだからな。お姫もいるし。
野良ミトラwwwww
ミトラって♂だったらがっかりするよな。別にそいつが悪いわけじゃないんだけど・・・。
それな。
ネットの掲示板で、ミトラの♀を捕まえて連れていくと、大金払うって言ってる奴いたな。書き込みはすぐ消されたけど。
人権とかない某国だと平気でやりそうだな。なんやかんやでLROのプレイヤーが一番多いのは日本だろう?
それだとユイ姫も誘拐の対象になりそうだな。ミトラの♀は結構いるはずだけど、姫はJPサーバーに1人しかいないわけだし。
国会中継の翌日から高校の周りには人が少しずつ集まっていたらしいけど、昨日、姫の家とミトラの家の住所が割れて一気に野次馬の数が増えたってよ。
O市の駅には注意書きが掲載されているぞ。ホレ、写真
写真には「許可を得ずに人物を撮影することは犯罪です。」「用のない方の住宅街への侵入は固く禁じます」「学校周辺でスマホ・カメラで撮影していた場合、任意で同行を求めることがあります。」と書かれた警告の看板が複数映っている。
実際に逮捕された奴もいるみたいだぞ。お前らも注意しろよ。
M物産
「鈴木課長補佐、常務がお呼びです。」
常務の秘書の如月さんが私を呼びに来た。
「わかりましたすぐ伺います。」
課長がこちらを心配そうに見る。
私は如月さんに連れられて常務室に向かった。
如月さんは28才の社内でも才媛で通っている。
それに美人だ。
出川常務の部屋につく。
「失礼します。鈴木課長補佐をお連れしました。」
如月さんの声が響く。
「入り給え」
部屋に入るとご機嫌な出川常務に出迎えられた。
「座り給え。」
「失礼します。」
「どうだ、最近は」
「ええ、まあ、ぼちぼちです。」
「先日持ち込んでもらったダンジョン産のポーションな。あれは素晴らしかったよ」
「ありがとうございます。あれは娘が・・・」
「ああ、国会中継見たよ。元は息子さんだったんだってね。随分大変だったろう。」
「はい。しかし、とてもよくやってくれているので助かっています。」
「そうだろうね。まだ高校生なのに大人相手にしっかりしたものじゃないか。とても美人だし、将来が楽しみだね。ハハハハハハ」
随分ご機嫌だな。こういう話の後は大抵無茶ぶりが来るんだよなあ・・・。
「実はね、今度、経産省所轄でダンジョン庁が新設される。それに伴って、内閣ダンジョン調査準備室から正式にダンジョン関連の業務が移管される。」
「確か、ダンジョン庁は厚労省所管で話が進んでいたと伺っています。」
「おお、さすがだね。そこまで知っていたか。」
「実は、ダンジョンから産出するアイテムの研究が各国で進んでおり、我が国もその波に乗り遅れることが無いように、今回、経産省所管で産業利用に力を入れることになった。」
「当初は例のポーションが出たとき、自衛隊を使ってダンジョン内のアイテムを回収し、主に医療分野を中心に成果を活用する予定だったんだよ。まあ、近藤総理があの通り退陣したからね。その計画は白紙になった。実はもう次の総理は斎藤さんで内定してるんだ。ま、テレビでやってるのは茶番だな」
「はあ・・・。」
それが私に何の関係があるんだろう。
「次の総理は、今後、民間利用を中心に進めていくという意向を持っている。それで、ダンジョンの調査はダンジョンに詳しいものを使うということになってね。LRO転生事件の被害者のうち、希望する者に許可制でダンジョン内を調査してもらい、モンスターが残す物品や中でとれる資源などを産業利用すると言うことになっている。ダンジョン内でとれるアイテムを希望する企業が買い上げ、その金でLRO転生者は収入を得て、生活費や冒険にかかる費用を賄うということになる。まあ、LRO転生事件もダンジョンの発生と無関係ではないと言われているし、ならば餅は餅屋ということだ。」」
「なるほど」
「そこで、我々とM商事、I商事が幹事会社となってダンジョン内の調査とアイテムや資源を管理を専門とする組織を設立することになった。そこに君に役員として出向してもらいたい。」




